身内の犯罪は刑法に関係するのか⁈
老後の一人暮らしは、注意が必要なんですが。。
高齢者を狙う犯罪は悪質です!
ゴールデンウィークに入り、亀戸店周辺はお祭りのような催事と、観光客が多く活気に満ちております。
※中央通り商店街は、ゴールデンウィーク中は無数の鯉が泳いでおりました!
遥か前から、亀戸は寺社や飲食店が栄えているのですが、【海外】から入国した方々が寺社を廻る時代なんでしょうか。
来日の目的は分かりませんが、当方も旅館業を開業された方のお手伝いしたり、不動産業界のビジネスも多角的な視点・業務を覚えていかないと、此れからの業界の変貌についていくのも大変です。
特に、今年から不動産の業法含め、改正が多いもので色々な知識を沢山覚える必要が御座います。
今回のブログも成年後見人について、掘り下げて考察したいと思います。
1,身内でも罪に問われるのか⁈
よく有ることですが、高齢の親戚の成年後見人に選ばれた人が、財産を使い込み『横領罪』になった方が身内にもおりますが、刑法上の罪に問われるのか!
家庭裁判所にて成年後見人に選ばれた以上、その財産を使い込んだ場合『業務上横領罪』に問われ、『懲役2年』の実刑判決が下されます。
事件は『叔母と姪』との関係で、その叔母が認知症で、姪が成年後見制度の申し立てを行い、叔母の成年後見人となり、叔母の預金通帳を管理したのですが、姪はその預金通帳を預かり使い込んでしまいました。
このような姪の『横領行為』が発覚したのは、家庭裁判所が姪に『財産の目録の提出』を求めたのが切っ掛けになります。
家庭裁判所は、成年後見人が財産管理を適切に行っているのか、確認する為に何時でも管理財産の状況に関する目録を提出するよう求めてきます。
この時も、成年後見人である姪に対して、叔母の財産の目録の提出を求め、その結果『横領行為』が判明したのです。
その結果、家庭裁判所は姪に対して成年後見人としての『不正行為』が有れば、直ちに姪を解任し、他の親族から成年後見人を付けることになります。
新しく選ばれた成年後見人により、姪が刑事告訴され、結果的に『懲役2年』の実刑判決が下されました。
元々、親族の間で『横領行為』などの犯罪が行われた場合、刑法では『刑罰が免除されたり、告訴が無ければ裁判にかけられない』と定められております。
こういった事件で、『懲役2年』の実刑判決は厳しいと言えるのですが、成年後見制度は、『判断能力が低下したした方の権利』を擁護する、公益的な制度なので、成年後見人が、その地位を悪用した場合は、当たり前なんですが厳しい処分を受けることになります。
成年後見人として選ばれた以上、不正・不適切な財産管理をした場合、成年後見人を解任するだけではなく、刑法上の罰則は下されますが、『横領行為』は『民事上の損害賠償』も併せて訴訟される可能性も有ります。
2,成年後見人の葬儀は⁈
前項の方とは全く違う方なのですが、ご高齢の方からのご相談です。
ご家族の方が他界されて、遠方に親戚がありますが、認知症になりかけておられる方が心配されて、認知能力は幾らか残されており、ご自身の他界する時のご心配とのことで、色々とご相談を受けた時の対応(回答)です。
①原則は相続人!
成年後見人の方が死去されると、成年後見は終了して『成年後見人の権限』が無くなるのが原則です。
成年後見制度が、支援を必要とする『認知症・精神障害・知的障害』がある被後見人の生存中、身上監護・財産管理をして支援する制度です。
成年後見人が死去されると、その権利義務は全て相続人が受け継ぎます。
相続人が、葬儀を含めて『死後事務』は、通常すべて相続人が行うことになります。
②民法・家庭事件手続法の一部改正する法律について
実務上、遠方に居住して疎遠な方にお願いする場合、死後事務を行えない場合等には、成年後見人が、成年被後見人が死亡後、一定の死後事務を行う必要が出てきます。
手続きとして
❶成年被後見人の死亡診断書を入手して死亡届を役所に提出
※事故死や死因不明の場合、死体検案書を入手すること
❷病院の診療費・入院費用の支払いと入院預託金の精算
❸病院から遺体を引き取り、埋葬迄の遺体の安置・保存と埋葬を葬儀社に依頼
❹火葬・埋葬の許可申請・発行とされる許可証を受理すること
❺葬儀社へ火葬・埋葬の依頼
❻病院・自宅等に残置された私物の引き取りや不用品の廃棄処分の依頼
上記のように、生年後見人には成年被後見人の死亡後も一定の死後事務を行う必要が有ります。
『死亡届』については、後見人(保佐人・補助人・任意後見人)も独自の権限で届出が出来ます。
【戸籍法第87条第2項】参照
その他の死後事務は、成年後見人は成年被後見人の死後も、一定の範囲の事務を行うことが可能です。
【成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律】
上記法令が、平成28年4月13日に公布されて、同年10月13日に施行されております。
但し、死後事務が行えるのは『成年後見人』だけであり、保佐人・補助人・任意後見人は含まれまん。
民法第873条の2(改正法)により、一定の要件のもとに成年後見人が、その職務で死後事務は以下の内容です。
❶個々の相続財産の保存に必要な行為
相続財産に属する債権について、時効間近に迫っている場合に、時効の中断や、相続財産に属する建物の壁が剝がれた場合の修繕行為
❷弁済期が到来した債務の弁済
成年後見人の【生前】の医療費・入院費・公共料金等の支払い
❸成年後見人の遺体の火葬・埋葬に関する契約締結、❶❷以外の相続財産全体の保存に必要な行為
③死後事務の要件について
成年後見人が死後事務を行う為には、幾つか要件が必要とされます。
本来、成年後見人の死後は、その権利全て相続人に承継され、成年後見人の権限は失われるのが原則です。
(1)成年後見人がその死後事務を行う必要があること
(2)成年後見人の相続人が、相続財産を管理することが出来る状態に未達の時
(3)成年後見人が当該死後事務を行うことについて、成年後見人の相続人の意思に反することが明らかな場合ではないこと
(4)民法第873条の2・第3号の死後事務(遺体の火葬・埋葬の契約等)を行う場合は、更に家庭裁判所の許可が必要とされます。
④成年被後見人の葬儀について
改正法である【民法第873条の2,第3号】により、成年被後見人は成年被後見人の葬儀を執り行えるのでしょうか⁈
葬儀社との間で、遺体の火葬・埋葬の契約をすることは、家庭裁判所の許可が必要ですが、改正法でも『成年被後見人に葬儀を執り行う権利』は与えてはいません。
葬儀には、宗派・規模等により色々な形態が有り、その施行方法・費用負担を巡りトラブルが発生することも多いものです。
一般的に、個人参加した人たちで無宗教で、お別れ会・偲ぶ会を催すことは制限されておりません。
⑤保佐人・補助人・任意後見人の死後事務について
改正法で死後事務に含まれない保佐人・補助人・任意後見人は、被保佐人・被保佐人・任意被後見人等の死後事務の必要性が出てきた場合は、どうするのか質問が多く御座います。
被保佐人・被補助人・任意被後見人本人が死亡した場合、成年後見人と同様に『補佐・補助・任意後見人』の権限が無くなるのが原則です。
被保佐人・被補助人・任意後見人等が死亡時後、相続人と連絡が途絶えたりした場合、一定の死後事務を行う必要が出てくる場合があり、死後事務が一切認められないと、とても困ります。
成年後見人等には、『急迫な事情があるとき』には、例外的に、被後見人等の死後も必要な処分をする応急処分義務『善処義務』の規定が有ります。
【民法第654条、第874条、第876条の5、第876条の10、任意後見契約法第7条】参照
また、急迫な事情がある場合、被保佐人・被補助人の権利が時効で消滅しそうな時は、相続人が対応できない時、死後事務として必要な処分をする義務で、対応することが考えられます。
応急処分義務で成年後見人等が、行えることが出来る事務の範囲は必ずしも明確ではないので、葬儀については、成年後見人等の応急処分義務には含まれない為、この規定をっ使って成年後見人等が葬儀をすることは出来ません。
相続人が死後事務を行えない場合、事務管理(民法第697条参照)として、死後事務を行えることも考えられます。
3,事務管理とは⁈
事務管理(民法第697条)というのは、例に挙げると『隣地の1人暮らしの高齢者』が倒れているのを発見した隣人が、高齢者を病院に運んで、高齢者の名前で入院・治療契約してあげるように、他人に対し義務・権限がないのに、他人の利益の為に他人の生活に必要な仕事を処理する行為です。
高齢者と隣人が親子で有れば、親族間の扶養義務に基づき、義務管理にはならず、管理を継続し本人の意思・利益に反することが明確な場合、管理を中止する必要が有ります。
事務管理者は、その事務に従い最も本人の利益に適する方法で管理すべき義務があり、そのほか管理者には、本人への通知義務(民法第699条)や、事務管理状況(民法第645条、第701条)、金銭消費の場合の利息支払い等の義務(民法第647条、第701条)が発生します。
事務管理者は、『本人の身体・名誉または財産に対する急迫の危害を免れさせる為に』事務管理を行った緊急事務管理の場合は、悪意・重過失がない限り、本人に発生した損害の賠償義務は負いませんが、急迫の危害がなければ、受任者と同様、善管注意義務を負うと考えられます。
事務管理は、親切行為となる反面、要らぬお節介となる場合もあるうえ、損害賠償責任までは負う可能性もあり、注意が必要でありますが、その一方で事務管理者は本人に対して、事務管理に要した費用の償還請求が出来ます。
以上が『成年後見制度』についての、ご説明となりますが、色々と手続も御座いますのでご参考までとなります。

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