不動産の賃料について①
家賃にも種別があるのですが、ご存じでしょうか⁈
新規賃料⁈継続賃料⁈
不動産の仕事をして、賃貸の物件を取り扱いしておりますが、最低限知っていないといけない基礎知識が有ります。
とはいえ、『不動産の賃貸』を1~10迄を知っていますかと聞かれると、内心気にかかり、当方と言えども自信をもって回答できない場合もあり、日々勉強や経験を積まないと一人前にならないもので、精進しております。
1,継続賃料の基礎知識について
『継続賃料』と言われる言葉ですが『不動産鑑定』や『裁判』にはよく出てきます。
一般的には、あまり認知されてはおらず、知識の乏しいことにより『貸主と借主の間』で無用な争いが生じる可能性があります。
例えば
『101号室は最近まで13万円で貸せたのに、101号室は賃料10万円なので、安すぎなのでは⁈』
『隣のマンションは、13万円で空室で募集していたので、此方のマンションは更新ごとに値上げしよう』
色々と考えて、安直に貸主から管理会社経由にて、借主に値上げ交渉行うことで争いが発生する事態も起こりやすいものです。
そこで要点だけでも、『賃料の分類と定義』をある程度、把握しないと争いに繋がる可能性もあります。
2,賃料の分類について
賃料には、いくつもの種類があり、主だって2つ位に分かれます。
①新規賃料
新規に対象物件の賃貸借契約を締結する際(一般に『原契約』)に定める賃料を言いますが、空室の入居者募集を行った際に、成立する『マーケット賃料』とも言えます。
②継続賃料
既に賃貸借契約を締結を済まして、賃貸借契約期間の更新を行った際(更新後)の、引き続き賃貸借契約が継続する場合の賃料を言います。
不動産鑑定基準には、『不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において、成立するであろう『経済価値』を適正に表示する賃料』
3,賃料は別の分類で『実質賃料』と『支払賃料』に分類されます。
①実質賃料
貸主が収受するすべての経済的利点で、支払い賃料、共益費(管理費)、一時金(敷金や保証金等)の運用益、一時金の償却費から形成されています。
②支払い賃料
借主が各支払い時期に支払う賃料のことです。
月額総賃料が10万円であれば、支払う賃料は10万円になります。
このほかに、新規賃料の中には『正常賃料』と『限定賃料』という概念が有ります。
4,継続賃料における問題点と新規賃料との乖離状況とその要因について
賃貸借の更新時に賃料の増額、または減額の改定を行うことは、よくあります。
しかし、貸主、借主どちらかが賃料改定に異議を唱えると争いが生じる事案が有ります。
その要因は大きく分けると『事情変更に係る要因』と『諸般の事情に係る要因』です。
5,事情変更に係る要因
『事情変更に係る要因』とは、直近現行の賃料について合意し、適用した時点(通称・直近合意時点)から、鑑定評価する基準点までの間に変動した要因です。
分かりやすく言えば、『不動産価格が上昇して、賃料も上昇した』まさに現在の相場となります。
この5年間は、新賃料と現行賃料との乖離が上昇しております。
6,諸般の事情に係る要因
『諸般の事情に係る要因』は、直近の合意時点における賃貸借契約等の経緯や、家賃改定の要因で、その契約内容に該当することになります。
具体案でいえば、サブリースか否か等の契約形、当初設定の賃料の水準、自動更新の特約、友人・親族等の人間関係にて賃料の相談(恩恵的な賃貸借)がある場合
よくあるケースでは、初期の賃料を廉価にした賃貸借契約を締結した事情があれば、当初の期間だけといった認識を貸主側が併せ持つ可能性もあります。
そこで争いごとになるのが、賃借人からの認識は当初に契約した賃料から増額させるのは難しい問題になります。
期間限定の割引サービスは、割引期間を過ぎた時に、当初の契約内容を貸主・借主双方が納得した頂きたいものです。
7,継続賃料評価の一般的な留意事項について
①賃料増額請求権
原則として、借地借家法の適用がある場合、賃料増減額請求は認められております。
②契約自体の拘束力
契約締結時、賃料改定時に賃料相場と無関係に当事者が自由に賃料を決めることは、『契約の事由の法則』『私的自治の原則』から認められます。
③事情変更について
直近の合意時点以降に、公租公課、土地・建物価格、近隣地域若しくは類似地域等における賃料や競合する不動産の賃料の変動により、事情変更が生じる必要があります。
④諸般の事情
現行賃料の増額・減額については、③事情変更以外に、賃貸借等の契約締結の経緯、賃料改定の経緯、契約内容の要因を総合的判断する必要があります。
⑤公平の原則について
現行賃料の増減は、③事情変更④諸般の事情を総合的に判断すると、現行賃料では公平に反する場合に行われます。
また、継続賃料は、契約当事者間の公平を考慮すると、原則として現行賃料と正常賃料の間で決定されることになります。
説明が長くなりますので、インターミッションではないのですが、次回ブログにて続きをご説明させて頂きます。
関連した記事を読む
- 2024/12/10
- 2024/12/07
- 2024/12/05
- 2024/11/29