賃貸市場の問題点について
リスクも有れば、メリットもある!
人生100年時代について
季節もめっきり秋らしくなり、深夜のラジオ放送で高橋英樹さんも話しておりましたが、長く厳しい夏場も落ち着いた感じです。
先日、江東区主催のセミナーに参加したのですが、今回は『賃貸市場の現状』について考察したいと思います。
賃貸と言えば、色々な角度で見ていかないとトラブルが絶えないものです。
1,賃貸オーナー・不動産会社の想い
貸主・不動産会社がリスクと判断する事柄
①ご入居される方が高齢化して『孤独死・認知症・家賃滞納・保証人や緊急連絡先』の不安が有ります。
②貸主負担での『リノベーション・宅配ボックスの設置・無料Wi-Fi』等の特に若年層に人気の設備投資の費用的な余裕がない
③『住宅ローンの返済、売却価格』を考慮すると、家賃の値下げに対するリスク
④空室が増えてきているが、空室が中々改善されない。。
⑤コロナ渦や景気の後退の影響で、家賃滞納者、定額所得者が増えている。
⑥内心、高齢者・障がい者の受け入れは公営にお願いしたい。。
⑦高齢者にご紹介しても、貸主(管理会社)から受け付けて貰えない。。
⑧『家賃減額・設備投資』しても空室対策にならない。。
上記以外にも、貸主のご意見や切実な思いは沢山お聞きします。
2,過去データと比較すると
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査速報集計参照
1968年の空室率は4.0%
1998年の空室率は11.5%
2023年の空室率は13.8%
ここで問題なのは、2023年度は空室900万戸
そのうちの賃貸用の物件の空室が約443万戸
2003年から2023年の20年間
物件数が1,113万戸増加し、空家数が241万戸増加しております。
その241万戸の内、76万戸が賃貸用となっております。
空室率が悪化した原因は色々ありますが、江東区のホームページの人口統計を閲覧すると、不安材料が確認されます。。
2024年9月1日現在、江東区の全人口は541,016人(293,479世帯)です。
2010年から2040年にかけて、15歳から64歳までの人口増加は43,394人と予測されるに対して、65歳以上の高齢者は55,177人と、地方都市の総人口に匹敵される人数が、高齢者となることです。
そんな中で、初頭で賃貸オーナーの悩みである高齢者の入居の扱いが、今後のニーズに当てはまるのかが、今後の入居者管理が問題点となります。
3,住宅確保要配慮者と住宅支援について
2017年10月25日に、『新たな住宅セーフティーネット制度』の制定されております。
『住宅確保要配慮者』の住むところの確保と住む方の支援を『居住支援』と呼ばれます。
その『住宅確保要配慮者』の属性は幾つかに選定されます。
月収15.8万円以下の世帯、被災者、高齢者、障がい者、子育て世代(18歳未満の子供がいる世帯)、外国人、LGBT
貸主が揃って心配・不安されるのが『貸室内での死亡事故』が90%以上です。
高齢者・障がい者に対して70%、外国人に対して60%、子育て世帯に対して20%の貸主が回答されております。
4,『住宅確保要配慮者』が拒まれる要因について
①低額所得者(世帯月収15.8万円以下)
家賃支払い能力
②被災者
生活基盤の喪失(家族・資産・仕事など)、コミュニティーの崩壊
③高齢者
孤独死、認知症、バリアフリー設備がないこと
④障がい者
近隣トラブル(精神)、身体機能と設備要件のミスマッチ(身体)
⑤子育て世代(18歳未満の子供のいる世帯)
一人親世帯・家賃支払い能力
⑥外国人
生活習慣、文化の違い、無断で居住人数の増加や無断で帰国
⑦LGBT
偏見・親族の理解を得られず『緊急連絡先・連帯保証人』の確保が難しい
各々、入居を拒まれる要因にて、入居拒否されることが多々あります。
特に高齢者が拒まれる理由として挙げられるのが『孤独死』ですが、『日本少額短期保険協会』でレポートされた回答を見てみると意外な結果です。
なんと『60歳代』の方が一番多く、次いで70歳代、50歳代で、60歳代がピークになりますが、その80%が男性が該当されます。
因みに、20歳代~50歳代の孤独死が全体の約40%、60歳代の孤独死が全体の約29.1%、70歳代の孤独死が全体の30.9%となるようです。
5,高齢者が入居に際して拒まれる理由は⁈
一概に数字を出すことは非常に難しいのですが『日本少額短期保険協会』の『第7回孤独死現状レポート』にて記載したいと思います。
第一発見者の構成で比率を出してみます。
報告内容では全体の孤独死された方の合計は『4,906名』
親族が発見者・・・1,251名
友人が発見者・・・ 681名
管理会社が発見者・1,281名
福祉関係が発見者・・・721名
警察関係が発見者・・・431名
他人が発見者・・・・・541名
諸事情が関係して、親族・管理会社が半数以上、遺体の第一発見者になります。
6,孤独死に伴い発生する損害額について
この金額は、非常に難しいのですが、統計上の費用計算(日本少額短期保険協会)の数値を転用しております。
残置物処理費用(遺留品等の廃棄)
1件に対しての平均は『235,939円』
原状回復費用
1件に対しての平均は『381,111円』
孤独死を集計できるのは警察庁ですが、65歳以上の方は、全体の76%と高い比率になります。
7,高齢者を賃貸物件に受け入れるメリットは有るのか⁈
各方面で、よく聞くのは『人生100年』
公開されている日本人の平均寿命は『男性は81.09歳、女性は87.14歳』
今から遡ること70年前は、『男性は63.60歳、女性は67.75歳』
この70年で、男女共に平均寿命が延びたのは、日本人の趣向が大きく改善したのでしょうか。
高齢者を受け入れるメリットは有るのかと、よく関係者に聞かれることが有ります。
65歳以上の高齢者の方の『63%』が、6年以上居住・3回更新するとされるデータも巷に出ております。
学生、若年層の単身者の方々は、凡そ6年以上は居住することは少ないことと、法人契約・外国人層は1回更新するかしないかの契約が多いものです。
特に外国人の場合は、入居審査も厳しいのですが退去も比較的早いのも、貸主から見れば非常に取り扱いが難しい問題になります。
当社は、今年縁があり多数の高齢入居者様にお会いしており、80歳代でも元気にご入居されている方もいらっしゃいます。
如何にせよ、折角のご縁でもあり貸主との懸け橋の身でもありますので、安心して居住して頂くことが重要であると思います。
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