家賃に関するトラブルの解決について
話し合いは重要!問題解決するには時間と金銭的な問題に繋がります。
家賃の増額、減額は話し合いが重要
以前掲載しましたブログで『賃料を決める基準』のご説明させて頂きました。
閲覧された方から、もう少し踏み込んだ内容も見てみたいとのご意見も頂いたので、『家賃』に関する内容を考察したいと思います。
家賃の増額や減額に関する話し合いが成立しない時、最後は裁判所で解決を求めるほかありません。
それまでに、どの様なプロセスを踏まなければならないのか、知らなければならない問題が沢山あります。
1,家賃の増額・減額の手続き
裁判所における家賃の増額または減額の手続きには、調停と訴訟の2つが有ります。
『調停』では、当事者の間に第三者である調停員が立ち、そのアドバイスの下に話し合い、合意の成立により紛争の解決が図られます。
調停で解決が得られない時、家賃増額訴訟を提起することに成ります。
この場合は、通常の民事訴訟手続きなので、厳格な手続きによって【通常は適正家賃の額について鑑定を行う】審理が行われ、判決により解決します【審理の途中で和解に解決することもあります】
2,紛争解決のプロセス
①話し合いによる解決
賃貸借契約は、1回限りの関係ではなく、長期に渡る継続的な関係になります。
従ってなるべく、話し合いにより円満に解決することが望まれますが、どうしても合意に至らなければ、調停から訴訟という裁判制度を利用するほか有りません。
②調停前置制度
家賃の増額または減額について裁判所に申し立てを行う場合、まず調停の申し立てをしなければなりません。
調停申し立てをせずに訴訟が提起された場合には、裁判所は原則としてその事件を調停手続きに回さなければならないと『民事調停法第24条の2』に書かれておりますが、これを『調停前置制度』と言います。
調停は、簡単な手続きなので、必ずしも弁護士に依頼しなくても行えること、また裁判所に納付する印紙代も訴訟と比べると安い【訴額により異なりますが、凡そ半額程度の印紙代】前に述べた通り、賃貸借は継続的な関係であるので、話し合いによる解決が望ましいのもので、調停前置制度が採用された理由になります。
③調停の手続き
❶調停の申し立て
調停の相手側の住所地を管轄する簡易裁判所に、賃料増額や減額を求める理由を記載した書面を提出することから始まります。
調停の申立書には、一定の基準で計算した印紙を貼付しなければなりません。
例えば、1か月1万円程度家賃を増額する場合、賃貸借の残存期間が2年であれば
1万円×24か月で訴訟が求められ、この場合の印紙代は1,500円です。
10万円家賃を増額した場合
10万円×24か月の計算では、5,500円です。
❷話し合い
調停員のアドバイスを受けながら、双方の主張を出し合い、解決に向けて話し合うのが調停の基本になります。
❸調停に代わる決定について
調停が成立する見込みがない場合でも、裁判所は相当であると認めた時は、調停員の意見を聞いて、事件解決のために必要な決議をすることが出来ます(民事調停法第17条)
当事者がこれに従えば事件は解決します。
しかしながら、不服のある当事者は意義の申し立てができます。
❹裁定合意の制度
当事者間に調停委員会の定める調停事項に服する旨の書面による合意があるとき【但し、調停申し立てになされたものに限られます】、申し立てにより調停委員会は事件解決のため適当な調停条項を定めることが出来るようになります。
この場合は、調停が成立したものと見なされ、裁判上の和解と同一の効力を有するものとされます(民事調停法第24条の3項)
3,調停調書には確定判決と同様の効力
民事調停は、当事者間の話し合いによって解決するものです。
調停が成立すれば、当事者の合意を記載した調停調書が作成されます。
この調書は、確定判決と同様の効力があり、強制執行をすることもでき、当事者が作る契約書の効力の点で全く違います。
以上が、家賃に関するトラブルの解決についてのご説明になります。
トラブルを解消するには、当初の話し合いによる解決がよろしいと思います。
とはいえ、経済的な事情や、貸主側も維持費も相当負担になるため、家賃の増額・減額は双方の意見がとても重要です。
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