委任契約って⁈
『善管注意義務』ここは重要です!
委任される場合、有償になることが前提!
2025年に入った途端、色々なご相談や、年初の定例会が始まり何となく忙しくなり始めました。
当方のような不動産業界は、よろず相談から緊急的な相談も実に多いものです。
その中で、今回は『委任契約』について考察したいと思います。
『委任』とは、当事者の一方が法律行為を行うことを相手に委託し、相手側(受任者)がこれを承諾することによって成立する諾成契約です(民法第643条)
委任は、契約により報酬を伴う有償・双務契約することが出来ます。
1,請負・雇用との相違点について
委任は、契約により他人の仕事をする点では、請負・雇用と似ておりますが、仕事の完成が目的でない点で『請負契約』と異なり、自由な裁量で『委任事務』を行うことが認められている点で『雇用契約』と異なります。
2,受任者の義務について
①善管注意義務
受任者は、有償・無償の有無を問わず委任の本旨に従い『善良なる管理者の注意』をもって委任事務を処理する義務を負うことになります
善管注意義務について定めた規定で有り、法的・契約などにより規定されます。
(善管注意義務・民法第644条)
②付属的義務
受任者は、善管注意義務のほかに幾つかの義務を負います。
❶委任者が請求した場合、委任事務の処理状況などの報告義務
・委任者の請求がある場合は、いつでも委任事務の処理状況の報告をすること。
・委任が終了した後は、遅滞なくその経過・報告をすること。
(民法第645条)
❷委任事務処理にあつって受領した金銭・そのほかの物・取得した果実を、委任者に引き渡す義務
(民法第646条第1項)
❸受任者は、委任者のために自分のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
(民法第646条第2項)
❹受任者が委任者に引き渡すべき金銭または委任者の利益のために用いるべき金銭を、自分のため消費したときの利息・損害賠償の支払う義務
この場合において、なお損害があるときは、この賠償責任を負うことになります。
(民法第647条)
3,委任者の義務について
委任者の義務としては、幾つか挙げられます。
①受任者が請求した場合の、費用前払義務
委任事務の処理に費用がかかる場合、委任者は受任者の請求に応じてその費用を前払いする義務があることを定めています。
委任事務に係る費用は、交通費などが挙げられ、後払いの場合は、受任者から利息を請求される可能性が有ります。
(民法第649条)
②立替費用等の償還義務
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出した時は、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することが出来ます。
(民法第650条第1項)
③受任者が事務処理にあたって必要と認めて負担した債務の弁済義務等
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対して、自己に代わってこの弁済を請求することが出来ます。
この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対して、相当の担保を供させることが出来ます。
(民法第650条第2項)
④受任者が事務処理にあたって過失なくして受けた損害に関する無過失賠償義務
受任者は、委任事務を処理するため自己に過失がなく損害を受けた時は、委任者に対しその賠償を請求することが出来ます。
(民法第650条第3項)
⑤報酬の支払い義務
受任者は、報酬を受ける場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求できません。
但し、期間によって報酬を定めた時は、【民法第624条第2項】の規定を準用します。
(民法第648条第2項)
※有償委託の後払いのみ適用されます。
4,委任の終了について
①自由告知(解約)
委任者・受任者はいつでも自由に『委任契約を解除』することが出来ます。
規定により委任の解除をした者は、次項の相手側の損害賠償しなければなりません。
1,相手側に不利な時期に委任を解除した時
2,委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除した時
(民法第651条)
委任契約の解除は将来にむかって生じ、遡及しないため一般に告知(解約)と言われます。
※継続性のない事務処理を目的とする委任契約を委任者の債務不履行を理由にして解除する場合にも適用されます。
(民法第652条)
②委任の終了原因
委任は、当事者の死亡・破産及び受任者の後見開始の審判により当然に終了します。
(民法第653条)
なお、委任により代理の場合は、委任の終了により代理権も終了します。
③委任の終了時
❶応急処分義務
委任の終了の場合において、急迫な事情があれば、受任者・その相続人または法定相続人が委任事務処理可能な時まで必要な処分を行う義務を負います。
❷委任終了事由は相手側に通知し、または相手側がこれを知ったあとでなければ、これをもって相手側に対抗できないとされています。
(民法第655条)
以上が、【委任契約】に関するご説明となります。
民法で定められた中での、契約になりますので、委任される場合はこの内容を十分ご理解頂く必要が有りますので、ご注意頂きますようお願い致します。

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