集合住宅に於ける問題について
区分所有法(分譲マンションの基礎的な法令)
賃貸と違い分譲の場合は取り扱いが厳しくなります
集合住宅と言いますと、賃貸でも分譲でも共通の問題点が多々あります。
そんな中で、上からポタポタと不快な音がすると、嫌な予感が的中するものです。
かなり前ですが、賃貸アパートに住んでいた時も、所謂、雨漏りで困ったこともあれば、分譲のマンションでも、経年劣化や使い方の問題で、上階から下階にご迷惑をかけるのは『音』が代表的なのですが、『水』とかであると揉めることが重大になります。
上記の件であると、分譲の場合、発生してから3か月程度必要で、部分的しか修繕してもらえないので、本当に困るものです。
部分的というと、大概、保険の適用内であるので天井だけの修繕
ボードの一枚の貼り換えと、天井のクロス紙の貼り換え程度です。
こう
いった工事は、長年住んでいると正直中途半端な工事なので、修繕しても複雑な心持になります。
相談内容(クレーム)
以前の話になるのですが、賃貸管理していた時に1階に居住している方から、前置きと同じ事例ですが『天井と壁に水が落ちてきて、家財に損害が出た』という話が有りました。
上階(2階)から漏水原因であると思われたのですが、その住民はプライバシーの侵害であるという理由で、上階に入れず苦情に取り合って頂けないと言った相談が有りました。
考察と解決策について
マンション内の漏水事故は、極めて深刻で集合住宅特有の『給水・配水管のトラブル』はほかの住民に影響が出るものです。
今回のように、天井・壁に漏水したことの原因が上階であると疑えるのですが、マンションの漏水の原因は技術的に難しいものです。
※上階でも、ほかの部屋が原因出ることもたまにあるからです。
何れにしても、漏水の原因を確定しないと、同様の事故が起こりえるので、マンションの管理人の協力を得ないと、上階の住民の理解を求めることが最重要です。
1,立入の受忍義務について
上階の方のプライバシーも重要ですが、その権利は絶対的ではなく、ここは重要で判例等で調べると
判例では『マンションの住人には、階下に漏水事故が発生しその修理のために、立入の必要が生じた場合には、これを受忍する義務があり、これを拒否するのが正当と認められる特別の事情がない限り、不法行為となる』として、立入を認めています。
建物が分譲マンションの場合
『区分所有に関する法律・第6条第2項』には、区分所有者は、その専用部分または共用部分を保存し、または改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分または、自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。
この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない』と規定されています。
これは、上階居住者の『受忍義務の根拠』になります。
何れにしろ、上階居住者の『受忍義務』に違反して、立入拒否したことに基づく損害について、相談者は上階居住者に対して、損害賠償の請求ができます。
しかし、上階居住者が『義務違反を承知でこれに応じない場合』上階居住者の部屋に入ることは不可能になります。
点検につき合理的な必要性があるのに、これを拒絶することは、上階居住者は変わり者出る感じであるため、当事者同士が、日ごろから上手くいっていないことが原因かもしれません。
裁判をしてまで『受忍義務の有無』を争うのは大変ですので、日ごろからの円満な付き合いは、とても重要です。
2,専用部分からの漏水の場合
上階に損害賠償請求できる可能性ですが、これは上階から漏水が確定した場合が前提になります。
調査結果にて、上階からではなくマンションの共用部分であれば、上階居住者の受忍義務に応じなかったために、増えた損害賠償することは可能ですが、漏水自体に上階居住者が原因を与えていない場合、責任は追及することは困難と言うより大変問題になります。
床や壁のコンクリートに埋設してある部分の欠陥による事故については、区分所有者全員が責任を負うことになります。
専有部分である蛇口を解放したままで放置したため、階下に漏水したなどと言う場合、区分所有者個人に責任が有りますので、こそ場合は、個人に賠償責任が及びます。
3,漏水につき上階居住者に過失がない場合
前項のような内容(蛇口の漏水のように上階居住者に過失がある場合)には、上階居住者が責任を負うのは当然になります。
しかし、上階居住者に必ずしも責任が有るわけではない場合もあります。
上階居住者のい責任がない場合、専有部分に関する部分からの事故である限り、上階居住者は『民法第717条』に基づき責任を負うことになります。
『民法第717』は、土地の工作物の所有者に無過失の責任があることを定めた規定になります。
4,区分所有法で規定された特別決議事項
★区分所有者及び議決権の各3/4以上の賛成が必要な決議事項
①規約の設定・変更・廃止(区分所有法第31条)
②共用部分の変更(区分所有法大17条)
※その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く
※この決議は、規定によりその要件を過半数まで緩和できる
③管理組合の法人化の緩和とその解散(区分所有法第47条、第55条)
④建物に保存に有害な行為その他建物の管理、使用に関して区分所有者の共同利益に反する行為をする。
⑤義務違反者に対する区分所有権及び敷地利用権の競売請求(区分所有法第59条)
⑥義務違反行為をする占有者に対する契約解除、及びその専有部分の引き渡し請求(区分所有法第60条)
⑦建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧(区分所有法第61条5項)
⑧団地内の特定の建物の建替えの承認(区分所有法第69条)
★区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成が必要な決議事項
①建物の建替え(区分所有法第62条)
②団地内の建物の一括建替え(区分所有法第70条)
※各建物ごとに、その区分所有者及び議決権の各2/3以上の賛成が必要です。
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