借地権(土地)の更新料について
新法借地権について、『更新料』については独自判断となるようです。
借地権の更新拒絶の事由について
毎日『暑い!暑い!』が合言葉になる酷暑になりました。
私たちは、地場の不動産会社です。
毎日現場に出ており何となく暑さにも慣れてきましたが、熱中症で倒れる方も多いので、油断が出来ないものです。
当方も、最近本当に増えているのが借地・賃貸物件の相談です。
法曹の方にも確認しましたが、『新法借地権』には『更新料の支払い義務』の規定が無いことと、法律上の義務は無いとの事です。
借地権の購入は、熟知・熟練されないと色々な問題点が出ますので、連続してブログにてご説明致します。
更新料の役割について
20年以上前に聞いた話では、当時『借地権価格の3%程度』若しくは『新賃料の10年間分』等の説明を受けた事が有ります。
何故20年前かと言いますと、『更新料』の支払い手続きをされたと思いますが、当方は支払い当事者で有りませんので確認・質問もできない内容では有ります。
※『借地権価格の3%程度』『新賃料の10年間分』は、当時の目安では有りますが、絶対的な基準は設けておらず、借地の利用形態や借地人と地主との経済事情等にて確定要素にはなりません。
但し、借地権契約更新に際して、借地人から地主に対して更新料を支払われるケースは多く見られます。
旧法借地権にも更新料の支払う規定は有りませんが、判例として更新料の支払い義務が契約書等に明記されている場合、その記載額が有効とされ取扱いしております。
特約の未記載の場合でも、都市部・近郊部に於いて更新料の支払いとする慣行があります。
現実的に、更新を行おうとするので有れば、更新料を支払わざる得ないと思うところです。
更新料の額は各々の判断
❶更新料の金額
更新時の金額については、地域差・個々の当事者間・地代の取り扱う『管理会社』の従前経過等により、異なっております。
新法に改定された時期は『借地権価格の割合』にて、一定基準にされたことも有りましたが、近年の地価高騰により、その基準で算出すると相当高額になりますので、更新時に告知(相談)のうえ決めていくのが実情とされております。
新法でも更新料に関する規定がなく、契約内容や地域の慣習等にて支払いの金額や有無を決定する事になります。
今回、特に注意するべき内容『新法借地権は更新後の契約期間』が、『旧法借地権より短い』ことの理由であるため、当然に支払い時期が短縮されるので、『更新料の金額が安くならないと』合理的ではありません。
ほかの考えでは『ある程度更新料を支払い、法律の規定より期間を長期にする』ことも良いと思うところです。
❸正当事由との関係について
借地借家法第6条(借地契約の更新拒絶の要件)
地主が借地契約の更新拒絶する正当事由の要素として、『借地に関する従前の経過』と呼ばれる判断基準が規定されております。
従前の更新の際に、借地人から相当程度の更新料が支払われたどうか、更新が円満に運ばれていつのかの事情も『借地に関する従前経過』として考慮される事が有ります。
後半は『更新拒絶の正当事由』について、ご説明させて頂きます。
地主が借地の明け渡しを求める際の正当事由に関して、新法はその判断基準を具体化し、特に立退料の提供が正当事由を補うことで有ることを明文化されております。
※借地権の新法施行前に、成立(契約関係)には適用されませんのでご注意下さい。
その『そのほかの正当な事由』について、何を考慮すべきなのかは不明確であるがため、新法借地権では、この点の解釈基準となる指針を具体案にされたとされます。
正当事由の判断基準について
旧借地法4条1項『地主が正当の事由に基づいて遅滞なく意義を述べた場合には更新されません』と記載されております。
新法・借地借家法第6条の記載を分かり易く説明すると以下の解釈になります。
主たる判断基準
①地主が土地の使用を必要とする事情
②借地人が土地の使用を必要とする事情
従たる判断基準
①借地に関する従前の経過
②土地の利用状況
③地主が土地の明け渡しの条件として、ほか土地の明け渡しと引換に借地人に対し、財産上の給付をする旨の申し出をした場合等について
❷新法借地権による正当事由の判断基準について
①地主または借地人が土地の使用を必要とする事情
地主だけでなく借地人の土地使用の必要性も考慮すると、実質的に旧法借地権の基準と同等と考えられます。
②借地に関する従前の経過
借地人側から見た事情の有利性・不利について比較すると
権利金・更新料等の授受の有無やその額について(あれば有利)
借地権設定以来の期間について(長くなると不利)
賃料の金額について(安くなると不利)
賃料の延滞・用途違反の有無について(あれば不利)
上記のような有利性・不利という形態になります。
③土地の利用状況について
借地人が土地を居住用に利用・事業用に利用しているか否か
建物が高層・低層の否か
建築基準法の違反はないか
上記のほかに、建物の老朽化の度合いについての点が考慮されます。
過去の判例から、土地が存在する地域の状況も併せて考慮されます。
※都市計画上の用途地域の指定、地域の商業地域化・高層化している等の変化です。
④地主が提供する財産上の給付について
地主が土地の明け渡し条件として、又はこれを引換に借地人に提供するものであり、金銭或いは代替えの土地・建物が考えられます。
記載しました事情だけでは、正当事由が十分でないときに、これらの要件が加わると『地主に有利』となります。
従いまして、地主が更新拒絶を求めるときの【正当事由の判断基準が具体化】されましたので、借地人は何が自分に有利なのか、また不利になるのか知っておくことは本当に重要になります。
借地権は所有権とは、大きく異なり制限が色々あります。
その点を十分ご理解頂きたいと思います。
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