宅地建物取引士とは⁈
お客様(買主)の保護は、法律で定められております!
『宅地建物取引業法』は変更が多いものです!
不動産業界に従事しておりますと、必ず『宅地建物取引士』が何人か、職場内に従事しております。
一般の方からの目線では、不動産会社・従業者全員『宅地建物取引士』と思われるものです。
その『宅地建物取引士』について、今回ブログにて考察したいと思います。
この資格も改正時期が何度かございます。
1,宅地建物取引業法の改正時期について
昭和32(1957)年、全身であります『宅地建物取引員』の資格が設けられました。
昭和39(1964)年、当初資格『宅地建物取引員』が『宅地建物取引主任者』に名称変更されることになりました。
昭和46(1971)年、職務責任の明確化され『重要事項説明に関する事務』と『契約締結時の書面交付に関する事務』を行うことと、『都道府県知事』への『宅地建物取引主任者』登録が義務化されました。
昭和55(1980)年、宅地建物取引主任者の資質の維持、向上を図るため『法定講習制度』が創設されました。
暫く上記の状況が続いておりましたが、平成26(2014)年に、
『宅地建物取引主任者』が『宅地建物取引士』に名称変更されました。
2,『宅地建物取引士』の目的について
宅地建物取引業法第1条(目的)に記載しております。
この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保すると共に、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もって『購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化』とを図ることを目的とする。
宅建業者は、この第1条の目的を遵守することが重要となります。
宅地建物取引士は、宅建業者に所属し、宅地建物の取引にあたり、重要事項の説明、重要事項説明書及び契約締結後に交付する書面への記名等の重要な職務担当しており、公正な不動産取引を実現する重要な役割が有ります。
3,何故名称を変更したのか⁇
宅地建物取引業法にて、宅地建物取引士以外の従業者が代わりに行うと、権利義務関係が
画一的ではないので、宅地建物取引に相応の知識がないと、購入者に不利益を被ることが考えられます。
売買・賃貸の契約若しくは重要事項の内容を理解しないと、契約者に不利益を被ることが危惧されます。
此処で重要なのは、『宅地建物取引主任者』創設時に比べて、重要事項説明の項目が極めて膨大になり、また複雑化しており、業務に関して必要な知識も多様化されております。
安全な取引を行うには、既存住宅(中古住宅)の円滑な流通に向けた関係事業者の連携や、その役割が大きくなり、その役割に相応した資格として、平成26年に『主任者』から『取引士』に変更されました。
今から10年以上遡るのですが、当時と比べても現在は益々説明内容が難しくなるため、当方の見立てでも、不動産業務を継続していかないと法改正等の内容を把握するのも難しいものです。
毎日、法改正含め従来の法律を熟知するよう学ばないと、解釈出来ないものです。
4,宅地建物取引士に関する3つの規定新設について
①地建物取引士の業務処理の原則
【宅建業法第15条】
宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事する時は、宅地又は建物の取引の専門家として、『購入者等の利益の保護』及び『円滑な宅地又は建物の流通』に資するよう、『公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行う』と共に、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなくてはならない。
②業法の解釈・運用の考え方
【宅建業法第15条関係】
※公正誠実義務について
宅地建物取引士は、宅地建物取引の専門家として、専門的知識をもって適切な助言や重要事項の説明等を行い、消費者が安心して取引を行うことが出来る環境を整備することが必要である。
このため、宅地建物取引士は、常に公正な立場を保持して、業務に誠実に従事することで、紛争等を防止するとともに、宅地建物取引士が中心となって、リフォーム会社、瑕疵保険会社、金融機関等の宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携を図り、宅地及び建物の円滑な取引の遂行を図る必要があるものとされております。
③宅地建物取引士の信用失墜行為の禁止
【宅建業法第15条の2】
信用失墜行為の禁止について
宅地建物取引士は、宅地建物取引の専門家として、専門知識をもって重要事項の説明等を行う責務を負っており、その業務が取引の相手先だけでなく社会からも信頼されることから、宅地建物取引士の信用を傷つける行為をしてはならない。
宅地建物取引士の信用を傷つけるような行為とは、宅地建物取引士の職責に反し、または職責の遂行に著しく悪影響を及ぼす行為で、宅地建物取引士としての職業倫理に反するような行為であり、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれます。
④宅地建物取引士の知識及び能力の維持向上
【宅建業法第15条の3】
宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な『知識及び能力の維持向上』に努めなければならない。
※知識及び能力の維持・向上について
此処はとても重要ですが、宅地建物取引士は宅地建物取引の専門家として、常に最新の法令等を的確に把握し、これに合わせて必要な実務能力を磨くと共に、知識を更新する務める。
5,平成26年の改正された内容について
①宅地建物取引業者による従業者の教育
【宅地建物取引業法第31条の2】
宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うように努めなくてはならない。
※業法の解釈・運用の考え方
【宅地建物取引業法の2の関係】
宅地建物取引業者は、その従業者に対し、登録講習をはじめ各種講習をはじめ各種研修等に参加させ、または研修等の開催により、必要な教育を行うように努めなくてはならないとされております。
6,免許等に係る欠格事由等の追加(宅建業法)
この追加は、近時の『反社会的勢力排除』の流れに沿うものになります。
①宅地建物取引業の免許の欠格事由及び取消事由『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第5号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員ではなくなった日から5年を経過しない者』が追加されております。
【宅地建物取引業法第5条第1項及び第66条第1項】
②宅地建物取引士の登録の欠格事由及び消除事由に、前項と同様に『暴力団員等』が追加されております。
【宅地建物取引業法第18条第1項及び、第68条の2、第1項】
7.宅地建物取引士証の提示に関する事項
①宅地建物取引士証の提示について
【宅地建物取引業法第22条の4関係】
宅地建物取引士証の提示にあたり、個人情報保護の観点から宅地建物取引士証の住所欄にシールを貼付し提示しても差し支えないものとする。
但し、シールは容易に剥がすことが可能なものとし、建物取引士証の汚損しないよう注意すること。
②宅地建物取引士証の提示について
【宅地建物取引業法第35条の4関係】
提示の方法としては、宅地建物取引士証を胸に着用する等により、相手方又は関係者に明確に示されるようにする。
尚、以下は①の記載項目と同じです。
以上が、『宅地建物取引士』の簡単な説明となりますが、ご説明する内容は膨大になりますが、続きはまた掲載させて頂きます。
今回ブログを掲載して気が付いたのですが
よく不動産会社のPRされている『お客様第一』等のフレーズは、至極当然のように思います。
当方は、なるべくお客様のご相談の回答を明確に伝えたいと思います。

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