賃貸契約中に貸主が亡くなった場合は⁈
『賃借権』の登記は⁈
『賃貸借の権利』も通常承継されます。
人はいつ何時、どういう事が起こるか解らないもので、特に昨年の元日に能登半島を震源にする大地震が起きた時、被災者の安否を祈るばかりでした。
今回のテーマは『貸主が逝去された際の、賃貸借契約』について考察したいと思います。
この場合、借主様に『貸主様が亡くなりました』とお伝えすると、不安になり『契約はどうなりますか⁈今後はどうなりますか⁈』と、質問を受けることが有ります。
以前管理していた時に、有りましたが慌てないことが重要です!
1,賃貸借契約は⁈
不動産を賃借する場合、貸主との間において『賃貸借契約』を締結し、その契約内容に則して色々な条件を盛り込んで、借主に不動産を使用できるように致します。
取り決めする契約に従い、不動産を賃借していれば問題ないのですが、今までの経験ですが突発的に色々な問題が起きると、売買契約とは違う対応が有ります。
貸主が急に逝去された場合、よく間違えるのが借主側から不動産契約の効力が無くなってしまうと思いがちで、慌てる方も少なからずいらっしゃいます。
結論からですが、『逝去された貸主と借主との間で賃貸借契約』は消滅しません。
契約の内容にて、不動産を賃借することには問題有りません。
貸主が逝去すると、貸主が所有している権利義務は、一定の場合を除き『相続人に相続』され、不動産の賃貸借契約は、相続人に相続されます。
※但し、貸主が単身者や相続される方がいない場合もあり、その場合私どもは事前に聞くことが難しいことも有り、以前掲載した相続問題のブログをご参照頂きたいと思います。
不動産の賃貸借条件も、今までと同一の条件で使用できるのですが、相続人の考えで『管理会社が変更』されると、そこは若干変更も出たりします。
賃貸者条件は、基本的に変更が無いのですが『賃料の保証会社』等が変更になることも有ります。
2,賃借権の登記は⁈
不動産登記の賃借権は、【賃貸借契約に基づく賃借権】の登記とされています。
賃借権を登記をするしないで、ある意味で不利益な点が出てきます。
登記というものは、当事者の協力なくしてできないもので、『賃借権』は『債権』であるので、物権の場合のように当然に登記の請求は出来ず、登記をするしないは『賃貸人(貸主)の任意』に任されます。
通常、登記をする特約事項がない限り、賃借人は賃貸人に対して登記の請求は出来ません。
【民法第605条】で、『不動産の賃貸借を登記することで、その不動産について物権を取得した者やそのほかの第三者に対抗できる』と定められております。
上記の規定で、登記とは別に借主を保護する立場から、法律で賃貸借の登記と同様な効力を認めています。
従来は、土地の賃貸借の場合『建物保護に関する法律』
家の賃貸借の場合の『借家法』という法律です。
家と土地とでは、その規定の仕方に差異があり、家に関しては土地とは違います。
【借地借家法第31条】
建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しが有った時は、その後その建物について物権を取得した者に対して、その効力を生ずる
上記の規定が設けられており、賃借権の登記をしなくても建物の引渡しが有れば、登記をしたと同様の効果をもたらし、第三者に対しての建物賃借権を主張できます。
貸主が逝去された時は、第三者に対する問題ではなく、あくまでも貸主側の地位承継で有り、【借地借家法第31条】の規定とは別個で有り、賃貸借契約の貸主・借主の関係から当然のごとく、対抗力の問題とは関係が有りません。
3,貸主が第三者に譲渡(売却)した場合は⁈
貸主が第三者に売却により譲渡した場合、借地借家法に基づいて建物の引渡しが有れば、賃借権の登記が無くても、その第三者に賃借権の存在を主張できますので、賃借権の登記が無くても不利益を及ぼすことは有りません。
賃借されている方は、貸主が逝去されても心配はないのです。
賃借人と貸主の相続人の間で、従前の通り賃貸借契約が存続するので安心であると思います。
初めて賃貸を借りる方や、心配性の方から契約前や契約時に質問を受ける内容ですが、以上のご説明で安心して頂きたいと思います。

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