『媒介契約』について③
中古の不動産の買主は、建物の『信頼』を買います!
『インスペクション』について詳しいのは心強いです!
今年は、6月から季節的に夏に入り、9月現在でも猛暑が続き『残暑』が厳しいものです。
台風が通過する時は、幾らか暑さも落ち着くのですが、気になるものです。
仕事上お客様と接する場所が屋外が多いもので、日焼けして、東南アジア系の人と間違えられます。
今回のブログは、『媒介契約』に関するご説明の続きになります。
1,建物状況調査の実施について
既存建物の売買で、媒介業者には『媒介契約の締結時』に、建物状況調査『インスペクション』を実施する者の斡旋に関する事項を記載した書面を依頼者に交付する義務が御座います。
【宅地建物取引業法第34条の2、第1項第4号】
この義務は、平成28年の法改正(平成30年4月1日施行)により、定められております。
2,建物状況調査について
①建物状況調査の意味・メリットは?
建物譲許調査は、既存住宅の基礎、外壁等の部位ごとに生じている『ひび割れ、雨漏り等』の劣化・不具合の有無を目視、計測等により調査するものです。
通常『インスペクション』と言い、建物状況調査を行うとメリットが御座います。
❶調査時点における住宅の状況を把握したうえで、売買等の取引を行うことができ、取引後のトラブルの発生を抑制することが出来ます。
❷既存住宅購入後、建物状況調査の結果を参考にリフォーム・メンテナンス等、行うことが出来ます。
❸住宅瑕疵担保責任保険法人の登録を受けた、検査事業者の検査人が建物状況調査を実施し、建物状況調査の結果、劣化・不具合等がないなど一定の条件を満たす場合には、既存住宅売買瑕疵担保保険に加入することが出来ます。
※既存住宅売買瑕疵保険に、加入するための検査の有効期限は1年となります。
②建物状況調査の実施者
建物状況調査は、国の登録を受けた『既存住宅状況調査技術者講習』を終了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が実施します。
講習を修了していない建築士、検査事業者が実施する調査は、宅地建物取引業法に基づく建物状況調査には当たりません。
調査者は調査当日、有資格者の証明できる『カード型の終了証』等を携帯しておりますので、検査時は、それを確認することが重要です。
③建物状況調査の対象になる建物
建物状況調査の対象にとなるのは
❶人の居住の用に供した住宅
❷建設工事の完了の日から1年を経過した住宅
上記何れかに該当する物に限定されます。
戸建住宅、共同住宅(マンション・アパート等)は共に対象です。
賃貸住宅は対象ですが、店舗・事務所は建物状況調査の対象外になります。
店舗併用住宅の場合、住宅部分(店舗部分と共用部分を含む)が、基本的な建物状況調査の対象になります。
④建物状況調査の対象となる部位
建物状況調査の調査対象部位は、建物の『構造耐力上、主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分』です。
具体的な調査箇所は、工法により異なりますが、構造耐力上必要な部分に関して『基礎・土台及び床組、床、柱及び梁、外壁及び軒裏、バルコニー、内壁、天井、小屋裏』
雨水の侵入を防止する部分に関しては『外壁、内壁、天井、屋根』が一般的です。
オプション調査を依頼する場合を除き、建物状況調査を実施する者によって、調査対象部位が異なることは有りません。
給排水管路や給排水設備等は、建物状況調査の対象外ですが、オプション調査として依頼できる場合が有ります。
⑤建物状況調査の実施方法
建物状況調査は、国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、国が定めた『既存住宅状況調査方法基準』に従い調査します。
使用する機材は調査実施者によって異なりますが、例えば床の調査であれば『レーザー水平器』等、基礎の調査であれば『クラックスケール、鉄筋探査機』等が使用されます。
マンション(鉄筋コンクリート造)の場合、コンクリートの強度や鉄筋の本数、間隔の調査を行います。
戸建住宅(木造)の場合、床下の蟻害、腐朽等の調査を行います。
マンションの建物状況調査では、1棟全体を対象とする『住棟型』と、住戸を対象とする『住戸型』があり、専有部分だけではなく共用部分の調査も行われます。
建物状況調査は原則として『目視・非破壊検査』により行われ、例えば、建物の構造耐力上必要な部位である基礎の調査について、敷地内の地中の調査を含みません。
また、建物状況調査を実施する際には、建物の所有者が立ち会うのが一般的です。
⑥売主の承諾、費用、所要時間について
既存住宅について建物状況調査を実施する場合、予め売主の承諾を得る必要が有ります。
居住中であれば、居住中の承諾が必須で、マンションにおいて建物状況調査を実施する場合、共用部分も調査の対象となり、予め管理組合の了承を得る必要が有ります。
建物状況調査の実施費用については、建物状況調査の依頼者(売主若しくは購入者)が負担となります。
費用についての基準は未設定であり、各調査実施者により費用は異なり、マンション(鉄筋コンクリート造)と戸建住宅(木造)では、規模や工法により調査を実施する部位や箇所が異なるため、調査費用も異なります。
所要時間は、通常3時間程度となります。
⑦有効期限について
建物状況調査には、有効期限は有りませんが、時間の経過とともに建物の現況と調査結果との間に乖離が生じる点は留意が必要とされます。
重要事項説明の対象となる建物状況調査は、『調査を実施してから1年(鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅は2年)以内』のもととされます。
3,建物状況調査を実施する者の斡旋の意義について
建物状況調査を実施する者の斡旋とは、売主又は購入希望者などと『建物状況調査』を実施する者との間で、建物状況調査の実施に向けた具体的なやりとりが、行われるよう手配することです。
建物状況調査の実施する者に関する情報を単に提供することは『斡旋』に当たりません。
斡旋の対象は、個人でも法人(実施者が所属する法人)何れでもいいのですが、法人を斡旋する場合、建物情報調査を実施する者は『建築士』です。
報酬を得て建物状況調査を行うのは、建築士法に基づく建築士事務所登録が必要ですので、宅地建物取引業者が斡旋する者は、登録を受けている建築士事務所に所属する建築士、又は建築事務所でなければなりません。
4,宅地建物取引業者の義務について
宅地建物取引業者が義務付けられているのは、斡旋に関する事項を記載した書面を依頼者に交付することでもあります。
宅地建物取引業者は、建物状況調査を実施する者を必ず斡旋する義務は有りません。
媒介契約書に、建物状況調査を実施する者の斡旋の有無を必要があるため、売主又は購入希望者に対して、建物状況調査の制度概要等について紹介することが求められ、そのうえで、売主又は購入希望者の希望に応じて斡旋を行うことになります。
令和6年4月1日から、標準媒介契約書の約款が改定され、斡旋『無』とするときは、その理由を記入することになります。
例えるならば、以下のような記入例が有ります。
❶甲(依頼者)が、建物状況調査を実施する者の斡旋を希望しないため。
❷目的物件の所有者から、建物状況調査の実施の同意が得られないため
❸既に建物状況調査が実施されているため
売主によって既に建物状況調査がなされている場合でも、購入希望者に対して建物状況調査の制度の概要を説明し、斡旋を希望するか否かを、確認する必要が有ります。
購入希望者に建物状況調査を斡旋する場合には、建物の所有者である売主に建物状況調査の実施について予め承諾を得る必要が有ります。
斡旋は、宅地建物取引業者が媒介業務の一環として行うもので、媒介報酬とは別に斡旋料を請求することは出来ません。
原則として宅地建物取引業者は、自身が斡旋した調査実施者が行った、建物状況調査の結果を知りながら、その者を斡旋し、その者による調査結果によって売主又は、買主に損害が及んだ場合などに、『宅地建物取引業法の監督処分』の対象となる可能性が有ります。
5,関連会社を斡旋すると?
売主及び購入希望者の同意がある場合を除き、自らが媒介を行う既存住宅について、宅地建物取引業者が建物状況調査の実施主体となるのは、適当ではないとされ、建物状況調査の結果に関する客観性を確保する理由が有ります。
取引に直接の利害関係を有しない関連会社(グループ会社)を、建物状況調査を実施する者の斡旋することは差支えないとされます。
この場合、売主及び購入希望者の同意は不要です。
6,不動産の購入を見合わせた場合は?
購入希望者が、売主の承諾を得て建物状況調査を実施した所、建物に不具合が発見され、購入を見合わせるケースも有ります。
その場合、調査の依頼者は購入希望者であるため『建物状況調査の結果の概要』と『報告書』は、購入希望者に渡されることになりますが、調査後の情報の取扱いは、予め売主と購入希望者の間で相談をしておく必要が有ります。
7,買主の対応は?
宅地建物取引業者から斡旋を受けた買主は、建物状況調査を実施しなければならない訳では有りません。
調査費用(見積金額)、調査内容等について詳しい説明を受けたうえで、建物状況調査を実施するかどうか決めることも可能です。
斡旋を受けた建物状況調査を実施する者については、『国土交通省』のホームページに掲載されておりますので、確認されるのもいいと思います。
宅地建物取引業者は、建物状況調査の結果の概要について『重要事項説明』を行う義務があるため、売主又は購入希望者は、建物状況調査の結果の概要について、宅地建物取引業者に情報提供をする必要が有ります。
以上が『媒介契約』の中で、新しめの項目『インスペクション』に関するご説明となります。
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