相続人の1人が行方不明の場合!
消息不明の兄弟がいた場合、手続きも複雑になります!
2代前の名義から飛んでの登記は⁈
高齢化社会、国際化社会と言われている現代ですが、私の取引させて頂いた方でも、外国籍の方が日本の不動産を購入されたり、購入後に転勤(転職)で海外での生活されている方もおります。
外国人の方が日本に在住するには、賃貸物件を借りるか、思い切って家族の為に家を購入する選択になります。
今回はのブログは、先ずは『相続人の1人が行方不明の場合の相続』について考察したいと思います。
1,相続人全員の参加が原則
遺産分割の協議には、相続人全員の参加が必要であり、一部の相続人を除外して遺産分割協議しても、その協議は無効となります。
相続人の一人が行方不明のままでは、分割協議が出来ないのですが、放置するのも問題となります。
このような場合の解決方法は、行方不明について『失踪宣言』をしてもらう方法と、『不動産財産管理人』を選定してもらう方法が有ります。
『失踪宣言』とは、生死不明の状態が一定期間(普通失踪・7年間)
(特別失踪)戦争・船舶の沈没等で死亡原因となる危難に遭遇し、その危難が過ぎても生死が1年間確認されない場合をいいます。
7年以上、行方(生存)が不明の場合、他の相続人から家庭裁判所にて申し立てし『失踪宣言』を行うこともできます。
【民法第30条】
ここで問題になるのは、『失踪宣言』とされた相続人に子供が生存している場合、その子供が『代襲相続』されるので、その子供を加えて『遺産分割協議』をすることになります。
その『遺産分割協議』が整えれば、『印鑑証明書を添付した遺産分割協議書』に基づいて、『相続登記』が出来ます。
遺産分割した後になり、生死不明の相続人が生存していた場合、『失踪宣言』は取り消しになりますが、他の相続人の善意の時は、前に確定した『遺産分割』は有効です。
但し、悪意(失踪していた相続人の生存を知っていた)場合、遺産分割自体が無効となり、遺産分割をやり直すことになります。
2,不在者財産管理人の選定について
失踪宣言が出来ない(相続人の一人が所在不明・但し生存はしている)場合には、他の相続人が利害関係者として、家庭裁判所に申し立てし、不明者のために『不在者財産管理人』を選定してもらうことに成ります。
『不在者財産管理人』は、不在者のために財産の現状を変えない保存行為、利用改良行為をする権限をもっていますが、売買・遺産分割などの処分行為をするためには、『家庭裁判所の許可』が必要となります。
【民法第28条】
『不在者財産管理人』は、家庭裁判所の許可を得て、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加が出来ます。
外の相続人と不在者財産管理人との間で、相続登記が出来ますが、この場合、事情により『行方不明者の取得分をゼロ』とする協議が許可されることも有ります。
3,二代前(祖父母名義)の不動産登記は⁈
不動産調査で、かなり前の元号・年月が記載している場合も有ります。
通常、登記簿を見る機会のない方も多いもので、当方が登記簿謄本を確認し、登記簿記載の名前を訪ねると、先代・先々代であると判明することも極たまにあります。
昔、祖父母の名義の時代は、家督相続してると戸籍謄本で見たことが有りますが、意外と手間がかかるものです。
お爺さんから父親への相続登記をしない内に、父親が死去し相続が開始し、ご相談者が相続によって、その不動産を取得されると、相続による所有権の移転が二度となります。
上記の相続は『数次相続』といい、このような場合の『相続の登記』も、二度の相続という事実が有りますので、原則として二段階の登記となります。
父親が『家督相続』が原因で、更に『遺産分割』を原因となりますと、そのあとは兄弟の『共有名義』にて相続か、協議にて誰かを相続人にする必要が有ります。
相続の場合、登記官が戸籍謄本を確認するので、『中間省略』が認めれないものです。
4,単独での相続は⁈
登記の実務では、数次相続による所有権移転登記の場合、最初の相続と中間の相続が単独の相続に限り、1通の登記申請書でいきなり現在の相続登記が認められます。
代襲相続や遺言によって財産を受け取ることは可能性が有ります。
これは、中間の相続人の相続登記を省略しても、その者の利益を害しないので、登記簿記載上の複雑な権利関係を回避して、最初の相続と中間の相続が単独相続で有る場合に限定されております。
この場合の単独相続人は、相続人が複数いても遺産分割により、一人の相続人が単独相続した場合にも含まれます。
単独相続であることが必要なのは、最初と中間の相続に限定され、最終の相続が共同相続でも問題ないようです。
今回の件は、被相続人は『登記簿上の所有名義人』の祖父の氏名を記載し、更に最終相続人の持ち分と名義を記載されます。
但し、登記の際の『登録免許税』は、2回分の登記の登録免許税を納める必要はなく、最終の相続登記の納付のみとなります。
登録免許税とは『不動産の取得時や会社設立時に登記をする際の税金』です。
以上が、よく有ります実務上の相続に関するご説明とさせて頂きます。
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