賃貸って⁈(その1)
賃貸借契約は期間の最短、最長があります!
賃貸借契約書は【民法第601条】から記載されてます
令和7年も『正月明けから3月までの期間』は、賃貸の本格的な繁忙期に入ります。
不動産会社に従事していると、この期間は賃料も値上がりし、在庫が不足する時期に陥るので、物件の管理会社に問合せしても、『その物件は商談中、契約予定』と回答されることが実に多いものです。
昨年末迄に入居された方や、ゴールデンウィークに探して入居される方のお考えは、研究されており、本当に賢いと思います。
そこで、当方として『賃貸借契約』を考察したいと思います。
ここで専門的ですが、民法の賃貸借契約には、『消費貸借』『使用貸借』『賃貸借』の三種がありますが、そのうち重要な賃貸借について説明したいと思います。
ちなみに賃貸借契約は『民法第601条から』記載されています。
賃貸借とは、当事者の一方が相手方に物を使用・収益させることを約束し、相手側がこれに対して賃料を支払うことを約束する契約です(民法第601条)
1,期間について
①賃料の存続期間
普通建物賃貸借契約の最低契約期間は『1年』で、1年未満の期間を定めた場合『期間の定めのない契約』と見なされます。
賃貸借契約の最長期間は、民法では『50年』と定められています。
但し、建物賃貸借については『民法第604条』を適用しないとされているため、期限の上限は有りません。
②民法第604条の内容
❶賃貸借の存続期間は『50年』を超えることができない。
❷契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は50年とする。
❸賃貸借の存続期間は、更新することは可能であるが、その期間は、更新の時期から50年を超えることができない。
③短期賃貸借
被保佐人や権限の定めのない代理人のように、管理能力または権限がありますが、処分の能力または、権限があるが処分の能力または権限のない者は、条件(民法第602条)がつきます。
なお、未成年・成年被後見人は、短期賃貸借も行うことが出来ません。
上記の場合、賃貸借契約を締結しても『取り消し可能』になります。
④民法第602条の内容
民法第602条は、処分権限を有しない者が賃貸借をする場合の期間を制限する規定です。
賃貸借は、財産の使用権限に大きな影響を及ぼす契約であることが理由です。
制限期間
❶樹木の栽培や伐採を目的とする山林の賃貸借は『10年』
❷上記賃貸借以外の土地の賃貸借は『5年』
❸建物の賃貸借は『3年』
❹動産の賃貸借は『6ケ月』
契約で、これより長い期間を定めた場合でも、その期間は『制限期間』となります。
制限期間を超える賃貸借契約が締結された場合、通説的に制限期間を超える部分が『無効』となり、制限期間内の範囲で『短期賃貸借』として契約は有効になるとされます。
2,効力について
①賃貸借の効力
賃貸借契約からは、種々の権利義務(債権・債務)が賃貸人・賃借人に発生します。
中心となるのが、賃貸人の『賃料債権』と賃借人の『賃借権』です。
なお賃料は、特約のない限りあと後払いである(民法第614条)
②民法第614条の内容
この内容は農家とかの収穫に伴う、民法になるため現在の前払い賃料といくば相違があります。
内容
賃料は、動産、建物、宅地について毎月末までに、そのほかの土地については毎年末までに支払う必要が有ります。
但し、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払う必要が有ります。
この条文は。任意規定(当事者の合意により変更される規定)であるため、借主と貸主の間で合意により、賃貸借契約は『前払いの特約』を加えることにより『前払い』を可能としております。
賃貸物件では、貸主や管理会社が『家賃滞納などのトラブル防止』が一番と考えておりますので、『家賃の前払い』が基本となります。
家賃が前払いか、後払いかは賃貸借契約書に明文化しており、事前に説明を受けて契約締結されます。
あくまで任意規定とされます。
②賃貸借の対抗力
賃借権は、債務者たる賃貸人に対してのみ目的物の使用、収益を請求可能な債権です。
このため、賃貸人が賃貸物の所有権を第三者に売却するなど譲渡した場合、賃借人は新所有者に賃借権を対抗できず、新所有者から返還請求に応じなければならない法もあります。
上記の方は『売買は賃貸借を破る』と言います。
③売買は賃貸借を破るとは⁈
民法の原則として、ある物を借りている人がいても、その物を売られてしまうと、その物を買った新しい所有者から返還を求められた時は、前の所有者との間の賃貸借は主張できず、その物を返還しなければならなくなる意味となります。
これは、所有権は絶対権としての『物権』であって、自ら所有者であることを万人に主張することが出来るのに対して、賃借権は債権であり、契約当事者(賃貸人・賃借人)に対してしかこの要件を主張できないためです。
但し、不動産賃借権を取得した者が、その旨の登記をしたときは、その不動産の譲り受けた者に対しても賃借権の存在を主張することは出来ます。
この登記を対抗要件として備えることで、不動産を譲り受けた新所有者が『所有者』であることを、第三者に主張することが出来ます。
④賃貸借の対抗(動産)
動産の賃貸借は、残念ですが第三者に対抗できません。
⑤民法第605条
不動産の賃貸借について、登記をした場合にその効力が生じる条文です。
❶不動産の賃貸借を登記すると、その不動産について物権を取得した者に対しても効力を生じます。
❷賃貸借の対抗要件を備えた不動産賃貸借に、物権的な効力を与えている。
❸賃貸人が土地を第三者に譲渡した場合、新所有者は旧所有者の権利義務を承継することができる。
❹新所有者は、所有権の移転登記を経由しなければ、賃貸人の地位を主張できない。
※民法第605条第2項、第3項では、賃貸人たる地位の移転や敷金の移転に関する規定が定められます。
但し、賃貸人はこの登記は、実益が少ないので現代では上手くはいかないのも事実です。
賃貸は簡単に説明すると、長いものですので続きは次回のブログにてご説明させて頂きます。
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