『借地法・借家法・建物保護法』について
『旧法』『新法』の借地権の違いについて把握することが重要です!
『木造建築物』の借地権は。。
『借地法・借家法・建物保護法』とは、平成4年7月31日以前の、いわゆる『旧法借地法』と分類される民法の特別法になります。
『新法借地借家法』が施行されたことによる、既存の契約関係の影響は殆んど無いと思っても良いです。
当ブログでは、『旧法借地権』について経緯からご説明します。
その原案である『建物保護法』が、明治42年5月21日施行されております。
その後に『借地法』『借家法』は、大正10年5月15日施行されております。
この三法を纏めて改正されたのが、先日ご説明しました『新借地借家法』に改正された歴史が有ります。
此処でポイントになるのが、此れからご説明する内容で有り、不動産会社に従事されていれば何とか理解できる内容です。
※借地権内容を理解しないと、将来若しくは相続・売却時に揉める要素が御座います。
①新法借地借家法の適用範囲について
『新法借地借家法』は、従来の『借地法・借家法・建物保護法』を廃止し、原則として新法施行前の契約にも適用されるとしています。
『新法借地借家法』の附則に特別の定めがある場合は、『旧法借地借家法』が適用されるとしております。
新法附則は、改正された大部分の規定を既存の契約に適用しないとされており、結果として新法は既存の契約関係に殆ど影響は出ることは無さそうです。
②旧法借地借家法の適用場面について
既存の契約関係に関する事項には、旧法借地借家契約が適用されます。
❶借地関係
(1)借地権の存続期間(更新後の期間を含みます)
(2)堅固建物・非堅固建物の分類
(3)借地上の建物の朽廃
※旧法下では建物の寿命が尽きた時点で、借地権は消滅するという制度を採用しております
(新法では朽廃は建物滅失として扱われます)
(4)借地契約の更新拒絶について
新法では列挙される借地契約の更新を拒絶する事由は、旧法下の契約には適用されません。
新法で列挙されている場合は旧法時代に判例で明らかにされたものと同格であるため、新旧法下の判断には相違は無いです。
(5)建物の再築による借地権の延長
※地主が異議を述べなければ【自動的に期間は延長】されます。
❷借家関係
(1)建物賃貸借の更新拒絶について
新法では列挙される借地契約の更新を拒絶する事由は、旧法下の契約には適用されません。
新法で列挙されている場合は旧法時代に判例で明らかにされたものと同格であるため、新旧法下の判断には相違は無いです。
(2)造作買取請求権について
新法施行後、既存の契約に関し改めて造作買取請求権の適用がないと言う合意をすれば、その合意は有効とされます。
※借家契約書に必ず記載しなくてはならない事項ですので、ここは旧法若しくは新法であるのか判別が重要です。
契約時に必ずご説明、ご確認いただきたいと思います。
③借地条件変更の裁判について
もし裁判となることに成る場合、新法の借地借家契約が適用されます。
新法では、多くの規定について施行前の契約に遡って適用しないとしています。
借地条件変更の裁判については、現在も新法借地借家法が適用されます。
借地借家法は、相続と同様に種々多様な権利が含まれます。
借地条件変更の裁判に関する改正が、従前の制度を合理化したもので有るためです。
『木造建築物の借地期間』について
建物の所有を目的とした借地契約を締結する場合、木造でも鉄骨・鉄筋でも、その構造に関係なく原則として『期間は30年』とされます。
※『旧法』とは『旧法借地借家契約』、『新法』とは『新法借地借家契約』と記載させて頂きます。
新法施行以前に成立している契約については、旧法下で定められた契約期間が新法施行後も有効になります。
①借地期間について旧法と新法の違いについて
旧法と新法は、当事者が契約で定めない場合、当初の借地権の存続期間を一定の基準で定めております。
旧法(期間の定めなし)・堅固建物の存続期間→60年
旧法(期間の定めなし)・非堅固建物の存続期間→30年
旧法(期間の定めあり)・非堅固建物の存続期間→20年以上
新法(期間の定めなし)・存続期間→30年
新法(期間の定めあり)・存期間→30年以上
※旧法では、期間満了前に建物が朽廃したとき【借地権は消滅】します。
②借地期間の改正の理由について
❶改正の理由
新法では建物の構造による当初の借地期間の区別を廃止しました。
見た目、現代の建物を堅固若しくは、非堅固であるのは困難な理由もあり、契約締結にトラブルが発生する要因になっています。
この様な状況を考慮したうえで、新法では構造上の区別を無くして借地期間を一律に定めております。
また、普通の建物を所有する目的とする借地契約の場合、旧法下では殆どが借地期間を20年間と定めていますが、実際は木造住宅でも20年以上の耐久年数をもっております。
新法では、そういった点も考慮に入れ、借地権の存続期間を30年と定められております。
❷既存の借地期間に及ぼす影響について
当初の借地権の存続期間に関する改正規定は、旧法下の契約に遡って適用されることは有りません。
旧法下で定められた借地期間は、そのまま有効であることで、新法施行時点で30年に変更されることは有りません。
借地契約の更新について、更新後の普通借地権の存続期間は、建物の構造に関係なく原則として最初の更新は20年、2回以降の更新は10年間となります。
法施行前に成立した借地契約の更新については、旧法の規定が適用されることになります。
③更新時の契約期間・・新法と旧法の違いについて
新法の定める更新後の借地期間は、更新後の普通借地権の存続期間は、建物の構造に関係なく原則として最初の更新は20年、2回以降の更新は10年間となります。
旧法では、最初の借地期間満了後、当事者が合意で契約を更新する場合、借地権の存続期間を堅固な建物については【30年】
その他の建物については、【20年】と定めております。
新法では、最初の更新のときと2回目以降の更新では期間が異なります。
旧法では、何度も更新しても期間の定めは変わることはありません。
※当事者が法の規定より長期間の契約を定めたときは、契約で定めた期間が優先されることに成ります。
④借地契約更新後の借地期間について
旧法(期間の定めなし)・堅固建物の更新期間→30年
旧法(期間の定めなし)・非堅固建物の更新期間→20年
旧法(期間の定めあり)・堅固建物の更新期間→30年以上
旧法(期間の定めあり)・非堅固建物の更新期間→20年以上
新法(期間の定めなし)・1回目の更新は20年、2回目以降の更新は10年
新法(期間の定めあり)・1回目の更新は20年以上、2回目の更新は10年以上
⑤存続期間は強行規定
❶新法の特徴
最初の借地契約の場合と同様、更新時の場合も建物が堅固或いは非堅固で有るのかによって、存続期間に特段区別はありません。
❷強行規定について
更新後の借地権の存続期間を、最初の更新は20年以上
その後の更新は10年以上とする規定は『強行規定』であるので、当事者間の合意によってもその期間は短縮することは出来ません。
仮に規定より短い期間で合意をしても、その合意は無効となります。
当事者間で更新後の期間を5年と定めた場合、それも無効となり、結局期間の定めない更新と見なされます。
最初の更新であれば20年間、2回目以降の更新であれば10年間借地権が存続する事になります。
❸既存の借地契約に及ぼす影響について
新法施行前に締結された借地契約の更新については、従来の借地法が適用されます。
平成4年7月31日までに締結された借地契約に関しては、更新後の借地権存続期間に対しては新法は影響を及びません。
※今回ブログは『木造建築物の借地期間』と併せて、『借地契約の更新』の内容を取り合わせ致しまっしたが、借地権は土地社有者(地主)との良好な関係が重要です。
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