借地権・借家権の相続について!
『造作譲渡』は貸主の承諾が必須です!
借地権・借家権の相続は知られていません
不動産は、一生ものと言われておりますが、所有権の場合は比較的揉める要素が少ないような気がします。
今回のブログは『借家権』と『借地権』の相続する際の注意点について考察したいと思いますが、どちらも『貸主・地主・管理会社』と言った第三者が絡みますので、一般的なご説明になります。
1,借地上の建物の相続登記は⁈
建物の相続は敷地利用権も⁈
借地上の建物も、その敷地の借地権と共に相続できます。
この点は、他の財産を相続するのと同じ理屈(法律)で、本来は地主の承諾書・名義書き換え料は不要とされておりますが、相続人が決まり次第なるべく『名義変更手続き』は行うことが重要です。
相続自体、被相続人が生前の財産を、そのまま承継するのが普通で、借地上の建物でも『相続財産』であることが変わりないものです。
建物の相続は、その建物の利用する権利(借地権)も相続となります。
借地権の相続は、借地権を第三者に譲渡する場合と異なり、地主の承諾は不要であり承諾料を支払う必要は有りません。
此処は重要ですが、地主から『承諾料を請求され、承諾料を支払わないなら借地権の契約を打ち切る』と連絡があっても、通常認められない事案になります。
相続人が、母親と子供1人の場合、民法の法定相続人は母子で有りますので、各々1/2の相続が認められます。
遺産分割の協議にて、法定相続と異なる割合で相続も可能であったり、母親1人、子供1人での相続も可能です。
建物を相続すれば、その相続分に応じて敷地の借地権も相続することに成ります。
建物について、相続による所有権移転登記すれば、『借地権の相続について第三者に対抗』できます。
【借地借家法第10条】
②登記原因は相続となりますか⁈
相続の登記は『法定相続』や『遺産分割協議で定めた』ときも、『登記原因』は相続となり、登記申請書には、其々の相続分の持分割合を記載します。
『相続を証する書面』として、『戸籍謄本(全部事項証明書)』や『戸籍抄本(個人事項証明書)』を添付します。
遺産分割協議による時は、遺産分割協議書と、遺産分割協議書に押印した『期日が3ヵ月以内の日付の印鑑証明書』も添付します。
相続による所有権移転登記の場合、『申請書の副本』を添付します。
ほかに登記を申請する相続人の『委任状と住民票の写し』を添付する必要が有ります。
また、相続人が数人存在する場合、その相続による所有権移転登記は、【民法第252条】に定められており、【共有物の管理】但し書きの保存行為として、相続人の中の1人が、相続人全員の為に申請することが出来ます。
以上が、『借地権の相続』について簡単にご説明いたしました。
2,借家権の相続について
借地権の登記は何度も経験したことが有りますが、『借家権』にも登記されていることが有りますので、考察したいと思います。
①借家権の相続に名義書き換えは⁈
『借家権』は、財産権(債権)であるので、普通に相続財産になります。
【民法第896条】でも『相続の一般的効力』とされ、相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することが法律で定められています。
相続人が、法律上認めらている共同事業している借家に、貸主から『名義書き換え請求』された場合、従前の賃貸借契約書に記載している場合を除き、法律上の根拠は有りません。
因みに、造作譲渡等の『借家権の売買』ですが、『貸主の承諾』なしでは出来ません。
貸主の承諾がなく、他人に借家権を譲渡した場合『無断譲渡、無断転貸』を理由に建物賃貸借契約を解除されます。
【民法第612条】
相続の場合、貸主の承諾の有無に関係なく相続人に移転します。
此処は専門的な知識を要しますが『建物の占有権』も相続と同時に承継されます。
②借家権登記について
借家権の登記は『貸主と借主が協力して申請する(賃貸借設定登記)』として行います。
賃貸借設定登記のメリットは、借主が第三者に対して借家権を主張したり、賃借権の譲渡や転貸を許可する特約を登記することで、貸主の承諾なしで譲渡や転貸が可能になるのですが、貸主側に登記の協力義務が有りませんので、殆ど登記はされていません。
民法が改正後、『借家権登記』されている物件は見なくなりましたが、ご参考までご説明させて頂きます。
不動産に従事する私どもは、色々な法律を理解するのが仕事です。
以上『借地権・借家権の相続』に関するご説明とさせて頂きます。
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