賃貸契約の連帯保証人って。。
従前法と比較し違いとは。
民法改正した場合
前回のブログで【住宅の賃貸借契約に関する民法改正】が、有り変更されたことをご説明致しました。
前回幾つかの括りがあり、民法改正箇所の変更を理解する必要があり、永年不動産業に従事していると大変です。
新しく決められた箇所を覚えていく必要が有ります。
その中で今回は『連帯保証人の保護に関して』幾つかご説明致します。
①個人根保証契約の保証人の責任等について
民法改正の条文(民法第465条の2)
1、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証(以下『根保証契約』)であって保証人が法人でないもの(以下『個人根保証契約』)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及び、その保証債務について約定された違約金または損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2、個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3、第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約に於ける第1項に規定する極度額の定めについて準用する。
民法改正の概要
※保証人は、賃借人が長期にわたって家賃を支払わなかった場合や、賃借人が故意や過失によって賃貸建物を損傷したため、修理費用や賃貸収入を得られなくなったこと等により、契約時には予想できないような多額な損害賠償を請求される場合が有ります。
そこで、このような事態が生じないようにするため、保証人の保護の観点から『極度額(保証人が保証する限度額)を定め、かつ書面等で保証契約をしなければ、保証契約の効力が生じない』という改正前の民法第465条の2の規定を、貸金等根保証契約の場合に限らず、一般の個人根保証契約にも適用できるようにしたものとなります。
②主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務について
民法改正の条文(民法第458条の2)新設
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証した場合に於いて、保証人の請求があった時は、債権者は、保証人に対し遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれ等の残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
民法改正の概要
※保証人が賃貸人から、賃借人が家賃を滞納していること等を長期にわたって知らされなかった為、請求を受ける時点では、遅延損害金が積み重なって、多額の保証を求められる場合が有ります。
そこで、保証人が賃借人の債務の履行状況について賃貸人に情報提供を請求できるように新設された条文になります。
具体的には、保証人から条文に書かれている様な賃借人の未払い状況等について照会があった場合、賃貸人は遅滞なく情報提供しなけらばならないと言う内容になります。
③個人根保証契約の元本の確定事項について
民法改正の条文(民法第465条の4)
以下に掲げる場合、個人根保証契約に於ける主たる債務の元本は確定します。
但し、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行または担保権の実行の手続きの開始があった時に限ります。
❶債権者が保証人の財産について、金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
❷保証人が破産手続き開始の決定を受けたとき。
❸主たる債務者または保証人が死亡したとき。
民法改正の概要
※本条は個人根保証に於ける元本の確定事由を定めたものです。
本条第1項は、極度額と同様に『改正前民法第465条の4』で個人貸金等根保証の場合の元本の確定事由の規律を一般の個人根保証契約にも適用したものになります。
本条第1項3号が、主たる債務者の死亡を個人根保証一般について、元本確定事由としているのは、保証人が主たる債務者としたのは借主である被相続人であり、相続人のもとで生じる債務まで保証することは予定していないと考える為です。
但し、主たる債務者(借主)死亡時の具体的な保証人の責任範囲は事案や解釈に異なる可能性が有ります。
以上が住宅の賃貸借契約に関連する民法改正の『連帯保証人の保護に関して』のご説明となります。
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