隣接工事の被害相談について
工事による被害は『不動産問題と営業問題』と連動は難しい。。
隣地トラブルは相互工夫することも重要です
最近、毎朝放送されたいます『朝ドラ』の影響で、不動産の取引についてのご相談が増えているような感じがします。
先日ご来店された方からも、先方の作成した『理不尽な書面』を見ながら、一般常識から判断して回答をしたばかりです。
1,今回の議題は『隣地の山留工事』によって、此方の建物が傾斜したり沈下してしまい、かなりお困りの方の相談です。
相談内容
隣接地のビルの新築工事により、此方の建物が傾き、ドアが開かなくなり困惑していることが発端です。
基礎部分の補強するよう求めたのですが、先方は誠意ある対応はせず、此方側は商店街にあるお店を切り盛りしており、この問題等で営業を続けられないと深刻なものです。
建物が傾いてしまった理由は『隣が境界にH杭を打ち込んだため、こちらの建物付近の場所に地下10m掘削した』のが原因ではないかと思います。
考察と解決法
本件の場合、隣の掘削工事が原因で、相談者の建物が傾き、損害が発生していますので、隣地の建設業者に対して過失責任を追及できる事案です。
よく似た事案は、テレビ番組でも放映されたことも多く、通常裁判所は、原告の建物に生じた損害について、これを修復(回復)するために新築工事の費用を上回る工事を前提として、損害額を算定するのは相当ではないので、建物の被害程度、耐用年数などの総合的に考慮して、被告の責任と相当因果関係の範囲での、損害金額は決まるようです。
しかしながら、商売しているので『営業損害』については、営業を取りやめにするほど危険であるのかが争点になります。
この辺りは、非常に難題で裁判結果として、営業益(売上)に関しては別物になる問題ですので、賠償請求は認められないことが有ります。
このほかに、慰謝料・弁護士費用は損害として認められるので、この場合、至急、建築業者に復元工事させると共に、損害賠償請求を行使するべき事案となります。
今回の損害の範囲は、建設業者の責任と相当因果関係にあたる範囲に限定されるので、営業を廃止してこれに伴う営業損害を相手に請求しても受け入れられない可能性が有ります。
建物の損害について、新築工事を上回る復旧工事代金の支払いは不可能です。
今回ブログでもう一つ御座います。
2,傾斜地のため隣から雨水が流れ込んで困る。。
相談内容
相談者の所有地は隣の土地よりも、かなり低くなっているため雨が降るたびに、玄関前が『水たまり』になり、今まで何度も善処の申し入れをしたのですが、現在まで改善要素がないままとの内容です。
考察と解決法
民法第214条では、『土地の所有者は、隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはならない』と記載」されています。
この法を『承水義務』と言ってますが、水は高い所から低い所に流れるのが普通です。
これを低地の所有者が堰き止めたりしては、高地の土地所有者の土地利用に重大な影響を及ぼす結果になります。
しかし、玄関の前に降雨のたびに、水たまりになることは気分的にも不快で放置できないものです。
都市部においては道路等はアスファルト化しており、水が地面に自然に浸透することがとてもしくなくなり、こういった問題が生じることが多いものです。
程度により予防措置の請求について
仮に相談者が、盛土をしたり、今まで土の庭部分を新たにコンクリートを流したような場合であると、相談者は隣地より此れが原因で、自分の土地利用を妨げることであれば、相談者は土地所有権に基づき『妨害排除、妨害予防措置』を講ずるよう、隣接地に要求することは可能です。
水たまりの程度が小さい場合、この要求は却下され『程度問題』の範疇となります。
最終的にどの結果になりえるのか⁇
相隣関係は、相互に話し合いの場が持たれ、話し合いにより円満解決が一番好ましいのですが、そう簡単にはいかないもので、日常の対策が重要で普段からこの問題が隣接地が知って気がついていれば問題ないのですが
ちなみに、長年この問題が解決していないのは、この件でお互いぎぐしゃくしている可能性が高いと思われます。
話し合いができていない場合、調停の申し立てするのが妥当ですが、調停自体強制力はないことと、隣接地が応じない場合は問題は一切解決しません。
民法で『承水義務』が定められたのは、相当前であり現代とは時代的に異なりますので、最近は高性能の揚水ポンプも廉価で手に入れやすいので、自分の土地に降って溜まる雨水を自分で排水処理することが可能です。
この問題自体、他人にあたるより『自家排水』する時代でもあります。
よくこのような相談もあるのですが、穏便にすませる対処法もあります。
不動産のご相談は、その現場を確認し対応し回答するのが私たちの仕事です。
ご相談はいつでも可能ですので、宜しくお願いいたします。
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