近隣の紛争について(その2)
近所との紛争の序章は、その根本を知るべし!
生活妨害、救済措置は『差止と損害賠償請求』
前回のブログの続きとなります。
『近隣との紛争』は、此処までとか区別できないもので、解決に向かうまでの障壁が多いものです。
『生活妨害』に対しての救済措置としては、『差止め』及び』損害賠償請求』が有ります。
1,差止めの請求
差止めとは、被害者に損害を与えるような行為を止めさせることを請求するものです。
此れが認められれば、加害行為は止むので『抜本的解決』が図られます。
差止めが認められる根拠については、考え方が幾つか分けられます。
この考え方は、生活妨害を土地や建物の所有権の侵害としてとらえ、物権的請求権に基づいて妨害の排除、差止めを行おうとする考え方。
②人格権説
所有権も侵害としてとらえず、人の身体、健康、自由などの人格権に基づく『妨害排除・予防請求権』を認めようとする考え方になります。
権利の侵害があたれば、直ちに妨害排除を認めるのではなく、差止めにより保護されるべき利益があり、これを第三者が違法に侵害すれば損害賠償と並び差止めも認められると言った考え方です。
④環境権説
法律実務家の研究により、積極的に主張され始めた説で、環境権を憲法に基づく絶対的権利として構成し、これを侵害するものに対して差止を認めるという考え方です。
この環境権説と①物権的請求権説②人格権説③不法行為説の従来の考え方との違いは、従来の考え方では加害行為の侵害の態様と被害の程度とを比較して、社会生活上、我慢すべき限度(受任限度)を超えると判断されないことになりますが、『環境権説』では侵害があれば直ちに差止を認めることになります。
2,損害賠償の請求
生活妨害に基づいて被害者は、加害者に対し損害賠償の請求をすることができます。
この損害賠償請求は、加害者の不法行為によるとされます。
不法行為は、加害者の行為が、故意過失に基づいて、その行為によって被害者の権利または利益を違法に侵害し、その結果、被害者に損害が発生したことです。
この場合、『故意』とは自分の行為によって他人に損害を与えることを知りながら、尚且つ、あえてその行為をすることを指し、『他方』『過失』とは、不注意によって他人に損害を与える結果になることを指します。
3,不法行為による紛争
他人の加害行為による侵害行為があっても、既に終わってしまい、あとに損害が残ったという場合、他人の加害行為が不法行為の要件に当てはまれば、被害者は加害者に対して損害賠償を請求することが出来ます。
不法行為に基づいて、被害者が加害者に損害賠償請求をしようとする場合
①加害行為と被害・損害との間に因果関係があること
②加害者に故意・過失が有ることが必要
③因果関係や故意、過失は、損害賠償を求める被告側で立証する必要が有ります。
説明は以上ですが、民法ではこのほかに『プライバシーや人権侵害』等の法規制もきびしく取り扱いされております。
今では『個人情報保護法』等は皆様熟知されていると思いますが、『プライバシー・人権侵害』は、民法と言うより刑法での取り扱いになります。
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