『他人の私道』の利用権について!
地方では、耕作している水田等が『用益権』に該当します
『地役権設定登記』は、将来的な問題を予防する登記!
不動産の仕事をしておりますと、何かと気を使うことが多いものです。
弊社の亀戸店もそうなのですが『地主さんが所有している私道』に面しており、開業時に必ず、郵送で『地主さん宛てに通行する』旨の挨拶状をお送りしております。
とはいえ、建築基準法の道路なので、あまりしつこくない様にご挨拶させて頂いております。
今回の議題は『他人の私道利用権』について法的に考察したいと思います。
1,他人の私道利用権について
当方の立地している亀戸店は、住宅街と飲み屋街の境界線のような立地ですが、時には仕事で車両にて通行したり、荷物の出し入れしております。
将来トラブルが心配なので、仮説にて何かすべきなのか考えるものです。
①地役権の登記
一定の土地の利用価値を増すために、他人の土地を利用し支配する権利を『地役権』と言います。
地方では、他人の土地から水路を引いて、その土地から観望し、その土地に建物・塀を立てさせないようにしております。
『地上権』も他人の土地を使用する権利で、似通っておりますが『地役権』は、特定の土地の便益の為に他人の土地を利用する権利ですので、最低限2つ以上の土地が存在することに成ります。
用益地(こちら側の土地)と、承役地(他人の土地)で、通行したり引水する為には、地役権でなくても、その土地の賃貸借によっても可能とされます。
『地役権』は、用役の所有権を結合したものとし取り扱いしますので、此方側の土地は価値が上がるものです。
一方では、承役地の受ける拘束は、地役権の目的の最小限度に止められます。
これは、両立する範囲において他人様も利用できるわけで、双方の土地の利用の調節ができるのが『地役権の特色』です。
②利用範囲を明確にすること
この『地役権』も第三者に対して対抗するには『登記』が必要になります。
❶登記の申請人は『地役権者(用益地の所有権の登記名義人)』と、『地役権設定者(承約地の登記名義人)』との双方の共同申請が必要です。
土地の所有者でないと登記は出来ませんので、『地役権』は要役地の所有権の従たる権利【民法第281条】
用益地についての登記が無いときには、地役権の設定登記は出来ません。
【不動産登記法第112条第2項】
❷不動産の表示は、承役地の登記簿における表示、用益地として、その要件を記載します。
❸登記の目的は『地役権設定』とされます。
❹登記原因の日時は『その設定された日時』を申請します。
❺地役権設定の目的は、『通行』或いは『引水』等に表記されます。
❻地役権設定の範囲は、必ず記載しないといけません。
地上権と異なり、1筆の土地についても登記でき、『設定部分』を『(例)南側長さ10m、幅3m、面積30㎡』と言うように具体的に特定して、図面をつけます。
1筆の土地全部を設定した時は、『設定の範囲・土地の全部』と記載となります。
❼そのほかの特約が有れば、『特別事項』としての記載になります。
❽登録免許税は、承役地の個数1件につき、1,500円必要です。
地役権は、2件以上の土地が必ず存在し、その登記をすると双方の名前で登記した旨が記載されます。
【不動産登記法第141条】
地役権設定の契約は、世の中に数多く有りますが、これを登記しているのは非常に少ないものです。
但し、将来的に揉めない様に『地役権の設定登記』は重要と考えられます。
私道所有者は、その私道に面している方々が、代替わりや購入者から、毎回依頼されると困惑するので、『地役権登記』は少ないのでしょう。

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