『贈与』についてのトラブル
とても難しい相談内容です。。
『現実と約束事』やはり難しい問題です!
贈与と言えば、何となく得をしたような気になるのですが、トラブルも多いものです。
難しいご相談の一例を考察してみます。
1,贈与の約束していたのに。。。
相談内容
相談者が、長い間病気の『叔母』の面倒を見てきました。
『叔母』は、とても感謝しており『叔母所有』の不動産を『相談者』に贈与する約束をしておりましたが、『贈与の登記』する前に他界してしまった
『叔母』には、一人娘が生存しておりますが遠方に住んでいるとの内容です。
2,贈与するという証拠は⁈
まず『贈与』とは、一方が自分の財産を無償で、相手側に対して譲渡(譲受)することが成立する契約を言います。
【民法第549条】
❶贈与は、無償・片務・諾成・不要式の契約
❷贈与契約は、口頭(書面なし)でも成立します。
❸贈与契約書の作成は法律上の効力発生要件では有りません
❹書面によらない贈与は、各当事者が取り消しできますが、履行終了の部分については取り消し出来ません。
叔母さんが生きていれば、相談者は贈与分の不動産を、『所有権移転後の登記』をスムーズに行えたのですが、相続が開始されると簡単にはいきません。
その叔母さんの娘さんが、『母親が贈与した事実』を納得してれば簡単ですが、金銭問題に波及するもので、『贈与があった場合の証拠』を証明できるかどうかです。
仮に、叔母さんとの『贈与の約束』が、口頭である場合は証明が難しく、『民法』では『書面によらない贈与』は取り消しが可能と定めが有りますので、贈与された不動産の登記は難しいものです。
【民法第550条】参照
3,法的措置について
贈与が証拠により明々白々であっても、叔母さんの娘さんが所有権移転登記に応じない場合は
相談者は、娘さんを相手方にして、『贈与を原因として叔母さんの所有する不動産の所有権移転登記』の訴訟を起こすしか有りません。
娘さんは、叔母さんの相続人として、叔母さんの地位を包括的に受け継ぎます。
その中で、その不動産につき、相談者の所有権移転登記する義務も含まれて、娘さんを相手取り裁判がなりたつものです。
叔母さんが他界しても、叔母さんとの約束が失効することは有りません。
但し、相談者が不動産を贈与されたことを、そのままにしておくと、事情を聴いていない娘さんは不動産を相続の移転登記手続きするでしょう。
更に、登記した不動産を第三者に売却したり、抵当権を設定した場合、大変なことになり、法曹等の専門家に依頼して、『仮処分』してもらい『処分されない手段』が必要になります。
叔母さんと娘さんは往来がないとしても、実の親子関係であると、娘さんには『遺留分』があります。
叔母さんから相談者に対する贈与が、娘さんの遺留分の侵害することになると、娘さんの遺留分の侵害に対して減殺請求権を行使することが出来ます。
【民法第1030条】
生前贈与された財産が遺留分減殺請求の対象であるかの定め
【民法第1042条】
遺留分とは、被相続人の遺産を一定の相続人が最低限取得できる権利である定め
【民法第1048条】
遺留分侵害額請求権の時効を定めています。
相続開始、減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から1年、または相続開始から10年の時効の期間となります。
贈与は、とても問題が多いもので、口頭での贈与や、関係者に連絡されないとトラブルが大きくなるので、その際は、必ず専門知識をもつ方にご相談されるのがよろしいかと思います。
以上のご説明ですが、『争い・訴訟』については、法曹への専門分野になりますので、予めご了承頂きますようお願い致します。
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