ちなみに『極度額』ってなんですか!?
民法改正にて説明に困ることも有ります。。
連帯保証の極度額は実は定めが有りません!
以前のブログでも『賃貸借契約』について、法改正時のご説明を致しました。
有る方から指摘が有りまして、その内容の補足的なブログを今回掲載したいと思います。
今から遡ること『令和2年4月1日』に、民法改正の中で、建物の賃貸借契約書に影響のある『連帯保証人の責任』に関する規定が加わっております。
建物の賃貸借契約の借主の連帯保証人になった場合、借主が家賃を滞納して契約を解除されると、連帯保証人は『延滞賃料・契約解除後の賃料相当の損害金・明渡しの強制執行費用・明渡し後の現状回復費用』など、借主が負うべき債務一切について、借主と同様の支払うことに成ります。
例として、賃料10万円の物件を借主が、家賃を3ヶ月滞納して契約解除されたとします。
そこで退去せずに明渡訴訟を提起された場合、訴訟提訴から判決確定までに最短2ヶ月程度要しますので、この間の滞納家賃・解除後の賃料相当損害金は、少なくても5ヶ月分かかります。
賃料10万円✕5ヶ月=50万円
通常、建物の賃貸借契約書では、契約解除後の賃料相当の損害金は、賃料の2倍と定められて事が多いです。
上記の定めであれば、滞納家賃・解除後の賃料相当の損害金の合計額
A (10万円✕3ヶ月)+(10万円✕2✕2ヶ月)=70万円と計算されます。
更に、明渡しを命じる判決確定しても借主が明け渡しをしない場合には、強制執行となりますので、強制執行費用(執行官に支払う費用と執行業者に支払う費用)が、大きく上乗せになると言うことです。
B 仮にその費用が、50万円の請求であった場合
またこの間において、賃料の2ヶ月程度の相当損害金も加算され、また原状回復費用の実費分も上乗せされます。
C 仮に原状回復費用を実費30万円かかるとします。
A・70万円+B・50万円+C・30万円=150万円。。。
上記の金額150万円を連帯保証人が支払うことも想定されます。
150万円といえど、訴訟提起から強制執行完了まで最速で行われ、室内の荷物が少量である計算の場合です。
また、訴訟提訴から強制執行までの期間が延長したり、室内の借主の荷物の量が膨大な場合や、汚損破損が激しい場合は、連帯保証人が支払う債務は相当高額に成りうることも想定されます。
このように、建物の賃貸借契約における連帯保証人の責任は、連帯保証人に落ち度が無くても、どんどん増加し連帯保証人に阻止する術は有りません。
例え自ら連帯保証人になることを了承しても、連帯保証人は重責が御座います。
そこで、民法の改正法では、個人が建物賃貸借契約の連帯保証人になる場合、※極度額を書面等で定めなければ、その連帯保証人契約は無効になるとして、連帯保証人の責任に歯止めがかかったと言うことに成ります。
※極度額とは、『連帯保証人が支払義務を負う限度額』です。
この民法改正が、令和2年4月1日に施行され、貸主は悩む事項が御座います。
極度額を幾らに設定することを一番悩むことになりますが、法律上の規定がなく、極端に多額ではないのですが、あまり大きい金額になれば、連帯保証人に成りたがる人がいなく成り、連帯保証人を確保できないことも有ります。
大体ですが、賃料の12ヶ月~24ヶ月分までの間が多く見受けられますが、賃料滞納で契約解除して明渡しを求める場合に想定される損害費用は、貸主としては24ヶ月分を希望されるケースが増えるとされます。
その24ヶ月分の内訳
1,滞納家賃として賃料の4ヶ月
2,賃料相当の損害金賃料の12ヶ月(契約解除から明渡し完了まで6ヶ月)
3,執行費用として賃料の6ヶ月
4,敷金を超過した原状回復費用2ヶ月
ここで注意する点は、民法の改正法が適用されるのは、令和2年4月1日以降に締結された連帯保証人契約ですが、この日以降に既存の普通建物賃貸借契約書が更新される場合、更新前の普通建物賃貸借契約の締結時の連帯保証人契約書についても『極度額の定め』の必要があるかどうかです。
此の点については、連帯保証契約についての新たな合意は有りませんので、極度額を定める必要がないと言われております。
此処は問題点でもあり、『借地借家法の適用がある普通建物賃貸借契約書』において、契約の更新とは新しい契約を締結することであるのか色々な問題に関わってきます。
更新を新しい契約を締結すると考えると、更新前の普通賃貸借契約を対象として締結された連帯保証契約も終了し、新しい連帯保証契約を締結することとなります。
従い、令和2年4月1日以降に普通賃貸借契約の更新時に、新たに連帯保証契約を締結し直す必要があり、その際は民法の改正法が適用され、極度額を定めねばなりません。
しかしながら、契約更新は、新しい契約締結ではなく、あくまで更新前の契約の同一性をもって続くもので、新たに契約を締結する必要はありません。
従って、令和2年4月1日以降に既存の賃貸借契約が更新された場合でも、新たに連帯保証契約を締結する訳ではなく民法の改正法は適用外となります。
今回のブログの内容は、賃貸をメインにしている不動産業者は直ぐに分かりますが、意外と売買専門に従事している不動産会社の盲点になります。
当方は、賃貸・売買双方とも各従業員が対応致しますので、ご質問等御座いましたらお気軽にお申し付け頂ますようお願いします。
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