『所有権の移転登記』の時期について⁈
『売主が宅地建物取引業者』の場合は必ず細かく説明します
『宅地建物取引業法』の内容が基本です!
昨年末から寒冷地では大雪にて生活に支障が出ており、当方の知人からも本当に苦労が続いているとの連絡が入ります。
厳寒と言えば、当方も年代的に寒い時期は、本当にきつく感じております。
そんな中でも、不動産の市場は、私がこの業界に入った時と比べて、かなり高騰したと痛感し、過熱気味なのではないかと思われます。
世界的な物価高の影響が、不動産の高騰や、単独での購入も難しい世の中になりましたが、たまに不動産を一日でも早く引き渡ししたいと懇願される方(売主・買主)いらっしゃいます。
諸事情で、売却代金を受理したいのも、分りますが色々と手続を踏む必要が御座います。
1,所有権留保による売買について
基本的に、土地・建物を住宅ローンで買い入れる場合、新築の場合『建売業者』のように、土地・建物を買主に引き渡し後も、売買代金の全額の支払いが完了するまでは、その所有権を買主に移転しないで、建売業者のままにしておく場合が有ります。
上記のやり方は『所有権留保』と言い、売主である建売会社から見ますと、一番間違いのない担保の取り方になります。
買主の立場からすれば、幾らそこに居住していても、買主名義の登記がない以上、売主以外の第三者に所有権が有ることを対抗できないと言った不利益を被ります。
買主が、売買代金全額を支払い、売主である『建売会社』が倒産した場合、買主はその債権者に対し登記がない以上、所有権の主張をすることは出来ませんので、不測の損害を被ることになる可能性が有ります。
2,宅地建物取引業法により規制されます!
前項『所有権留保による売買について』の結果では、大変なことになります。
このような事態を防ぐために、『宅地建物取引業法』では、買主から一定の割合を超過する売買代金の支払いを受けた場合、原則として前項に述べた『所有権留保を行うことを禁止』して、買主の保護をはかっております。
この内容は、とても重要であるため『売買契約時に必ず説明』を受ける内容ですので、十分理解する必要が有ります。
3,【宅地建物取引業法第43条】
『宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地または建物の割賦販売を行った場合には、当該割賦販売に係る宅地又は、建物を買主に引き渡すまで代金の額を10分の3を超える額の支払いを受けていない場合にあっては、登記のそのほか引渡し以外の、売主の義務を実行しなければならない』
『但し、買主が、当該宅地または建物につき所有権の登記した後の代金債務について、これを担保にするための抵当権若しくは、不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない』と規定されております。』
『従って、売買代金の10分の3を支払うまでは、土地・建物の所有権を売主に留保出来ますが、買主が売買代金の10分の3以上を支払った場合には、所有権を留保することは出来ません』
『この場合は、逆に売主の方で買主に対する売買代金の残金の支払いを確保することが必要になりますから、売買した土地・建物に抵当権を設定したり、不動産売買の先取特権を設定して、其々の登記をすることになり、買主の方では、然るべき保証人を立てることも考えられます』
そこで
『宅地建物取引業法第43条第1項但書』では、逆に売主の立場を考慮して、所有権留保に代わる代金債権を担保する為の方法がとられない場合は、所有権留保をすることもやむをえないとしているわけになります。
『宅地建物取引業法』は、『所有権留保を禁止』するほか、『譲渡担保も禁止』しており、また、『提携ローン付売買』において、業者の買主に対する求償権を担保する場合も、『所有権留保や譲渡担保を禁止』されております。
ご説明の通り、売買代金の10分の3以上を支払った時には、建売業者は、土地・建物について、買主の名義に所有権移転登記をする義務を負いますから、登記をするように業者に請求し、その見返りとして『売買代金を担保する』ための、『抵当権または先取り特権の登記』を付ければ、買主の心配はなくなります。
以上が、売主が『宅地建物取引業者』の場合の、買主様に対するご説明とさせて頂きます。

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