『相続』について考える。。
一言で『相続』と言っても意外と知らない方々が多い。。
『相続』は、金銭だけではなく故人の『不動産』にも関係してきます。
そもそも『相続』と言えば縁起の悪い話ですが、人が死亡されたときに開始される事項で、死亡についても『失踪宣言』『認定死亡』も含まれます。
相続について、所有された場所にて開始され、相続される方は相続開始の日時をもって、相続人の財産に属した一切の権利義務を承継されることに成ります。
空家問題でもお分かりに成るように、現在の日本にとって非常に問題になっている事です
相続登記とは不動産所有者が死亡時に、その不動産を登記名義を相続人に名義を変更する事です。
ここで問題になっているのが今まで【相続登記について法律上の期限がなかったこと】で、建物等が登記されず放置していた場合でも罰則がなかったことでしょうか。
理由は色々有りますが、将来にわたり不動産の所有権利を不明確にした場合、縁の薄い相続人同士で揉めるケースが多くみられます。
その中で重要なのは【遺産分割協議】により、通常の法定相続分とは異なる相続分の不動産等を相続した時は、きちんと相続登記をしないと第三者に所有物主張が出来なくなります。
遺産分割協議により不動産を相続する場合、相続登記が必要不可欠となります。
所有者死亡後に不動産を売却する場合
亡くなった方の名義のままになっている不動産を相続人が売却する場合、先に『相続登記』をする必要が有ります。
亡くなった方の名義のままでは、不動産売却出来ません。
必ず相続人名義にて相続登記をされて、売買等で次の所有者名義に変更する手順があります。
ほかにも、不動産担保にて融資を受ける場合でも相続登記後になります。
※相続が発生した不動産の相続登記を放置したままで、後々発生した次の相続の際に、相続分を余分に支払う必要が生じることが有ります。
相続が発生した時にきちんと相続人名義に相続登記をしてなかったばかりに、その不動産の法定相続人分を相続したものとして、次の相続時の相続税申告しなければならないことが有ります。
結果的に相続登記をしていないと、色々なデメリットが有ります。
例として、遺産分割協議が成立していても相続登記をせず放置したままで、相続不動産を第三者に奪われる事例もニュースになることや、法定相続人が勝手に不動産の共有名義し、ほかの相続人分を第三者に売却することも有ります。
この場合、第三者が登記してしまいますと、その共有持ち分は第三者所有となるので大きなリスクとなります。
※不動産詐欺に巻き込まれる件について
相続登記が未了の不動産は、詐欺に利用されることもあり その理由として名義人が死亡している場合、誰が相続人であるのかは一見分からないことが多いです。
最近、地面師の事件のニュース有りますが、所有者が刑事事件にも巻き込まれますので、トラブル回避のため早めに相続登記されることが良いと思います。
こういった『所有者不明の不動産』が増えていますので、民法等関連法案の改正が決定しております。
2021年12月14日、閣議決定により施行日が決定しており2024年4月1日より『相続登記が義務化』されます。
登記期限も3年以内とされ、罰則規定もあり違反すると10万円以下の過料となりますので注意が必要です。
※民法改正により自宅の生前贈与が可能にて、配偶者に大きなメリットになります。
婚姻期間が20年以上の夫婦間において、配偶者からの自宅の生前贈与・遺贈があった場合、遺産分割の対象外とされることに成ります。
最近、国会で増税色の強い話題が増えており、税金については変更等が有り次第ブログにて掲載させて頂きます。
『相続人』について説明させて頂きます。
民法上では相続人の順位が与えられており、此処が重要なポイントであります。
相続人となりうる順序は『子(又はその代襲者)』『直系尊属(父母・祖父母など)』『兄弟姉妹(又はその代襲者)』『配偶者(婚姻関係・内縁関係不問)』とされます。
第一順位の相続人・・子と配偶者
『子と配偶者』ですが、『子』については『実子・養子・摘出子・非摘出子』であるかは問わないことになります。
子が相続開始以前に死亡・相続欠格・廃除により相続権を失った場合、その方の子・孫等が代襲相続人となります。
※配偶者の連れ子を相続人とするには養子縁組が必要とされます。
第二順位の相続人・・直系尊属と配偶者
『直系尊属と配偶者』ですが、『直系尊属』の中に親等の異なる方がいるときは、その親等の近い方が相続人となります。
※例えば、父母と祖父母がいる場合は、父母が優先的に相続人となります。
実父母と養父母とは同順位で相続人となります。
※直系尊属とは父母。祖父母、曽祖父母などですが、婚姻を含みません。
第三順位の相続人・・兄弟姉妹と配偶者
『兄弟姉妹と配偶者』ですが、兄弟姉妹は、親の実子であるか養子であるかは問いません。
兄弟姉妹はが、相続開始以前に死亡しているときや相続の失格または廃除により相続権を失っているときは、その兄弟が代襲して相続人となります。
親の実子と養子、養子と養子でも同順位で相続人となります。
『養子』について
具体的な血縁とは無関係に、人為的に法律の擬制により本人の子として扱われる『養子』は、養子縁組の届出をした日から、養親の摘出子としての身分が認められます。
民法809条で記載されておりますが、養親に相続が開始しますと【養子は第一順位の相続人】となります。
また、養子には『普通養子』と『特別養子』があり、『普通養子縁組』は、養親と養子の合意に基づき、養子縁組の届出をすることで成立します。
普通養子となっても、実親との親族関係は維持されます。
『特別養子縁組』は、養親となる方の請求により、父母による養子となる者の監護が著しく困難・不適当であると、そのほかの特別な事情があるときは、家庭裁判所にて成立させるものであります。
※特別養子縁組により、特別養子はその実親及びその血族との親族関係が終了となります。
普通養子について
①養親の制限・成人であること
②養子の制限・養親より年少者であること
③縁組の手続き・養子が未成年でない場合、当事者の届出のみで可能
④実親との同意について、実方との親族関係は存続されます
⑤戸籍上の記載は『養子』と明記されます。
⑥離縁については『当事者同士の協議』が可能とされ、『養子・養親』の何れでも訴えの喚起は可能です。
特別養子について
①養親の制限・満25歳以上の夫婦で共に養親とされます。
②養子の制限・原則として6歳未満
③縁組の手続き・家庭裁判所の審判が必要とされます。
④実親等の同意について、実父母の同意が必要とされます。
⑤親子関係については、実親との親族関係は終了されます。
⑥戸籍上の記載は、『養子』ではなく『長男・長女』等に記載されます。
⑦離縁については、家庭裁判所の審判が必要とされ養親からの請求は不可となります。
以上、『相続人』『養子』についてご説明させて頂きます。
これまでは『養子』までについて記載しておりますが、妊娠中と出産に関わる相続です。
その中で『摘出子』『非摘出子』のご説明になります。
『摘出子』は、法律上の婚姻関係にある男女間で生まれた子を『婚内子』
『養子』は、『養子縁組により養親の摘出子』となります。
『非摘出子』は、法律上の婚姻関係のない男女間で生まれた子を言います。
母子関係は、分晩の事実があれば認められ、父子関係は認知によって生じ【相続権が発生】します。
『全血』と『半血』の兄弟姉妹について
父母の双方を同じくする兄弟姉妹のことを『前血の兄弟姉妹』
父母の一方のみの同じくする兄弟姉妹を『半血の兄弟姉妹』と呼びます。
※相続分については、『半血の兄弟姉妹』は『全血の兄弟姉妹』の1/2とされます。
相続の欠格について
ここは重要ですが、欠格事由は幾つかあり、相続人の相続権利を何らの手続きなく当然に剥奪する制度が有ります。
①故意に被相続人または相続について、先順位若しくは同順位にあたる者を死亡させたり、または至らせようとしたため、刑に処された場合。
②被相続人の殺害させられたことを知って、これを告発せずまたは告訴しなかった者
③詐欺または脅迫等によって、被相続人が相続に関する遺言を残し撤回し、取り消ししまたは変更する事を妨げる者
④詐欺または脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ撤回をさせたり、取り消し又は変更させて者
⑤相続に関する非相続人の遺言状を偽造し、変造・破棄・隠匿した者
推定相続人の廃除について
廃除事由がある場合において、被相続人自らの請求(遺言可)に基づいて、家庭裁判所が推定相続人の相続権を剥奪する制度。
廃除の対象者は、遺留分を有する推定相続人に限られます。
※『推定相続人』は、被相続人の子及びその代襲者、直系尊属並びに配偶者とします。
胎児の相続について
民法上重要なのですが、『死産』の場合相続としての権利はないものとされます。
※相続税法上、相続人となるべき胎児が相続税の申告を提出するまでに出生していない場合、胎児の相続税の納税義務は、出生により発生します。
同時死亡の場合において
民法上、海難事故・航空機事故等で家族複数人が死亡した場合、死亡時期が定かでない場合のとき、同時死亡の推定とされます。
上記の件、一人が死亡したときに、ほかの者も同時に死亡されたものと判断されるので、両者の間で相続関係は発生しないことになります。
代襲相続について
そもそも『代襲相続』とは、相続人となるべき者(被代襲者)が、相続開始以前に死亡しているときや相続欠格または廃除により相続権を失したときに、その代襲者の直系卑属が被代襲者に代わって、その受けるはずの相続分を相続する事です。
『代襲相続』は、被代襲者の死亡等により、その直系尊属が不利益を受けないようにするための制度です。
①代襲原因・・被代襲者の相続開始以前の死亡、相続欠格、廃除等
②代襲者が被代襲者の子であること。
③代襲者は被代襲者に対する関係でも、相続権を失った者でないこと。
④代襲者は相続開始時に存在していること。
代襲者が代襲相続権を失った場合について
代襲者が被相続人の直系尊属である場合、さらにその子に代襲(再度代襲)されます。
但し、代襲者が被相続人の兄弟姉妹の子である場合には、更にその子(兄弟姉妹の孫)には代襲されません。
今回のブログは『相続人』についてのご説明をさせて頂きました。
次回のブログは『相続分の意義』についてのご説明させて頂きます。
『相続』は知識を重んずる法律(民法)ですが、その内容も細分化を重ねております。
そのことを学ぶうえで『相続』についてご理解頂きます様お願いいたします。
相続分の意義について
民法で一番わかり易く複雑な『相続』の続きになります。
①相続分の意義と種類について
今回ご説明する内容は『相続分の意義』ですが、相続人が複数人ある時『相続財産』は、その共有に属して各相続人は、各々の相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する事ができます。
※相続財産は、相続人間の遺産分割協議等にて分割されます。
共同相続人は、分割されるまでは、その共有に属する相続財産に対し其々の相続分に応じた持分を有することになります。
※この相続分は、民法の規定により定められており、通常『法定相続分』と言います。
また、被相続人は遺言で共同相続人の相続分を自由に定めることができ、一般的に『指定相続人』と言います。
相続分の指定が有る場合には、遺留分の規定に違反がない限り、その指定が優先されます。
民法では、このほかに『特別受益がある場合と寄与分が有る場合』の調整・規定が設けられております。
②法定相続分について
『法定相続分』は、被相続人が遺言で相続分を指定していない場合に、遺産分割の基準となります。
※相続分とは、共同相続人の相続すべき割合のことで、相続分率の意味となります。
(例1)被相続人(故人)・・法定相続人・・配偶者と子供1名の場合
(法定相続人)配偶者(1/2)・子供(1/2)
(例2)被相続人(故人)・・直系尊属と配偶者の場合
(法定相続人)配偶者(2/3)・直系尊属(1/3)
(例3)被相続人(故人)・・配偶者と兄弟姉妹の場合
(法定相続人)配偶者(3/4)・兄弟姉妹(1/4)
※上記の相続分は一例にて記載しておりますが、人数が増えた分相続分が目減りします。
③代襲相続分について
代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分をそのまま受け継ぐことになります。
同一の被代襲者について複数の代襲相続人がいる場合、其々の相続分は被代襲者の相続分を均分することになります。
④指定相続分について
相続人が複数いる場合、被相続人は遺言で相続人の一部または全部について、相続分を指定することが出来ます。
上記までの相続関係については分かり易くご説明できますが、相続というと複雑化しており専門分野で長けている方に相談する事が最善と思います。
ほかにも相続は『特別受益者の相続』や『寄与分がある方の相続』といった場合も御座います。
ブログでの『相続』の詳細のご説明は、またの機会にてご説明させて頂きます。
その詳細は『相続の承認と放棄』『遺産の分割』『遺贈と死因遺贈』『遺留分』『贈与』です。
今回ブログは、少し長く難しい内容でありますが、相続の関係は熟知しておくと将来に役立つ情報です。
お困りの際は、ご相談下さいますよう宜しくお願い致します。
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