崖地の擁壁工事未了の土地について
擁壁工事後のメンテも重要です!
崖地の擁壁費用は『折半』になるように
今回のブログですが、前職にて学んだことですがとても重要な事例です。
相談者の土地は、隣接地の土地
場所は、東武野田線で起伏の激しい場所で、崖の壁面は赤土で、大雨が降ると一部土砂が崩れる軟な感じで、怖いのが地震や台風が来た時に、崖崩れが相隣関係どころか命の危険にもさらされる事案でした。
余談ですが、私の生家も崖地でしたので、何回も崖崩れにて擁壁を作り直しております。
今回の争点は、隣接地の法地(法面)に擁壁工事を請求できるかの相談です。
考察と回答
その当時、法曹事務所に相談しておりますが、難しい言葉で回答されました。
相談者の現在の土地について『所有権』を有していますが、所有権を直接排他的に支配する権利できわめて強力なもので、『所有権者』は物を奪われれば、此れを返還できるように出来ます。
回答ですが民法では『変換請求権』という意味です。
別に、物に対する権利を妨害された時には、妨害排除請求権を有します。
さらに、権利行使について妨害を受ける権利が有れば、妨害を予防する請求権を有します。
回答ですが民法では『妨害予防請求権』という意味です。
これらを所有権に基づく『物権的請求権』と言います。
本件の場合、高台の隣接地の土地から崩れることによって、相談者の土地を宅地として利用するのを妨害される危険が生ずるので、相談者に対して擁壁の工事をしなければいけないことに成ります。
※擁壁工事の費用負担が争点
本件は、隣接地の土地から土砂が崩れることにより、相談者の土地が宅地としての利用を妨害・危険にさらされるので、隣接地に対して土地所有権に基づく『妨害予防請求権』を有することになりますので、過失の無い隣接地に費用負担させれれば、実質的に不公平になります。
但し、隣接より崖が崩れた場合、人的な事故が起きてからは遅いので相談者として擁壁工事を急ぎたいのですが、隣接地としては莫大な費用が発生しますので、中々に難しい問題です。
本件で一番問題になるのが、莫大な費用ですが、その費用負担が誰がするのか此処は難しい判断になります。
費用の点、土地の相隣関係を調整する規定を準用して、相談者と隣接地が費用折半するのが妥当であるのですが、民法226条では『相隣関係・囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する』ことになります。
境界上に設置する塀などは原則として当事者が、折半して負担することに成りますので、この考え(民法)を適用し、双方の実質的な意味で、妥当であると思います。
不動産を購入するうえで、崖の上下に位置する土地は、いかなる場合でも危険な状態であるので、安いと言っても土地建物を購入する際は、十分に検討し、購入後の利用価値を高める必要があることを十分に理解して頂きたいと思います。
特に、郊外の土地は条例等で『崖条例』が御座いますが、崖地だけではなく隣接地の塀がコンクリー製で高くなっている場合もあります。
詳しくは、現地で高さを確認し、地方自治体にご相談されることをお勧めいたします。
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