賃貸借契約書に関する特約について
特約ってなんですか⁈契約時に重要になる項目です!
特約をご理解頂かないと、退去時に揉めます!
以前ブログ『賃貸借契約書』に盛り込む『トラブル防止』に関する事項のご説明でした。
今回のブログは『賃貸借契約書』に盛り込んでいく『特約条項』について考察したいと思います。
◎賃貸借契約書に盛り込む特約の種類について
特約を盛り込む際に注意すべきなのが、賃貸人に有利な条件の特約をする場合です。
賃貸人に有利な特約(契約条項)としては、通常の損耗や経年劣化によりかかる費用を、賃借人に負担させる特約、賃貸借契約を更新する際の更新料についての特約、賃貸人が負担する不動産の修繕義務を回避する特約、造作買取請求権を排除する特約、有益費償還請求権を排除する特約、賃料を増額する特約などが有ります。
しかしながら、借地借家法により『借主に不利な特約は無効』とされるので、賃貸人に有利な特約を定める際は、借地借家法の適用を受けないように、十分な注意が必要です。
賃貸人が事業の一環として不動産を賃貸に打数場合は、賃借人が個人(一般消費者)のときに『消費者契約法第10条』の適用によっても、特約が無効になるとこもあります。
『消費者契約法第10条』とは、消費者の権利を制限したり消費者の義務を加重する条項を当事者間で取り決めた場合、その内容が消費者の利益を一方的に害し、信義則に反していると認められる場合、その条項を無効とする規定です。
※『信義則』とは、権利の行使や義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならないとする原則のことです。
賃貸借契約書に盛り込む時に注意すべき主な特約は幾つかあります。
1,通常損耗・経年劣化費用を賃借人に負担させる特約
不動産の通常損耗や経年劣化によりかかる費用は、通常は賃貸人側が負担する必要が有りますが、これらの費用を賃借人に負担させる条項を設けることも可能です。
この特約を定める場合、単に『通常損耗と経年劣化により生じる費用は賃借人の負担とする』と定めるのでは『不十分』です。
どのような費用が賃借人の負担となるのか、明確にする必要が有ります。
通常損耗や経年劣化により生じる費用としては、破損していない畳の交換費用、フローリングの色落ち日焼け、家具による床・カーペットの凹みなどが挙げられます。
これ等の中から、賃借人に負担してもらう費用を選択して定めることになります。
2,更新料についての特約
賃貸借契約の更新にあたって、通常は更新料の請求は認められませんが、賃借人が更新料を支払うとする条項を設けることが可能です。
但し、賃料に比べて更新料があまりにも高額設定すると、特約が無効と判断される可能性もあるので注意が必要です。
3,修繕義務・必要費償還請求を回避する特約
通常、賃貸人は賃借人が建物を使用するうえで必要な修繕をする義務を負います。
また、修繕費用を賃借人が支出した場合には、賃借人が支出した金額を償還する義務(必要費償還義務)も負います。
必要費とは、建物を使用するうえで必要不可欠な費用のことで、水道の給水栓が壊れた場合の修繕費用などが該当します。
修繕義務を回避する旨の特約を設けると、賃借人が費用負担することになります。
4,有益費償還請求・造作買取請求を排除する特約
賃借人が建物を改修したり、賃貸人の同意を得て建物に造作物を取り付けた場合、賃貸借終了時、賃借人は賃貸人に対して有益費の償還請求や造作物の買取請求することが出来ます。
しかし、特約を定めた場合、賃貸人はこうした賃借人からの請求を排除することが可能になります。
5,敷引特約
敷引特約は、退去する際に貸主が一定額を差し引いた敷金を借主に返還することを、賃貸借契約時に予め約束する特約になります。
差し引かれた金額は、原状回復費用、空室損料、礼金等の意味合いを持ちます。
判例でも『敷引特約は不当に高額でない限り有効』とされており、敷引特約を定めること自体に問題は有りません。
但し、あまりにも差し引く金額が大きいときは、無効と判断される可能性が有ります。
6,反社会的勢力の排除
反社会的勢力(暴力団・総会屋など)の排除に関する特約を盛り込むことは重要です。
具体的には、貸主・借主の双方(法人である場合はその法人の役員)が反社会的勢力の構成員でないことを確約する条項を盛り込むことが大切です。
以上が、賃貸借契約書に盛り込むのに必要であるとされます。
他にも、基本的に抵当権を確認し『差押え・仮差押え』の有無の確認は必須です。
よく認識の問題ですが、建物を賃借する際に『抵当権設定』している物件を賃借拒否される方も極たまに存在されておりますが、今回のブログを認識頂ければと思います。
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