『登記』の種類について③
『登記』と言っても種類が多いものです!
『登記』には種類が多く費用もかかります!
不動産の仕事をしておりますと、ご売却・ご購入・借地権の登記の場に、必ず立会しますが、言葉で伝わらない事が多く有ります。
当方の説明もそうですが、事前にお調べするのが重要と思います。
逆に、法曹の方々がお客様だと、ご説明する前にご質問(確認)が有りますので、事前に取引内容を全て熟知しておく必要が有ります。
その中で、ミスをすることが出来ないのが、『登記』に関する事項になります。
1,『抹消』の登記について
いったん登記した権利を消す手続きが『抹消の登記』です。
債務の弁済・契約解除を原因として担保権を抹消するのが、一番頻繁に行われており、他に『所有権移転登記を抹消』する例や、『所有権保存登記を抹消』する例も有ります。
抹消権利者(一般的には所有者)と、義務者(抹消されてしまう登記の名義人)の双方から申請するのが原則です。
しかし、仮登記を抹消する場合は、仮登記名義人のみの申請、若しくは所有者も含め利害関係者からの単独の抹消申請も認められております。
担保権の名義人が行方不明の場合は、双方申請が出来ませんので、一定の条件のもとに所有者からの単独申請も認められております。
抹消の登記について登記上利害関係を有する第三者がいる場合には、その第三者の承諾書か、これに対抗できる裁判の謄本が必要になります。
申請によらず、職権による抹消の登記や、嘱託による抹消の登記も有ります。
2,『仮登記』について
権利の発生や権利に変動があった場合、登記申請に必要な手続き的要件を具備すれば、問題なく登記申請(本登記)が出来るのですが、権利が請求権だったり、将来確定するはずのものであったり、手続的な要件が不十分の場合、取り急ぎ順位を保全するためにする登記が『仮登記』です。
売買において、売主の権利証が添付できない場合などの、申請手続きに必要な条件に不具合の場合や、農地法の許可が下りない場合や、将来、買取する方に売られないように保全しておきたい場合に利用されます。
契約締結して、代金の一部の支払い時に、所有権移転の仮登記する実務が多いです。
仮登記は本登記にしない限り、第三者に対する対抗力(主張する権利)は生じませんが、本登記の順位が仮登記の順位により保全され、本登記にする時は仮登記に抵触して贈れる登記は抹消され、直ちに本登記に出来ない時は、大いに役立つものです。
また、『権利の移転、設定、変更、消滅』の全てに、仮登記が認められており、担保権の仮登記もしばしば見受けられます。
仮登記の抹消申請は登記の双方申請の原則が緩和され、仮登記名義人からの抹消や、所有者『利害関係者』からの申請も、単独による抹消申請も認められております。
3,『本登記』について
仮登記をした後に、条件が整って本来の登記に申請し直す場合、『本登記』をすると言います。
『本登記』とは
①登記の効力である対抗力が生ずる
②移転、設定、変更、消滅などが、その本来の登記の効力を発生させていることです。
専門家は、この登記を『終局登記』と言っております。
※終盤登記とは、登記できる実体上の権利が発生し、手続的にも要件が揃った場合にする登記は、対抗力も備えた完全な登記になり『終局登記』と呼ばれ、仮登記と対比させて考えた場合は『本登記』を指します。
ここからは、余り言われませんが補完的なご説明になります。
4,『回復登記』について
抹消した登記を回復するのが『抹消回復登記』と言います。
登記簿が滅失(消失・紛失等)してしまった場合、その回復を申請するのが『滅失回復登記』です。
いったん抹消した担保権等を間違い抹消したとし、回復申請する場合、登記上、利害関係を有する第三者がいる場合は、その『承諾書』等が必要になり、『滅失回復』の申請には『登記済権利証や登記識別情報』が必要になりますが、いずれにせよどちらも特殊な登記になります。
5,『代位登記』について
債権者が自分の債権の保全の為に、その前提として本人から申請すべき登記を本人に代わり、登記申請することを言います。
例えば、所有者が死亡して相続が発生している物件に担保を設定したいが、その相続の登記を拒絶した場合、債権者が相続人に代わり相続登記を申請し、同時に自分の担保設定登記を申請する場合です。
本人の住所等が登記簿上の所在と違う場合、その後の登記のために必要であるとして、名義人表示変更登記を債権者が、代位申請するような場合です。
登記の申請は、所有者等名義人からの申請が原則ですが、債権者の権利保全に必要であると認められた場合には、本人からの申請を待たずに、債権者に代位申請を許す例外的な登記になります。
6,『嘱託登記』について
公売や収用など登記申請の一方の当事者が、『官公署』の場合には、個人からの申請ではなく、『官公署』から直接法務局へ登記申請嘱託がなされることを、『嘱託登記』と言います。
官公署が権利者として申請する場合には、相手方の承諾書を添付し、義務者になる場合は、権利者の請求により遅滞なく登記申請することになります。
『滞納処分』による差押えの登記や、裁判所に訴訟提起される時の『予告登記』や、競売による所有権の移転登記など、『嘱託登記』として、官公署から直接登記の申請がなされます。
登記と言うと、一つの登記だけでは在りませんので、種々多様な登記の種別が有ります。
次回の登記のご説明は、掘り下げてご説明させて頂きます。

関連した記事を読む
- 2025/04/01
- 2025/03/30
- 2025/03/28
- 2025/03/25