配偶者の居住の確保について
意外と知られていない無税になる相続税の金額
受益者連続信託とは⁈
早いもので師走に入りましたが、年初は能登半島を中心とした大地震の伴う大災害が起き、今年も多くの災害が有りました。
世間では、生活商品の価格すべてが上昇しており、振り返ると生活弱者で有ります年金暮らしの方や、子育て世代の方々に多くお会いし、数多く相談を受けました。
その中でも、難しい問題にも当方は、長年の経験と日々頑張って勉強した知識を基に解決しております。
以前に離婚に関するブログを掲載したのですが、慎重に相談を受けております。
1,『配偶者居住権』という制度の導入について
頓挫された配偶者・相続分の相談もありました。
被摘出子に関する判例では、『被摘出子の相続分を実子と平等にする民法改正』を経て、配偶者の生活を守る民法改正の議論です。
当初、配偶者の相続分を増やす改正案が検討されていました。
被相続人の財産が婚姻中に増加した場合は、配偶者の相続分を増や申案と、婚姻期間が20年を経過した場合は配偶者の相続分を3分の2に引き上げる乙案です。
しかしながら、反対意見が多く頓挫しやすいものです。
そこで次に登場した制度が『配偶者居住権』の制度です。
短期居住権と長期居住権が有りますが、短期居住権は遺産分割までの権利です。
長期居住権は、原則として配偶者の終身として想定されております。
但し、利用する人たちは、どのような相続関係にあるかがポイントです。
配偶者居住権が認めれるのは
①遺産分割によって配偶者居住権を取得すると合意されたとき
②配偶者居住権が遺言によって遺贈の目的とされたとき
③家庭裁判所の審判手続きで配偶者居住権が認められた場合
2,配偶者居住権が利用される場面について
遺産分割で配偶者居住権尾合意をするのは、仲のいい相続人⁈、仲の悪い相続人⁈
仲のいい相続人であれば、配偶者居住権の権利ではなく、居宅を配偶者に相続するのが最善策でありますが、または、共有で相続して配偶者に居住の継続するのがいいと思います。
仲の悪い相続人であれば、不動産について『配偶者が死亡するまで処分権を失う遺産分割』が非現実的であると思います。
『配偶者居住権が設定』されてしまえば、家賃・地代も収受することなく、配偶者が死亡する日まで待つ必要があります。
遺言状または、死因贈与契約書で、配偶者居住権が設定されるのは、どのような場合であるのか。
配偶者の居住が心配で有れば、居宅自体を遺贈し死因贈与することでしょうか。
何故に、配偶者居住権という中途半端な権利にする必要があるのか⁈
配偶者の余命として何年を想定するのか、仮に3年で有る場合と、20年で有る場合は全くシュミレーションが変わることになります。
此処で幾つか問題になる点が出てきます。
『配偶者居住権の管理』が可能であるのか⁈
そこで、修繕費・通常の必要費用は配偶者の負担になります。
その不動産に『固定資産税・火災保険料』は誰が負担するのかの議論もあります。
火災保険は、基本的に建物所有者の負担ですが、建物が途中で利用不可の場合、配偶者はどのようになるのか問題もあります。
建物に住むには、必ず居住(生活)している方に、責任があります。
そもそも無償使用する場合、不安定な権利であるため、配偶者が安心できないものです。
3,配偶者居住権の評価について
配偶者居住権の相続税についての評価の計算法が有ります。
建物の固定資産税評価額が、残存耐久年数の経過に従い、定額法的に減価償却する前提が必要です。
そして配偶者居住権が消滅する時点での建物の価額を求めて、その価額を複利現価で割り戻し価額が建物の所有者に帰属する相続財産の価額になります。
配偶者の平均余命より前に、建物の残存耐用年数が尽きれば建物の評価額は0円になります。
配偶者の平均余命が、仮として10年とすると、10年が経過した時点における残存評価を求めて、10年経過後の残存価額について法定利率年3%による、『複利現価の方法』で現在価値となります。
4,配偶者居住権の利用について
配偶者居住権が、その趣旨に従い利用される場面は、通常想定できないものです。
目的外であれば利用できるのですが、此処は聞きなれないと思いますが『受益者連続信託に代わる利用法』です。
後妻に居宅を相続させた場合、後妻が死亡した場合先妻の子供に財産を承継させたい。
その様な時に利用するのが『受益者連続信託』ですが、後妻が相続した時点で相続税が課税され、子供が取得した時点でも相続税が課税されてしまいます。
此処からは『相続税』に絡む内容なのですが、第一次相続では配偶者の相続税額の軽減や特定居住用住宅宅地の特例で相続税は生じませんが、第二次相続では『1親等の血族以外の者への遺贈として2割加算の相続税』となります。
そこで『配偶者居住権』を利用します。
第一次相続では相続財産は配偶者居住権と、その負担のついた土地建物に按分され、第二次相続の段階で配偶者居住権は消滅しますが、その場合でも子供への相続権の課税はないとされます。
一度の相続で有り、それも相続税の負担額が半減するメリットがあります。
後妻の場合に限らず、母親に配偶者居住権を取得させると、土地建物を相続した子供が負担する相続税は半減します。
配偶者居住権が、仮に60%と評価され、土地と建物の評価額が40%と評価された場合、配偶者居住権への課税関係はそれほど心配がないとされます。
配偶者の場合、法定相続分、または1億6000万円までは、相続税は非課税です。
配偶者居住権については、特定居住用住宅地の評価減の規定も適用され、子供が同居する場合は、敷地部分についても特定居住用住宅地の評価減が利用できます。
相続税の節税手法の利用となります。
次回のブログは、離婚問題について考察したいと思います。
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