防災について考えてみましょう
ハザードマップをご存知でしょうか
緊急時の対策している内容をご確認下さい
本年の元日におきた自然災害は、55日経過しても復興が厳しいのが現状です。
不動産自体、『予期せぬ自然災害』の対策もよく考えて熟慮される取引となります。
その中で、居住される場合、最低限度その『地域の防災』の現状を、確認する必要が不可欠となります。
不動産の売買・賃貸の契約する際に、必ず説明を受ける内容ですが、ブログにて改めてご説明させて頂きます。
❶日本国外のハザードマップ
ハザードマップは先進国では、危機意識が特に強く日本以外でも、作成されております。
①アメリカ合衆国
同国では、『アメリカ合衆国連邦危機管理庁(FEMA)』の主導にて、地図に100年に一度の確立での浸水域と、500年に一度の確立での浸水域を併せて表示した想定浸水域図の整備が行われています。
②ヨーロッパ
『欧州連合(EU)』では、加盟国に洪水ハザードマップ等の作成を求める『洪水リスクの評価・管理に関する指令』を、2007年10月に交付しており、加盟国は2015年までに複数の発生確率(低頻度、激甚な事象、中頻度、高頻度)に対応したハザードマップの作成が義務づけられております。
『オランダ』では、10年から100年に一度の発生確率の内水氾濫を対象としたハザードマップが作成されています。
『イギリス』では、100年に一度の発生確率(高潮氾濫域では200年に一度の発生確率)の浸水想定区域図と、1000年に一度の発生確率の浸水想定区域図が作成されており、これ等の浸水想定区域図はインターネット上に公表されております。
❷日本に於けるハザードマップ
日本では、1990年代より防災面でのソフト対策として作成が進められておりますが、自然災害相手だけに発生地点・その規模など特定するのも難しく、予測を超える災害発生の際には、到底対応できない可能性も有ります。
各自治体の掲載情報の、取捨選択・見易い事・情報の硬直化する危険性などの問題も併せ試行錯誤の状況では有ります。
2000年に発生した『有珠山噴火』の際に、ハザードマップに従い住民・観光客・行政が避難した結果、人的被害が防がれた事案に世界から注目された記憶も御座います。
2011年3月11日に発生した『東日本大震災』の際、100年に一度の大災害に耐えられるとされた構造物においても災害を防ぐことは出来ませんでした。
その結果を受けて、国・地方自治体は、構造物で被害を防ぐより、人命を最優先に確保する避難対策としてハザードマップを重要視しました。
その後、『新たなハザードマップの作製』『従来のハザードマップの見直し』『ハザードマップの策定過程に地域住民を参画』させることで、『地域特性の反映』『住民への周知』『利活用の促進』『地域の防災力の向上』を見込む事になりました。
❸主な被害予想地図の種類・表示内容について
①河川浸水洪水(破堤等の河川氾濫・水害・治水)
・河川の氾濫を想定した『洪水ハザードマップ』を言い、『浸水想定区域図』に地方自治体が避難場所を書き加えております。
・『水防法』の平成13年7月改定に基づき、堤防が決壊した際の『浸水想定区域』及びその際の水深を表示した『浸水想定区域図』が作成されました。
・平成17年5月『水防法及び土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律』により、浸水想定区域の指定対象河川の拡大及び浸水想定区域における警戒避難体制の充実が図られました。
・大量の雨水が下水設備の処理容量を超えたため発生する『内水氾濫』による洪水の予想範囲が記載されております。
②土砂災害
・各所でみられる『土石流の発生渓流・崖崩れの危険地』などの災害
・『土砂災害警戒区域における土砂災害防止対策の推進に関する法律』に基づき、都道府県知事による土砂災害警戒区域の指定が行われ、これを地図上で図示した『土砂災害警戒区域図』が作成されております。
・平成17年5月『水防法及び土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律』により、災害時要援護者(災害弱者)の利用する施設への対応や、土砂災害ハザードマップの配布が義務化されました。
③地震災害
・『液状化現象』が発生する範囲、大規模な火災が発生する範囲などが指定されました。
④火山防災
・火口が出現する地点・範囲や、溶岩流・火砕流・火砕サージの到達範囲、火山灰の降下する範囲、泥流の到達範囲などを指定
・火山ハザードマップの利用には、特有の注意点が有ります。(地図に示される火山の諸現象は、短時間で発生するものではなく、時間と共に変化しながら発生します。火口の位置も予測で有り、泥流の流下範囲も予測になります)
⑤津波浸水・高潮
・浸水地域・高潮時の通行止め箇所等などに制限が有ります。
以上が防災に関する中での『ハザードマップ』に関する説明となります。
引き続き『高規格堤防』(通称・スーパー堤防)の内容を考察したいと思います。
❶『スーパー堤防』の沿革
・1987年(昭和62年)
旧建設省(国土交通省)が事業開始
・2010年(平成22年)10月28日
当時の民主党政権の事業仕分けにて『スーパー堤防事業は廃止』の評価判定される
その後の堤防決壊被害で大きく見直される。
・2011年(平成23年)8月11日
『高規格堤防の見直しに関する検討会』において、『東北地方太平洋沖地震』を踏まえ、施設の整備水準を上回る外力は発生しうるとしても人命を守る事を第一に対応することの重要性を認識する判断される。
・2012年(平成24年)1月19日
国土交通省は区間873kmのうち50.6kmの5.8%が整備完了としたが、会計検査院は不完全区間があり完成区間は1.1%と指摘受ける。
2010年10月の事業仕分けで廃止の判断されてましたが、2011年に起きた『東北地方太平洋沖地震』を踏まえ、『人命にかかる』として約120kmは整備継続方針へ
2019年(令和元年)10月
・令和元年東日本台風(台風19号)による東日本の水害で、多くの河川の堤防が決壊し甚大な被害が出ました。
スーパー堤防などが整備されている利根川・江戸川・荒川・多摩川での氾濫警戒水位を超える危険水域に到達しましたが、この時は決壊被害は有りませんでした。
この時、『荒川第一貯節池』『渡良瀬遊水地』『田中調節池』など過去最大の貯水量でした。
❷『スーパー堤防』が抱える課題
大きな課題は『工事期間』と『莫大な費用』です。
2022年4月の時点、事業着手してから24年経過し、累計事業費6,943億円でした。
要整備区間延長872.6kmに対して整備延長は50.8kmで整備率は5.8%というペースです。
全て完成するまで【400年先、累計事業費約12兆円】かかると言われています。
上記以上に問題になる点は、『スーパー堤防と従来の堤防を混在して運用』すると『従来型の堤防の方に水が流れ被害が発生』する可能性が有るがため、一部のみのスーパー堤防の効果が薄いのではと論議されております。
防災対策は、色々な議論を重ねて、治水事業を主体に整備されていくと思います。
大都市圏の『スーパー堤防』は、少しずつ事業着工されて整備されているようですが、当方の調査でも知り得たのですが『住民の方々の理解』が最重要課題で有ることと、其の後の予算・着工に年月が相当かかるのは、永劫の問題であると思います。
いつ何時、災害が起こるか分からないのですが、国が主体でその関係者が防災に取り組まないと、安全は確保されません。
スーパー堤防の資料は『国土交通省』以外でも、『各区市町村の防災担当部署』でも閲覧・資料の調達は可能です。
防災関係の考察は以上になります。
防災はお金ではなく、人命に関わることの重要性が御座います。
人の命は、お金に変えることが出来ない大切な事ですので、私共は、今後も防災に注目していきたいと思います。
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