借家契約の特約の無効について!
有効!無効!になる特約について考察しましょう
借地借家法にて記載された事項になります!
前回のブログで『賃貸借契約の特約』について記載しました。
『借家契約』で、当事者が約束したことは全部が全部、有効になる訳ではありません。
『借地借家法』が、強行規定としている事項は、これに反する約束を当事者が定めても『無効』となりますが、どういう場合に『無効』となるのかを考察したいと思います。
1,当事者の意思で変更できないものは⁈
借地借家法は、契約の期間や更新に関した規定を、当事者の合意によって変更できないものとして取り扱いしております。
それに従い法律の規定と異なる約束をした場合『無効』とされます。
特に問題になるのは『民法は日本の国内法』なので、そのことを十分に理解する必要があります。
2,借地借家法の強行規定について
①借家契約の更新に関する約束
借地借家法第26条で、家主は、契約満了の1年~6か月前までに更新拒絶の通知をしなければなりません。
満了後に借家人が継続使用する場合は、遅滞なく異議を述べなければならないとする法律の規定があります。
従いまして、『契約期間の満了と同時に退去する』『満期の3か月前に更新拒絶の通知をすればいい』等の約束をしても無効とされ、そのような約束はないものであるとして取り扱いされます。
②解約による借家契約の終了に関する約束
借地借家法第27条で、『期間の定めのない契約については、解約申し入れ後6か月経過すれば契約は終了する』と約束しても無効とされます。
③正当事由に関する約束について
『借家契約の更新に関する約束』『解約による借家契約の終了に関する約束』の場合、当事者が建物を必要とする事情、契約の従前の経過、建物の利用状況、立ち退き料の額などを総合的に検討したうえで、正当事由なければならないとしているのが『借地借家法第28条』の規定に基づかれております。
それに従い約束は『無効』とされます。
④借家契約の期間に関する約束について
借地借家法第29条は、期間を1年未満とする契約は、期間の定めのない賃貸借契約とみなされる法律の規定です。
『期間を6か月とし、借地借家法第29条を適用外』とする約束は無効とされます。
⑤建物賃貸借の対抗力に関する約束について
建物賃貸借契約は、建物が引き渡されていれば、その後に建物について所有権を取得した者に対抗できます。
従い『家主が建物を第三者に譲渡した場合は、建物を明け渡す』という約束自体が無効とされます。
⑥建物転借人の保護
借地借家法第34条参照、転借人がいる場合、賃貸人からの契約終了の通知は転借人に対しても行わなければならないとされます。
通知を不要とされる約束自体が無効とされます。
⑦借地上の建物賃借人の保護について
借地借家法第35条参照、家主が借地上の建物を貸している場合、借地権が満期によって終了することを、その1年前までに借家人が知らなかった時は、借家人は裁判所に申し立てて、これを知った時から1年を超えない範囲での明け渡しの猶予が認められます。
この申し立てをしないとする約束自体が無効とされます。
以上は全て『強行規定』ですから、当事者間でそれと違う約束をしても、すべて『無効』になり、これ以外でも、借家人の無知識、窮迫につけこみ、無理な契約条件を押し付けるという公序良俗に反する約束も無効とされます。
意外と知らていない『特約の無効』ですが、民法、借地借家法を学ぶ機会になると思います。
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