隣地との埋設管トラブルについて!
相隣関係は重要です!
囲繞地・私道に面している時は、『隣地との良好な関係』が必要になります。
このところ、色々な問題の相談がきており、此方も対応で頭を抱える問題です。
売却したい。。そんな考えをお持ちな方の相談は、日常茶飯事なのですが、相談される方の心持は非常に重苦しいものです。。
相談内容
相談者のご自宅は『袋地』と呼ばれる、周りに囲まれた『囲繞地』になります。
元々は周りの土地は、同じ地主所有でしたが、土地が分筆され別々に譲渡され現状は、本件隣が帯状(共に敷地延長)の形状として双方通路部分として使用されているのです。
また面倒なことで、この部分が『建築基準法第42条二項道路』の私道となります。
相談者が、家が老朽化したもので建て替えを検討されているのですが、通路部分に『上下水道・ガス管』の埋設管、空中に電気の配線が敷かれております。
此処が一番問題なのですが、隣地との埋設管が複雑になっていることと、隣同士の人間関係が仲が悪いといった具合でした。。
建替えする際に、隣地の反対や苦情が来たりして建築できない可能性が高いとの相談です。
考察と回答
今回の相談で重要なのは『前面道路が私道』であること。
一般的な公道に面していれば、大きな問題は無いのですが『隣人から承諾書と覚書等の署名・捺印』を頂く必要が有ります。
隣地との交渉により、その承諾書・覚書を頂ければ問題ないのですが、交渉が決裂し了解いただけない場合、諦めるか、訴訟にて要求を通す方法しかないのです。
袋時の通行権は、民法に規定がありますが、『ガス・電気・電話の配管・配線』についての明文規定がなく、下水道法第11条に『他人の土地または排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、または他人の設置した排水設備を使用することができる』と、前回のブログでも説明した規定があるくらいです。
今回の相談は、他人の土地の利用に制約が入ることで、隣接地の損害が最小限に抑える方法によりますが、結論的に最悪の場合、裁判所で容認せざるを得ない事案です。
一般的な判例では、民法第209条(隣地の使用請求)、210条(囲繞地の通行権)、220条(排水のための低地の通水)下水道法110条を類推適用して、他人の土地を通して、ガス・上下水道・電気・電話の配管配線を認めています。
配管配線の設置場所は、特段の事情がない限り、囲繞地通行権を有する部分であるとされております。
裁判例を色々と調べても、工事の承諾を求めるもの、工事妨害禁止を求めるもの、双方を求めるものなどが有ります。
何れにしろ、生活に必要不可欠な配線・配管については、その設置を認めるべきであるといった学説的な意見が一致するものです。
今回の相談の場合、相談者と隣接地と粘り強く交渉して、交渉が決裂したとして調停による解決を図るべきです。
裁判による判決により恨みも残ることもあり得るので、隣接地に対してある程度譲歩して金銭を支払うなど、和解・解決するのが最善であると考えられます。
このようなケースにならないよう、近隣・特に権利の複雑な案件については、特に注意いただければと思います。
因みに、このようなケースはなるべく避けたいところですが、ご相談が有りましたら当方までご連絡いただければと思います。
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