『土地の境界』について
『筆界特定制度』利用の場合1年以上時間がかかりました。。
境界は不明であると大きく価値が下がります
天気が不安定ですが、この時期の一番苦手な仕事内容は『測量の立会い』になります。
土地所有者、隣地所有者、測量会社、おまけで当社も立会するのですが、足元がぬかるんでいると、立会する際は、集まりが悪いものです。
測量の内容ですが、ブログは季節・天気に関係なく掲載いたしますので、ご参考までご確認頂ければと思います。
『測量図』について以前ご説明いたしましたが、『土地の境界』が一番根本的かつ重要です。
『土地の境界』は不明の場合が多く、不動産を所有・相続・購入される方がトラブル回避のため、十分に知っておく必要が御座います。
土地の境界が無いケースですが、よく有る事は近隣が境界との立会を拒否したり、先祖代々が所有する土地であったり、測量代が思っているより高額であった場合、土砂災害にて元々有った境界が不明になる等、色々な場合が有ります。
日本政府広報でも2014年(平成14年)1月20日付けにて『筆界特定制度』の公告をインターネットや各法務局に置いています。
❶2種類ある土地の境界について
土地の境界について2種類有りますが、その土地が法務局に初めて登記された時に、その土地の範囲を区画するのとして定められたのが『筆界』と言われる境界です。
その後に、分筆・合筆の登記手続きにて変更されていない限り、登記された区画線がそのまま現在の『筆界』となります。
『筆界』は、土地の所有者同士の合意によって変更することは出来ません。
あまり聞きなれない語句ですが『筆界』のほかに『所有権界』と呼ばれる『土地の所有権の権利が及ぶ範囲を画する境界』が有ります。
『所有権界』は、土地の所有者間で自由に移動させることができ、『筆界と所有権界は一致するのが普通』ですが、土地の一部について他人に売却譲渡したりした場合に、『筆界と所有権界が一致しない』場合が有ります。
隣地との筆界が不明な場合には、土地を売却したり、その土地にある建物を改築したりしようという時に、筆界を巡りトラブルになるケースが多く有ります。
筆界を巡るトラブル予防・早期解決のため、平成18年1月から『筆界特定制度』が始まりました。
❷『筆界特定制度』について
『筆界特定制度』とは、土地の所有者の申請に基づき、『筆界特定登記官』が、民間の専門家『筆界調査委員』の意見を踏まえて、現地における土地の筆界を『筆界特定登記官』が明らかにすることです。
土地の筆界を巡る問題が生じた時には、裁判(筆界確認訴訟)により筆界を明らかにする方法も有りますが、その場合、筆界を明らかにするため資料の収集は、所有者自身で行うことに成ります。
『筆界特定制度を活用』することにより、公的な判断として筆界を明確にするため『隣人同士で裁判しなくても、筆界を巡る問題解決』を図ることになります。
ほかに、当事者の資料収集の負担軽減といったメリットも大きいと思います。
❸土地所有者からの申請に基づいて行う『特定筆界』について
『特定筆界』は、土地所有者などからの申請に基づき行います。
筆界特定の申請が出来るのは『土地所有者登記人』または『その相続人』等ですが、申請人は対象となる土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の筆界特定登記官に対して、申請書に必要事項を記載、必要書類を添付申請することです。
『筆界特定登記官』は、その申請に基づき『筆界特定の手続きを開始』しますが、この手続きの中で『土地家屋調査士・弁護士』等の専門家から任命される『筆界調査委員』が調査します。
『筆界調査委員』は、土地の実地調査・測量を含む様々な調査を行い、筆界に関する意見を『筆界特定登記官』に提出、『筆界特定登記官』はその意見を踏まえ、様々な事情を考慮し『筆界特定』を行います。
申請人・関係人は、筆界特定が行われる前に『登記筆界登記官』に対し、筆界に関する意見を述べたり、資料提出できます。
❹『筆界特定制度』を利用するメリット
①費用負担について
筆界特定制度を申請する際(申請手数料)が必要です。
対象の土地筆数・土地の合計金額により、手数料が決まることと、一般的な宅地の測量代金がかかります。
裁判に係る費用と比較すると大きく低減されるメリットが有ります。
②早期の判断されるメリット
通常、裁判にて結審まで約2年と言われておりますが、当制度利用にて多くが半年から1年で判断されます。
但し、複雑な問題の場合、判断まで長期要することも有るようです。
③民間の専門家の意見を踏まえた判断
『筆界特定』は、公的機関が専門家の意見を踏まえた判断、またその内容が高い証拠価値が有りますが、裁判手続きの結果が尊重される傾向にあるようです。
以上が『土地の境界』についての基本的な事柄について説明させて頂きました。
ブログの前半は『筆界特定制度』についての記載しましたが、それでも境界解決が困難な事案も少なからず有ります。
まずは、その境界トラブルを解決する方の紹介になります。
❶ADR 認定土地家屋調査士
通常の土地家屋調査士の業務の他に、民間紛争解決手続き代理業務を行うのに必要な能力を有すると『法務大臣が認定した土地家屋調査士』に限り『弁護士との共同受任』を条件として行うことが出来る法曹です。
『土地の筆界が現地に於いて明らかでない事を原因とする民事に関する紛争』に於いて、土地家屋調査士が『民間紛争解決手続(ADR )』の代理関係業務を行うには、従来の業務以上に高度な倫理意識、専門意識、要素が求められ『信頼性の高い能力担保』を講じることが代理権付与の条件で有り、この点は全ての土地家屋調査士に認められている筆界特定の代理権と大きく相違するところである
※上記文書は、土地家屋調査士協会でのADRの説明文を参照させて頂いております。
❷所有権界を巡る境界トラブルについて
筆界特定によって筆界が判明したとして、その土地の一部について所有権ではない人が長年利用しているなどの事実があって、時効によりその部分の所有権を取得している場合、その所有権界と先に特定された筆界とは異なります。
この様に筆界と所有権界が異なる土地について、所有権界を明らかにすることを求めている場合、『土地家屋調査士会ADR』(境界問題相談センター)又は、裁判(所有権確認訴訟)で解決を図る事になります。
このうち、『土地家屋調査士会ADR』は、各地の土地家屋調査士会が運営する制度で、裁判ではなく土地家屋調査士と弁護士が調停人として当事者間の話し合いの手伝う事によって、所有権界に関する問題を早期解決を図るもので、裁判判決のような強制力はないですが、『和解契約書を履行しなければならない』という法的効力が付加されます
境界トラブルが出た場合『お近くの法務局』に申し出された場合、『土地家屋調査士会ADR』の紹介を受けられます。
❸筆界特定制度と土地家屋調査士会ADRとの比較について
①筆界特定制度
対象・筆界特定
解決方法・筆界特定登記官の判断
決定書類・筆界特定書
法的効果・拘束力はなし
②土地家屋調査士会ADR
対象・筆界の確認、所有権界、民事紛争
解決方法・話し合い
決定書類・和解契約書
法的効果・和解契約書の履行
以上が『土地の境界』についての、『トラブルの解決策』の方法になりご説明とさせて頂きます。
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