『高齢化』に伴う法改正について(区分所有物件編)
『マンション』の2つの老いの解決法は?
『改正される内容』はとても重要です!
昨年と比べて、今年の1月は寒気が厳しく、某所の『寒中水泳大会』も長年の行事も終了されると言った話題もありました。
当方も、以前その寒中水泳に参加しておりましたが、時代の流れなんでしょうか寂しい限りです。
今回のブログは『マンション』に関する法改正について、考察したいと思いますが、近年新築分譲マンションは、1億円を超過すると言った高額商品となりましたが、特に都心部は、購入された時期にもよりますが、売却のご相談も増えてまいりました。
但し、売却に伴い迷いも多く、当方も査定する際は気を使うものです。
昨年の通常国会で、マンションに関係する法律が大きく改正され、新たな再生手法の創設や、区分所有者間の合意形成をしやすくなる環境整備、適正管理の推進を目指した内容になります。
マンションの建物と、居住されている方の『2つの老い』が全国的に進行しており、国土交通省の調査によれば、築後40年以上のマンションの戸数は、約11年前(2014年末)時点では、約48.5万戸でした。
その10年後の2024年末には148万戸に増加しております。
2044年には、482.9万戸まで増えると推計されます。
マンションの世帯主が70歳以上の住戸割合は、築40年以上では55%に上る計算になり、居住者の高齢化により管理不全を起こす老朽化したマンションが増加する恐れが有ります。
そこで日本政府は、マンションに関する法律群を一体改正し、マンションのライフサイクル全体で管理と再生の円滑化を図ることになりました。
改正されたマンションに関する法律は、大きく3つに分かれます。
①『区分所有法』・・区分所有建物の権利全般を定める法律
②『マンション管理訂正化法』・・マンションの管理を定める法律
③『マンション建替円滑化法』・・建て替えを円滑に進めるための事業手法を定める法律
2,区分所有法について
①決議を円滑にし、不参加者を決議から除外!
分譲マンションの重要な方針を決定する時、管理組合は集会(総会)を開いて、議案に対して賛成・反対の決議をとります。
これまで決議に参加しない区分所有者は、意向が分からなくても『反対』扱いとなり、円滑な決議を阻害する要因でしたが、所在不明の区分所有者も同様でした。
そこで、『管理に無関心な区分所有者や所在不明の区分所有者を除外する仕組み』が創設されました。
決議は出席者の多数決となります。
※建替え決議など区分所有権の処分を伴う権利は除きます。
所在不明の区分所有者は、裁判所がその者を『所在等不明区分所有者』として認定すれば、全ての決議の母数から除外することができるようになります。
②新たなマンションの財産管理制度として
管理をしない区分所有者や、所在者不明の区分所有者がいる為に、マンションが管理不全に陥ることを防ぐ手立てとして、『マンションに特化した財産管理制度』が創設されました。
裁判所に選ばれた第三者が、管理や処分(売却)を行なえる制度です。
『管理不全専有部分管理制度・管理不全共用部分管理制度』は、区分所有者が管理せずに放置している為に、他人の権利が侵害される恐れがある場合に、活用できる制度になります。
専有部分や共用部分にゴミが沢山放置される時に、検討対象になるため『所有者不明専有部分管理制度』は、どの制度も、管理人の選任は利害関係者(管理者・区分所有者・近隣住民など)による申し立てを受けた裁判所が行います。
③区分所有者が海外にいる場合にも対応
最近増加している外国人のマンション購入や、国際的に活躍している日本人が増加したことで、『区分所有者が海外に居住』しているケースが増えております。
しかし、区分所有者が海外に生活して連絡がつかないと、管理組合の運営に支障を来たす恐れがあり、そこで『国内管理人制度』が創設されましたが、以前、当方も国内管理人をしておりましたが、かなり代行手続きは面倒なものです。
区分所有者が国内に住所を持たない場合、専有部分・共用部分の管理事務を第三者である国内管理人が行う制度です。
国内管理人の要件は、『国内に住所等を有する個人・法人』になります。
国内管理人は、海外にいる区分所有者に代って、専有部分・共用部分の保存行為(小規模修繕)や、利用改良行為、集会招集通知の受領や集会での議決権行使を行います。
マンションの管理規約で、国内管理人の選任を義務付けることも出来ます。
④建替え決議『3/4』に緩和されます!
マンションのストック約713万戸に対して、建替えの実績は累計323件(2024年時点、総戸数26,000戸)しかなく、中々増えず建替えには多くのハードルが多いものです。
最たるものは、『合意形成が難しい』もので、これまでマンションの建替えに『4/5』以上の賛成が必要で、この条件を満たすには現実的に非常に困難でした。
改正区分所有法により、建替え決議の多数決要件
❶耐震性の不足
❷火災に対する安全性不足
❸外壁等の剥離により周囲に危害を与える恐れがある
❹給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害になる恐れがる
❺バリアフリー基準に不適合
上記の何れかに該当する場合、【3/4以上の引き下げ】となります。
上記❶~❺を、『一定の客観的事由』と言います。
⑤1棟リノベーションや一括売却も選択肢に!
これまでのマンションの建替えでは、新たに建築するマンションで住戸を増やし、その売却益を建て替え費用に充てる手法が一般的でした。
この手法が出来るのは、人気のある立地で容積率に余裕のある一部のマンションだけで、老朽化で再生手法を検討するとき、建替え以外では1棟のリノベーションが検討されますが、全員の同意が必要で、事実上選択は出来ませんでした。
2026年4月からは
建物・敷地の一括売却
建物を取り壊ししたうえでの敷地の売却
建物の取り壊し
躯体を維持しながら全ての専有部分を含む建物全体を更新する1棟リノベーション工事
上記のの行為が、『建替えと同等の多数決(原則4/5一定の客観的事由がある場合は、3/4に引下げ)』て可能になりました。
3,マンション再生法
①隣接地を取り込んだ建替えについて
建替え予定のマンションの隣接地の権利者には、『引き続きその土地に居住したい』と希望する人は意外と多いものです。
建替えに協力して隣接地を提供したとしても、現行制度では補償金の手当のみで、隣接地の権利者に建替え後のマンションの区分所有権を付与することは出来ません。
隣接地権利者は新たに住む場所を探さなくてはならず、建替えに協力する動機付け不足が指摘されておりましたが、法改正により『隣接地の所有権・借地権を建替え後のマンションの区分所有権に権利変換』できるようになります。
隣接地権利者が、建替え事業に参画しやすくなれば、建替え後のマンションの規模拡大も見込め、事業性も向上し、区分所有者の金銭的負担も軽減されます。
『借地権付きのマンション』も『底地の所有権を権利変換』し区分所有権とし、新たに区分所有権マンションに建替えすることも可能になります。
耐震性不足などで要除却認定を受けたマンションには、既存の容積率緩和特例に加えて、高さ制限を緩和する特例も設けられました。
4,マンション管理法
マンション管理適正化法(マンション管理法)は、一定期間以上の長期修繕計画など、適正な管理計画があるマンションに地方自治体が【お墨付き】を与える『管理計画認定制度』を2022年4月から定めております。
これまでの認定対象は、既存マンションのみでしたが、法改正により『新築も認定対象』となり、マンションの長寿命化を目指すには、新築時から適正な管理計画を求められております。
新築時の分譲業者が、管理計画を作成し認定を申請し、管理組合が発足次第、認定計画を管理組合に移管し引継ぎします。
①増加する管理業者管理者方式に規制!
近年、マンション管理業者がマンションの管理者となり、管理業者が理事長の役割を担う『管理業者管理者方式』を採用するマンションが増えておりますが、この背景には居住者の高齢化や、共稼ぎ世帯の増加で、管理組合の役員のなり手が少なくなったことが原因です。
この方式には、管理表者に全て委任できる一方で、管理業者が修繕工事などの発注者となることから、通常より高い金額で関連会社などと契約を締結してしまう『利益相反取引』が容易に発生しやすいという懸念材料が有ります。
この改正により、管理業者管理方式に対する規制が盛り込まれ、この方式を始める時や、管理業者が自社や関連会社との取引を行う時には、事前に区分所有者に説明することが義務化されております。
②2026年4月1日施行し、一部重要事項説明に影響も!
管理計画認定制度の新築への対象拡大は、認定を行う自治体の準備に時間を要することから、改正法令公布日(2025年5月30日)から2年以内の施行になります。
その他は、原則2026年4月1日からの施行になります。
法改正に対応するため、今後多くのマンションで管理規約の改正が進むと考えられ、この法改正に合わせて宅地建物取引業施行規則も改正されます。
2026年4月1日から、『マンションが管理業者管理方式を導入』している場合は、『購入希望者への重要事項説明』で、説明が必要(但し、導入していない場合は、説明義務はなし)となります。
以上が『マンション再生手法』に関するご説明ですが、高齢化社会の改正につき、今後少子高齢化が進行されると、再度改正に至ると思われますが、大切な資産の形成に大きく関わってくると思います。
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