賃貸って⁈(その2)
賃貸は民法上の定めが多く、熟知する必要が御座います!
建物所有者に必ず承諾が必要です!
前回のブログの続きになります。
賃貸について説明は必ず『民法』繋がりとなります。
不動産で一番多い取引は『賃貸借』となりますので、その内容を説明すると長くなるので、ご容赦頂きたいと思います。
1,賃借権の譲渡!転貸!
賃借権の譲渡とは、賃借人が賃借権を第三者に譲渡し、賃貸借関係から抜けることです。
賃借権の転貸とは、俗に言われる又貸し(第三者へ)です。
賃貸借の譲渡・転貸は賃貸人(建物所有者)の承諾が必要とされます。
(民法第612条第1項)
❶無断譲渡・転貸について
賃貸人は、賃借人が賃借権を無断で譲渡・転貸した場合や、かつ第三者に借用物を使用収益させた場合、賃貸借契約を解除することが出来ます。
(民法第612条第2項)
❷承諾のある転貸
賃貸人の承諾のある転貸の場合、転貸人は賃貸人に対して直接に義務を負うことになります。
※賃貸人は転貸人に賃料を直接請求できます。
❸民法第613条
賃借人が適法に賃貸借を転貸した時は、転貸人は、賃貸人に対して直接の義務を負う。
この場合においては、賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することが出来ません。
※賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない規定になります。
2,賃貸借の終了
❶期間の定めのある場合
期間の定めのある賃貸借契約は、期間満了により終了します。
特約で解約権を留保した場合、賃借人が破産した場合、期間の定めがない場合と同様に解約権の行使により消滅します。
(民法第618条、民法第621条)
❷民法第618条
※第618条は、『賃貸借契約の期間内に解約する権利を留保』できると定めた条文になります。
①賃貸借の期間を定めていても、当事者が合意して期間内に解約する権利を留保した場合、解約することが出来ます。
②解約の申し入れをした場合、民法第617条に定める期間が経過すると賃貸借契約が終了します。
③建物所有を目的とする土地や建物の賃貸借については、借地借家法により貸主に解約権を留保する特約は無効とされます。
④農地や採草放牧地の賃貸借については、農地法第18条の規定が適用され、民法第618条の提要外となります。
住宅の賃貸借契約は、契約期間を定めていても1か月の予告をもって解約できるという特約が設けられているのが一般的です。
事業系の建物賃貸借契約では、6か月の予告等の特約も、たまに見受けられます。
❸民法第621条
本条は、賃貸借契約が終了した際に、賃借人が負う『現状回復義務』について定めた条文になります。
2020年4月に改正され、住居、テナント、店舗の区別なく適用されます。
改正前は、原状回復義務の直接的な規定がなく、色々と費用負担で争われました。
トラブルを未然に防止するためにも、賃貸借契約書の『原状回復工事内容』を具体的に明示することが推奨されております。
❹期間の定めのない場合について
期間の定めのない賃貸借契約は、各当事者はいつでも解約の申し出ができ、解約の意思表示到達後、一定期間が経過すると終了します。
(民法第617条)
❺そのほかについて
上記のほか、賃貸借契約は、賃借物の消滅、債務不履行になどに基づく解除権の行使、合意解約により消滅となります。
❻解除の非遡及効(民法第620条)
分かりやすくご説明すると、賃貸借契約を解除した場合、その解除は将来に向かってのみ効力を生じ、遡及効はなくなります。
※当事者の一方に過失のある場合、その者に対する『損害賠償請求』が求められます。
3,消費賃借(民法第590条)
基本的に、消費賃借における貸主の担保責任についての規定になります。
利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵があった場合、貸主は瑕疵が無い物と交換する必要があります。
この場合の損害賠償請求が可能となります。
無利息の消費貸借においては、借主は瑕疵がある物の価額を返還することが出来ます。
貸主が瑕疵を知りながら借主に告げない場合、悪意として判断され、利息付きの消費貸借における規定が適用されます。
以上が『賃貸』についてのご説明となります。
不動産契約は、不動産仲介会社相互が理解していないと、貸主は何でも言えば通用するとか、それは借主の費用で等の、水掛け論争になります。
民法は、当方から見たら非常に頼もしい法であるので、忘れないよう学習する必要もあります。
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