『任意後見制度』について
『4人に1人が高齢者』となる現状の問題点!
成年後継制度を悪用するケースが問題点となります
少子高齢化社会の影響なのでしょうか、以前ご購入された方からの売却のご相談や、ご紹介されることが増えております。
如何せん、購入時には全く予期していないもので、10年、20年を経過されると、家族構成も変化するのもで、ご連絡が有るたびにご説明が大変になります。
今回のブログは『任意後見制度』について、考察したいと思いますが此処は重要な制度になります。
1,任意後見制度について
判断能力等が低下した場合に利用できる制度には、『法定後見制度』だけではなく、『任意後見制度』が御座います。
『法定後見制度』は、家庭裁判所への申し立てから始まり、ご本人の保護・援助の内容は、法律と家庭裁判所の判断に従い、客観的な視点から決定が下されます。
そのため補助の場合を除いて、保護・援助の内容に、本人の要望が反映されることは有りません。
一方で
『判断能力が低下した時の援助の内容は、自分自身で決める』
『将来の財産管理は、信頼している身内に託したい』
このように、お考えの方々も多いのですが、そこで定められたのが『任意後見制度』になりますが、何らかの援助が必要となる場合でも、自分のことは自分が決める『自己決定権の尊重』が基本理念となります。
この制度の具体的な内容として、本人の判断能力に問題がない段階で、本人から将来『任意後見人』に選びたい人選をして、その方と『任意後見契約』を締結します。
この契約の中で、本人の判断能力が不十分になる際に、任意後見人に任せる事務の内容・範囲等について決めておきます。
但し、この契約については本人の意思に基づくことを明確にするため、法務省令で定める様式に従った『公正証書』とする必要が有ります。
また『任意後見人』を誰に指定するのか、本人の意思が尊重され親族でも、弁護士・司法書士等の専門職の人でも、友人知人でも就任の意思・承諾さえあれば特に指定されません。
その代わり、『任意後見人』は家庭裁判所が選任した『任意後見監督人』の監督を受けることになり、監督の目的は『任意後見人の権限濫用』を防止して、本人の保護を図ることにあります。
そのため、任意後見人(受任者)の配偶者、直系血族(親・子供)及び兄弟姉妹は、任意後見人にはなれません。
任意後見人は、家庭裁判所がこの任意後見監督人の選任をしたときから、効力が生じ、その選任方法は本人の判断能力が不十分となった際に、受任者が任意後見契約に基づき、家庭裁判所に任意後見人の選任を請求するというのが一般的になります。
『任意後見制度』は、判断能力に問題がない段階で自らの意思を、将来判断能力が不十分となった際の財産管理等に反映させたいと考えている人によって利用されることを予定しております。
自らの意思を反映させると言うことで、任意後見契約は『公証役場』において自由に契約を締結できますが、任意後見監督人が選任した後での解約は、正当な理由と家庭裁判所の許可が必要になります。
任意後見制度を利用することで、信頼の出来る人に任意後見人への就任を依頼し、その人との間で任意後見契約を締結します。
例えば、福祉施設への入所契約・介護契約・預貯金の取引・不動産管理・税金の申告などを委任しておくことが可能となり、判断能力が不十分時の不安を払拭できるものと考えられます。
このように、『任意後見制度』は自分自身で内容を決めることができ、制度創設当初から普及利用件数が伸び悩んでいるのが現状です。
上記のことが起因になり、平成28年4月、日本政府は任意後見制度が積極活用されることを目指して、同制度の利用状況の検証・必要な制度の整備を各施策を実現することになりました。
【成年後見制度の利用の促進に関する法律第11条】参照
2,任意後見制度の落とし穴について
任意後見制度は、判断能力が不十分となった時に備えるために創設された制度ですが、判断能力が衰える前から信頼できる人に財産管理を依頼して、本人の判断能力が不十分となった時点で、その同じ人が引き続き任意後見人に就任するという事例が多くみられます。
これは、財産管理を依頼する側にそのような要望があることと、本人の判断能力に関係なく同一人物が対応することで財産管理が円滑になるメリットが有ります。
判断能力に問題がない時点で第三者に財産管理を任せる例では、公証役場において委任契約を締結します。
但し、委任契約及び任意後見契約では、受任者(任意後見人)に選んだ相手に不行跡があると、本人が著しい不利益を受ける場合が有ります。
悪質な場合もあり、財産管理業務を行う者が財産管理を怠るケースもあり、詐欺にあうケースも問題視されることも事実有ります。
委任契約及び任意後見契約は、便利である反面、このようなリスクもあり注意が必要で、受任者(任意後見人)を決める際は、本当に信頼できる人を選ぶことが重要で、判断能力が衰えた場合は、任意後見監督人の選任を申し立て、確実に任意後見契約を発行することが重要です。
そのためには、委任契約及び任意後見契約を締結した事実を受任者以外の親族にも知らせて、任意後見契約発効の時期を喪失させないよう、見守りの態勢を整えることが重要です。
また、【任意後見契約には、任意後見人の報酬】についての定めがおかれておりますが、【任意後見人の報酬】は、裁判所が決めることになっておりますので、契約上には表れてきません。
そのため、契約締結後に任意後見監督人が発生することまで考えずに、任意後見人の報酬を決めてしまい」、後で経済的に苦労する場合も有るので、この点に注意が必要になります。
以上が『任意後見制度』についてのご説明なりますが、高齢化社会、子孫が不在の場合は認知症や寝たきりになる場合は、見逃すことが出来ないもので改めて学んでいくことが重要であると思います。
3,親族に申し立てを期待することが困難な場合
追記になりますが、『親族等関係者による申し立てを期待することが困難』な場合
所謂、身寄りのない認知症を発症している高齢者や、知的障害者、精神障害者の方については、本人のために必要がある場合には、市区町村長も、成年後見開始の審判等の申し立てが出来ます。
【老人福祉法第32条、知的障害者福祉法第28条、精神保険及び精神障害者福祉に関する法律第51条の11の2に規定】されております。
この場合、申立て費用は、申立人である市区町村長が負担することになります。
※弁護士費用は申し立て費用に含まれません。
市区町村は、ご本人等の関係者に償還を求めることも、成年後見制度利用支援事業を利用することも可能です。
次回のブログは『知的障害のある子供の将来の生活』について考察したいと思います。

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