昔からの土地で境界が不明な場合の取引!
資料の無い不動産を売買するには、『書類の作成・取得』が重要です!
『筆界特定制度』の利用について!
六月に入り、天気が日替わりで変わり、体調を崩しやすい季節に入りました。
気温差が10℃以上も変わると、さすがに体調管理も大変です。
そんな中で、私が担当していたお客様の相談ですが、実例として色々とご説明したいと思います。
相談の内容
考察についてその方は、相続にて実家の山林をご所有されて、その隣接している方が、その山林を購入したいとの内容です。
隣接地の方も、その山林を代々相続されており、何処が境界であるのか不明であるとのことです。
全国的に、土地の価格が値上がりしている現在、『人里離れた山林』も例外ではなく、依然と比べて値上がりしているようです。
その山林は、かつては人が住むとか考えていなかったようで、時代なんでしょうか山林まで開発の手が入るようになったとの事です。
問題なのは、今まで土地の境界を当事者同士が全く気にしておらず、売買の話が入れば実質的な所有権の範囲は確定しなければならないものです。
その当時、昔からの明確な境界線の発見もしくは、境界線自体うやむやになるものです。
1,筆界特定制度
平成18年から不動産登記法が改正され、『筆界特定制度』がスタートされ、土地の境界を求める当事者の一方または、双方の申請に基づいて『筆界特定登記官』が、外部専門家である『筆界調査委員(土地家屋調査士など)』の意見を踏まえて、土地の筆界の現地における位置を特定する制度になります。
筆界調査委員は、これを補助する法務局の職員とともに、土地の実地調査や測量を含む様々な調査を行ったうえ、筆界に関する意見を筆界特定登記官に提出して、筆界特定登記官が、その意見を踏まえて筆界を特定します。
但し、登記官の決定には法的拘束力は有りません。
不服がある場合は、最終的には裁判所の判断に委ねられますが、隣地との境界の画定をおよそ半年から、それ以上の期間に実現することを目指す制度になります。
2,境界確認の訴え
境界について、当事者で確定できないときは、最後の手段として依頼者は隣接地を被告として境界確認の訴訟を起こせば、相談者と隣接との境界線を確定しては頂けます。
その場合、裁判所は境界が不明の訴えを退けませんので、何れかの地点を示して境界画定してくれます。
しかし、訴訟は最終手段であり、通常は双方が資料を持ち寄り、その現場で立会をして、双方が納得して境界を確認し、境界標を入れることができれば解決します。
3,境界を確定するために
境界が不明な場合、資料が必要になります。
その資料は、現地の最寄りの法務局にて『土地の登記簿謄本・公図』が必要になりますが、登記簿には『問題となっている山林の所有権がいつ頃に移転登記』されているのかが記載されております。
※登記簿上の面積が実際の面積とは同一とは限りません。
一般的に、公簿面積(登記簿に記載された面積)より実測面積(土地家屋調査士等が測量した面積)より広い場合は『縄延び』があることや、逆に狭くなる場合は『縄縮み』があると言います。
公図とは、『法務局備え付けの土地台帳付属地図』が正式な呼び方です。
公図には、各土地の地番、道路を含む各土地の区画が描かれています。
公図と土地の現状、昔の地図などと比べて検討することにより、隣接地所有者と依頼者との間で、山林の地境の見当をつける重要な資料になります。
境界確定のためには、資料(書類)だけではなく、証人の証言も重要で、その地方で昔から不動産の取引に関わっている人に、その地方の山林取引の慣習などを聞くことも重要な参考にもなります。
昔のことでも、境界の目印として『山の尾根、沢、付近に立木している大木、目印となっる石、地蔵』や『今まで当事者が植林していた』『家畜の飼料にする下刈り』『過去の山林の利用状況』等が挙げられます。
そのほかに、各人の所有する公簿上の面積、その面積に基づく図面について当事者が主張する面積の差異などが参考となります。
裁判になる前に、有利な資料は自己責任で収集することが重要になります。
また、山林の隣接地所有者が境界を無視して開発を進めた場合、土地の現状を事実上変更する場合、宅地造成行為を中止させるために、仮処分の申請が必要になる場合が有ります。
本件の相談者は、違法行為はしていませんので、じっくり話し合いをすれば解決に向かう事例です。
境界確定するには、測量費用が必要としますが、地積更生登記(実測面積から法務局にて変更登記)しておくと最良であると思います。
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