『コンプライアンス』について❶
『社会的責任からなる法令』と覚えておきたいものです
個人情報保護法から学ぶ『コンプライアンス』の基礎知識
トップニュースで日本銀行が金利を利上げするといった内容ですが、此れから住宅を購入される方や、住宅ローンの変動型を利用されている方のローン返済に影響がでる時代になりました。
日本は政策金利が、0.5%から0.75%に上がりましたが、スイスの0%以外、日本よりかなり政策金利が高いものです。
アメリカの政策金利は3.5~3.75%
ユーロ圏の政策金利は2%
トルコにいたっては38.00%(それでも利下げ後の金利です)
その国で生活するには、色々な事情もあるとは思いますが、日本経済は、長年金利0%で推移していましたので、0.75%でも敏感にはなるものです。
2003年5月30日に『個人情報保護法』が公布され、何回か改正されており、不動産業界でも『コンプライアンス』について厳格に取扱いすることになります。
コンプライアンスについての意義や機能について学ぶ必要が御座います。
特に不動産業務は、居住する場所を提供することが仕事ですので、取り扱いの情報漏洩は信用問題になります。
1,コンプライアンス重視の社会的背景について
コンプライアンスと言う概念が強調されるようになったのは、2000年代と歴史的に言えば浅いものです。
しかしながら、それに先立つ昭和40年代後半あたりに、公害問題などを契機に『企業の社会的責任』の概念が取りざたされました。
この概念は、企業が各種の経済活動を行う過程において、利益の追求のみでなく、社会の一員として、消費者・従業員・地域住民・取引先・株主・投資家をはじめとする企業を取り巻く、関係者との関係を重視し、社会に対する責任・貢献を果たさなければならないといった、一般社会からの要請を意味します。
ここで『企業』は、決して大会社ではなく、個人事業主も含むすべての経済活動人を総称する概念であります。
このような『企業の社会的責任』の強調は、その責任を十分果たすことは、企業自身にとっても企業イメージの向上、コストの削減、労働問題の軽減等利点があると考えられていました。
社会的責任の具体的な発露として、コンプライアンス、消費者保護、環境問題への取り組み、人権擁護、個人情報の保護、製造物責任等が挙げられます。
個別具体的な対応として法規範が出来ているものも有りますが、具体的な法律・制度とは離れて、近年急速に重視、強調されるものが『コンプライアンス』とされます。
①コンプライアンスの概念について
一般的なものはないのですが、意味は『法令遵守』と、とらえるのは狭いもので、現代のコンプライアンス重視の流れから見ると、何となく違うような気がします。
現代の法制度では、各種の活動を行う法人や自然人(個人)が、法令を守ることは当然と思います。
法令遵守の意味であれば、何故か外来語を用いているのが不思議なのですが、『コンプライアンス』は、法令遵守は当然として、社会倫理・社内規定・経営理念・展望等広範囲の概念と捉えるのでしょうか?
近年、コンプライアンスという用語が数多く登場しているのは、次の事象が有ります。
②企業の不祥事の顕在化
近年、倫理意識の欠如を原因とする企業の不祥事の報道が、増加している傾向が有ります。
この数年でも、検査データの改ざん、投資用不動産への不正融資、建築基準法の違反、会計の不正処理等、企業倫理が問われる問題が発生し、それではそのようなことが、問題の表面化することを後押ししする『公益通報者保護法』が平成18年に制定されたのが大きいと思われます。
不正を発見し通報した者を保護する法律ですが、これにより、表面化しなかった内部の不正が容易に表面化するようになりました。
企業の不祥事が増加したと言うより、そうした制度を背景に、一般市民・マスコミにより、不祥事が顕在化することが増加したと思われます。
③規制緩和の進展について
平成10年頃より、日本においても規制緩和が急速に進み、従来当然とされてきた規制が撤廃され、民間企業の活動領域が拡大しました。
公営企業の民営化により、自由な競争の場が提供され、企業は自由に活動できるようになりましたが、その反面、企業に対して国民・マスコミが、責任体制の確立やモラルの徹底を求める声が強くなっております。
④行政の監督手法の転換による新制度について
規制緩和により、監督官庁が多数の企業に対して細かく監督指導することは、必ずしも適切ではなく、物理的にも困難でもあります。
そこで考案された方策の一つに、企業自身が社内にコンプライアンス体制を作り、万が一、不正または不適切な事件が起きた場合、それを自らが社会に公表したり、所轄の官庁に積極的に申告した方が、企業にメリットになる法制度が整備されます。
『公益通報者保護法』も、その一つであり、会社法でもコンプライアンス体制の構築・運用に視野を置いて幾つかの規定を設けております。
独占禁止法が、違反行為を自ら申告した企業には『課徴金減免制度』を適用することなどは、その代表的なことであると思います。
⑤一般国民の意識の向上とIT社会化について
情報化社会の進展により、一般国民が各種の情報を容易に入手することが容易になり、それに伴い諸問題に対する意識も、従来と比べて向上し、インターネットを通じて企業の不祥事も瞬時に、知られ企業もそれを無視できない時代になったのでしょうか。
⑥会社組織とコンプライアンス
平成17年に成立した会社法では、大手企業の取締役会に対し、幾つかの体制を整備することを義務付けており、この制度は『内務制度』と呼ばれております。
(1)取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する為の体制
(2)その他、株式会社の業務の適正を確保するために必要な以下の体制
❶取締役の職務の執行に関わる情報の保存及び管理に関する体制
❷損失の危険の管理に関する規定その他の体制
❸取締役の職務の執行が効果的に行われることを確保するための体制
❹使用人の業務の執行が法令及び定款に適合することを確保する為の体制
❺当該株式会社、親会社、子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
大手企業においては、リスク管理などと共にコンプライアンスを確保するための、体制を組織として整備することが法的に義務付けられているのであり、その会社の従業員もこの体制による規制に服することになります。
コンプライアンス、内部統制に関する制度としては、金融商品取引法が有価証券報告書の提出会社に対し、財務報告等に係る内部統制の確立を定めて、内部統制報告書の提出を義務付けております。
内部統制の対象とならない大手企業以外の組織においても、組織の運営・管理に関し、内部統制という考え方が有効になりものです。
2,コンプライアンスの機能について
①リスク管理の手法について
今までの記載事項のような社会的背景のもと、近年コンプライアンスの用語が頻繁に登場する背景には、目先の利益にとらわれ、法令違反に近い社会倫理的な基準や健全な常識とかけ離れた行為に対する社会的批判の増大が有ります。
それにより、消費者や取引先からの信頼を失い、金融機関からも見放され、事業継続が困難となる事例が発生します。
上記の事態を回避するため、コンプライアンスこそ管理のための中心的課題、手法ということが出来ます。
宅地建物取引業者においても、一般顧客が取引するにあたり、最も高い関心事は、その業者の信用であり、一度でもコンプライアンス違反が発覚された場合、回復が困難なダメージとなります。
私どもも、言葉やメールで失礼の無いよう心掛けてはおります。
それでも見直しても、ミスは出るもので一層の注意が必要です。
②顧客(お客様)からの信頼の獲得について
コンプライアンス重視の業務姿勢は、当然のことながら、一般消費者ないし顧客から『信用できる業者』として信頼され、その結果として業績の拡大に繋がると思います。
コンプライアンス体制を構築することには、重要なのは従業員のモラル意識、従業員の行動がその宅地建物取引業者の信頼確保が循環的な効果になります。
③会社・従業員を守る手段として
記載しておりますコンプライアンス機能は、その機能発揮により業績の向上、事業の発展に繋がり、反射的に会社・従業員を守る手段として機能します。
コンプライアンス違反が生じにくい業務環境を形成することにより、違反事例に対処するための要員や時間を節約できる意味で、管理コストの節減も可能です。
コンプライアンスは、他面にわたり事業進展にとって不可欠な機能となります。
以上が一般的な説明になりますが、次回は『不動産会社のコンプライアンス』について考察したいと思います。
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