『災害時における不動産会社』の対応について
災害時の住宅確保は、不動産会社の重要な役割になります!
『大規模災害時』は総力を挙げて支援することが重要です
師走に入り、日本の彼方此方で地震のニュースが多いもので、何時災害になるのか分からないものです。
前回まで、『道路交通法』を考察しましたが、今回は『災害時』不動産会社が、被災地域に如何様に対応すべきか考察したいと思います。
2025年(令和7年)も残りわずかに成りましたが、地震・火事・大雨・高温等による災害も多くありましたが、不動産業に従業している私たちも、傍観できない立場にあります。
1,災害時における対応
①災害時における住宅確保の必要性
災害が発生したときに、被災者の住まいをどのように確保するかは、大変重要な課題になります。
大規模な災害の発生時、多数の被災者が長期にわたり、避難を要することが想定され、行政機関が仮設住宅を建設して提供する手法のほか、民間賃貸住宅を被災者用住宅に利用する手法が考えられ、『東日本大震災』の際など、民間賃貸住宅を行政機関が借り上げて被災者に提供する『応急借り上げ住宅制度』が、積極的に活用された記憶が御座います。
②応急借上げ住宅とは?
❶応急仮設住宅の種類はあるのか?
(1)民間賃貸住宅の利用
(2)仮設住宅(応急的なプレハブ住宅等)
❷応急借上げ住宅の関係について
(1)貸主は住宅所有者
(2)借主は都道府県知事
(3)入居者は被災者
※契約形態・契約期間や入居者の負担水準・条件等は、自治体により異なります。
このような応急借上げ住宅としての利用や、被災地域の方々が自主的な避難等に伴い、物件を探す際の動きに対して、その需要に対して供給物件の不足が想定されます。
最新かつ正確な物件情報の把握と提供、被災地等のニーズと物件への入居、迅速な手続き、各種対応に係る地域全体としての速やかな、意思決定が不可欠であり、行政機関がその全てを一手に担うことは不可能に近いものです。
③宅地建物取引業者の役割は?
上記の内容を踏まえて、宅地建物取引業者が、これらの一連の対応において重要な役割を果たすことが要望されます。
宅建業者が行政機関と連携し、かつ媒介・管理の密接な連携、業者間の密接な連携により、被災者に対しできるだけ速やかに住宅を確保することは、宅建業者が果たすべき社会的な役割になります。
その意義は極めて大きく、このような視点から『応急借上げ住宅制度』の利用に係ることを学ぶことが重要になります。
※日本列島においては、関東直下型地震や、南海トラフ地震等が予測されております。
事前対応として『不動産関連の業界団体』が災害時において社会的な役割を十分に果たせるよう、この制度を理解する必要が有ります。
2,具体的な宅建業者の関与のあり方について(契約時)
『災害』といっても、その規模に応じて災害救助法は適用されない被害の大きい被害【大災害】と、災害救助法が適用されるような【大規模災害】『東日本大震災』等が該当されます。
①大災害の場合
【行政機関が選定した物件を紹介するマッチング方式】
害の場合、必要とされる応急借上げ住宅の戸数は、過去の事例からみても多くても200戸程度であり、行政機関によるマッチング方式によって被災者に供与が可能となります。
この時、宅建業者は物件の使用可否の確認、住宅所有者の意向把握や、都道府県への報告、賃貸借契約の関与、入居時の説明、鍵の引渡しの役割を担うことになります。
②大規模災害の場合
【被災者が自ら探した物件を借上げ住宅とする方式】
大規模災害の場合、必要とされる応急借上げの住宅の戸数は200戸を優に超えることが想定されます。
そのため、行政機関によるマッチング方式による、被災者への供与が困難になる可能性が高くなります。
そのため、大規模災害時においては、被災者が自ら探した物件を応急借上げ住宅とみなし、供与することが想定されます。
この時、宅建業者は『大災害の場合』の対応に加えて
本来の業務である『被災者への物件の仲介』を行うとともに『応急借上げ住宅制度の説明』という行政機関が、担うべき業務を代行することも必要になります。
3,具体的な宅地建物取引業者の関与の有り方は?(入居後)
被災地に対して、地域コミュニティの維持や、生活面や心的なケアなど、入居期間中も様々な支援等を要する場合が有ります。
期間満了時や、次の住まう場の確保に関しても、一定の対応が必要になり、これらに関しても、宅建業者が一定の役割を果たすことが期待されるものです。
①入居期間中の支援について
❶大規模災害時の応急借上げ住宅は、被災者が其々個別に選んだ住宅に入居するため、その所在が把握しにくく、地方公共団体、支援団体等からの情報提供に難があり、被災者同士で交流や情報交換を失う機会が多くなります。
したがい、個人情報の取り扱いを整理したうえで、関連団体、宅建業者、管理業者が行政機関に代わり、必要な情報伝達を行うことが考えられます。
❷また、借上げ住宅の入居状況の把握についても、個人情報の取扱いを整理した上で、関連団体、宅建業者、管理業者が行政機関に代わり行うことが考えられます。
②契約更新・再契約と退去について
❶応急借上げ住宅の入居期間については、原則2年としつつも、災害の規模等に応じて災害担当所轄部局の判断で、供与期間の延長が可能とされております。
期間が延長された場合には、普通借家契約の場合、更新契約が『定期借家契約』の場合には、再契約が必要となり、これ等の手続き等について宅建業者が対応することが考えられます。
❷応急借上げ住宅の場合、借主は都道府県知事であり、実際の入居者と異なりますので、入居者が期間中に自らの退去時、災害救助法の適用期間が終了したことに基づく退去の場合につき、入居者に対する退去日の連絡方法・退去確認の立会い、鍵の受け渡し方法等、退去の際の一連の手続きは、宅建業者が対応することが考えられます。
❸応急借上げ住宅の場合、災害発生直後は被災者を早急に避難所から自宅に移すことが優先になります。
『現状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省住宅局)』において推奨されている『入居時の物件確認の徹底』が、行われない可能性が有ります。
入居者である被災者は、民間賃貸住宅に住んだことが無い方も多く、退去時の原状回復の有り方につき、宅建業者の関与に基づく専門的な対応が必要になると思われます。
❹応急借上げ住宅が終了した場合、次の住まいの確保につきどのような選択肢があるのか?
被災者に中々に分からず、応急借上げ住宅を引き続き賃借して生活を継続することを、希望されるケースも多く想定されます。
このような退去後の住み替え相談、または継続住宅に係る相談についても、宅建業者が関与することが多いものです。
4,災害時に適切に対応するための備えについて
①災害協定(地域全体での取組み)
災害における宅建業者の役割は大きく、実際にその役割を果たすためには、個々の宅建業者の力だけではなく、行政機関や宅建業界団体との提携・協力体制の構築が必要になります。
各都道府県では、災害が発生した際に地域の民間事業者との間で、連携して対応がなされるように、『災害協定』を結んでおくことが重要で、宅建業者についても多くの都道府県で、宅建業者の業界団体との間で災害協定が締結されております。
しかしながら、東日本大震災前に締結された災害協定の多くは、マッチング方式による応急借上げの供与を想定しており、大規模災害を想定した被災者自らも物件を探す方式に対して、十分に対応しきれないのが現状です。
現在、行政機関や関係団体では、順次、大規模災害時における対応も想定した災害協定や付属する覚書の作成見直し等が進められており、不動産業界として地域全体の取り組みに関心をもつ必要が有ります。
②宅地建物取引業者の個々の対応について
前項のような地域全体における取組に加え、個々の宅建業者においても、各自が災害発生時に適切に対応ができるよう、宅建士が中心になり常日頃から準備が必要です。
❶民間賃貸住宅の所有者の最新情報を把握し、その者に対し予め応急借上げ社宅制度の概要を紹介しておくこと。
❷災害発生時における所属団体との連絡体制を確認すること。
❸応急借上げ住宅関係の契約に関する書類、被災者向けの資料、災害発生時の物件確認のための道具等の備品を確保し、移動手段の確認をすること。
❹災害発生時に対応すべき事項等が確認できるチェックリストを用意すること。
❺応急借上げ住宅供与時の、対応に係るチェックリストを用意すること。
❻入居期間中の支援、契約更新時・再契約時及び退去時の対応に係るチェックリストを用意すること。
突然の災害時に、不動産業界は人命もそうですが、建物の被害状況を確認するのが、非常に大変ですが、不動産業務(職務)であるので、普段から色々と考えております。
以上が『災害時における不動産業者』の心得となります。
争いごとや自然災害のないことが一番の安全ですが、万が一の場合、頼りになるべく普段から学習してまいります。
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