建替工事の場合、お隣に『承諾料』は必要ですか?
民法では合法ですが、慣例に従うのが問題解決となる場合が多いものです。
補償請求権と和解契約として
6月に入り、湿度が高く少し動くだけで、汗ばむ季節となりました。
そんな中で、外で仕事される方は、水分補給しないと熱中症になられる方が増えるニュースもこれから増えてくると思われます。
不動産といえば、建物を建てたりするのが普通で、土地だけではなく建築に際しての相談や質問が意外と多いものです。
そこで、早速相談がありました。
相談内容
今住んでいる家がかなり古くなったので、この際に鉄筋コンクリート造のビルに建て替えようと計画された方からですが、隣の方にご挨拶に伺った所、工事するのであれば『承諾料』を払うよう要求されたようです。
自分の土地にビルを建設するのに、隣接地(他人)に『承諾料』を支払う必要があるんでしょうか?
回答と解説
自分の土地にビルを建設するのに、他人に承諾料を払う必要
原則的に『支払う義務はありません』
通常、土地所有者がその土地に自由に使用することを『民法第206条』が保証しているからです。
借地権と違い、所有地は自由に使えるもので、隣接地所有者の承諾は必要はなく、承諾料の請求があっても支払う必要がないのです。
しかしながら、『民法第206条』のこの規定だけでは決められないのですが、土地利用については、『建築基準法・都市計画法・消防法』その多くの法令で規制が有ります。
当事者の建築計画が、これらの法令との関係で問題がなくても、行政的規制を通過したとしても、隣接地との関係を免責することはできないのです。
解体や建築工事に伴い、隣接地の住民に騒音・振動・空気の汚染等のご迷惑をかけることは必然的にあると予測されます。
恐らく、隣接地の方が承諾料と言っているのは、『上記のご迷惑のかかるとされる補償』の意味合いだと思われます。
※隣接地の迷惑の度合いが問題点
この問題は、隣接地の方にこのような『補償請求権』が有るかどうかです。
その答えは『迷惑の程度』ですが、今回の工事の程度によります。
『迷惑の程度』は、隣接地に被る迷惑が、現代社会の常識に照らして、隣接地の方が我慢の範囲内であるのか、それ以上に我慢の限界以上になるかどうかです。
今回の建築計画が、建築基準法等の法令の制限を問題なくクリアしているのであれば、特別な事情がない限り、隣接地の方には申し訳ないのですが、受忍限度内と判断されます。
これは、『不法行為に基づく損害賠償』の問題なのですが、もし『受忍限度』を越してしまう場合の判断すべき場合であっても、賠償しなければならないのは、『工事によって現実に起こってしまった迷惑』です。
先に補填・補償する義務はありませんが、事前挨拶に留めるのが普通と考えられます。
ただし、将来生ずる可能性のある損害について、予め賠償することは『和解契約の一種』として法的には可能です。
相談者の建物を解体して、ビルを建築する工事が何かしらの迷惑をかけることを予測すると、隣接地の方と事前協議して金額を決めて、その支払いと引き換えに『承諾書』を取り交わすのも、紛争を防止する方法として、大きな意味合いになります。
隣接地だけではなく、当亀戸店でも近隣の方からのトラブルは避けたいもので、色々な声を聴いたりして、トラブルを未然に防ぐ努力と情報は必要です。
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