『消費者契約法』について②
『強引な営業法』は無くならないものです。。
『不当勧誘』による契約は『取消』になります!
不動産取引のみならず、世間では『消費者トラブル』も多いもので、『消費者庁』が発足された経緯もありますが、『消費者契約法』を学ぶ機会は少ないものです。
前回のブログの続編となりますが、今回は『不当勧誘』による契約の取消しについて、考察したいと思います。
1,不当勧誘による契約の取消し
①概説について
事業者の不当勧誘によって、消費者の自由な決定が妨げられる場合、消費者は契約を取り消すことが出来ます。
不当勧誘等による消費者契約の取消しには、『誤認の類型』『困惑の類型』『契約内容が過量な場合の類型』といった3つの類型が有ります。
②誤認の類型とは
誤認の類型に含まれる取消事由には、『不実告知』『断定的判断の提供』『利益事実の告知と不利益事実の不告知』といった3つのケースが有ります。
❶不実告知とは
事業者が、重要事項について事実と異なることを告げ(不実告知)、そのことにより諸費者がその告げられた内容が事実であるとの誤認によって契約の申込み又は承諾の意思表示をしたときは、消費者は、消費者契約を取り消すことが出来ます。
【消費者契約法第4条第1項第1号】
例に挙げると、物件が築後15年であるのに、『この物件は築後10年です』等告げること
抵当権が設定されたり、差押えされている物件であるにも関わらず『権利に問題がない物件です』などと告げることが、不実告知の例となります。
不実であることについて、事業者の故意・過失を問わないとされます。
❷断定的判断の提供について
事業者が、物品・権利・役務その他の、その契約の目的になるものに関し、将来における価額、将来その消費者が受け取るべき金額、その他将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供したことにより、消費者がその断定的判断の内容が確実であるのと誤認をし、それによって契約の申込みまたは、承諾の意思表示をしたときに、消費者はは消費者契約を取り消すことが出来ます。
【消費者契約法第4条第1項第2号】
不動産会社の営業から
『この物件は、今買えば必ずもうかる』
『2年後には今の倍にはなります』
等の告知することが、断定的判断の提供の例になります。
断定的判断の提供であることについては、事業者の故意・過失を問いません。
❸利益事実の告知と不利益事実の不告知
事業者が、ある重要事項又は重要事項に関連する事項について、消費者の利益となる旨を告げ、かつ不利益となる事実を告げなかったことにより、消費者が存在しないとの誤認をし、それによって契約の申込み、または承諾の意思表示をしたときには、消費者は、消費者契約を取り消しすることが出来ます。
【消費者契約法第4条第2項】
利益事実の告知+不利益事実の不告知については、事業者に故意又は重過失があることを要します。
事業者の過失(軽過失)による不利益事実の不告知は、取消事由には該当しません。
2,困惑の類型について
①不退去について
事業者に対して、消費者がその住居又はその業務を行っている場所から、退去すべき旨の善意を示しても、その場所から退去しないこと。
【消費者契約法第4条第3項第1号】
②退去妨害について
消費者が勧誘の場所から退去する旨の意思を示したにも関わらず、事業者がその場所から消費者を退去させないこと。
【消費者契約法第4条第3項第2号】
③勧誘をすることを告げずに、退去困難な場所に同行し勧誘すること
事業者が、勧誘をすることを告げずに、任意に退去することが困難な場所であることを知りながら、消費者をその場所に同行し、その場所において契約の締結について勧誘をすること。
【消費者契約法第4条第3項第3号】
④相談の連絡の妨害
消費者が契約の締結について、勧誘を受けている場所に於いて、消費者が契約を締結するか否かについて、相談を行うために電話等でそのほかの方法によって事業者以外の者と連絡する旨の意思を示したことにも関わらず、事業者が威迫する言動を交えて、消費者がその方法によって連絡することを妨害すること。
【消費者契約法第4条第3項第4号】
⑤進学・就職・結婚等の不安の不当利用
消費者が、社会生活上の経験の乏しいことの理由で、進学・就職・結婚・生計そのほかの社会生活上、重要な事項、または容姿・体型そのほかの身体の特徴
又は、状況に関する重要な事項に対する願望があることを、知りその不安を煽り、裏付けとなる合理的根拠がある場合、物品・権利・役務そのほかの契約の目的となるものが、願望の実現である旨を告げること。
【消費者契約法第4条第3項第5号】
⑥恋愛感情そのほかの好意の感情の利用
消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、勧誘を行う者に対して恋愛感情そのほかの好意の感情を抱き、かつ、勧誘を行う者も当該消費者に対して同様に誤信していることを、知りながら、これに乗じ、消費者契約を締結しなければ勧誘を行う者と関係性が破綻することになることを告げること。
【消費者契約法第4条第3項第6号】
⑦加齢等による判断力の低下の不当利用
消費者が、加齢・心身の故障により、その判断力が著しく低下していることから、生計・健康そのほかの事項に関して、その現在の生活の維持に過大な不安を抱いていること。
そういった事を知りながら、その不安を煽り、裏付けとなる合理的な根拠がある場合、その他の正当事由がないのに、契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。
【消費者契約法第4条第3項第7号】
⑧霊感、その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見の利用
世間でいう『霊感商法』です。
消費者に対し、霊感等の合理的に実証困難な、特別な能力による知見として、消費者、その親族の生命・身体・財産等の重要な事項について、不安を煽りその重大な不利益を回避するため、消費者契約を締結する旨を告げること。
【消費者契約法第4条第3項第8号】
⑨契約締結前の債務の内容実施等について
消費者が、当該消費者契約の申込み、その承諾の意思表示する前に、契約締結したならば、負うことになる義務の内容を全部、もしくは一部を実施し、当該諸費者契約の目的物の現状を変更し、その実施・変更前の原状回復を著しく困難にすること。
【消費者契約法第4条第3項第9号】
⑩損失補償請求等の告知について
消費者が、契約の申込み・承諾の意思表示をする前に、事業者が調査、情報の提供、物品の調達そのほかの当該消費者契約の締結を目指した事業活動を実施した場合
事業活動が、当該消費者から特別の求めに応じ、その他の取引上の社会通念に照らして、正当な理由がなく、事業活動が当該消費者のために特に実施
その旨より生じた損失補填を請求する旨を告げること。
【消費者契約法第4条第3項第10号】
3,契約内容が適量な場合
不当勧誘等による、消費者契約の取消しの3番目の類型は、契約内容が適量な場合の取消しとなります。
消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘の際、物品・権利・役務そのほかの契約の目的になるもの分量・回数・期間等が、消費者にとり通常の分量等を、著しく超えた場合、その勧誘により消費者契約の申込みした時は、これを取り消すことが出来ます。
【消費者契約法第4条第4項】
①不動産の売買・賃貸借における契約内容が適量な場合として
例えば、高齢の夫婦に対して、日常生活に不必要な広い床面積の建物を住居用に売却したり、賃貸したりすることが想定されます。
不要な広さの住宅の売買・賃貸の勧誘が行われた場合、契約内容が過量な場合にあたるとして、【消費者契約法第4条第4項】によって売買契約・賃貸借契約が取消しされる可能性が有ります。
4,事業者から委託を受けた媒介業者が『取消事由となる行為』を行った場合
事業者が第三者に対し、事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介の委託をし、委託を受けた第三者が、消費者に対して取消し事由となる行為を行った場合
消費者は契約を取り消すことが出来ます。
【消費者契約法第5条第1項】
消費者契約の締結に係る消費者の代理人、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、『取消事由となる行為』、不当条項として無効となる行為との関係においては、それぞれ諸費者・事業者及び受託者とみなされます。
【消費者契約法第5条第1項】
媒介業者が事業者から委託を受けて媒介行為を行うにあたり、誤認・困惑類型に含まれる行為を行った場合、諸費者は事業者の行った行為とみなし、契約を取り消すことが出来ます。
5,『取消権』の行使期間について
消費者による不当勧誘による、取消権の行使は追認することが出来る時から【1年以内】に行わない時は、時効によって消滅します。
【消費者契約法第7条第1項】
追認することが出来る時とは、誤認類型にあっては、事業者の行為により誤認したことを消費者が気づいた時、困惑類型にあっては、困惑状態から消費者が脱した時を言います。
もっとも、この取消しは善意無過失の第三者には対抗できません。
【消費者契約法第4条第6項】
また、契約締結の時から5年を経過した時も、同様に取消権は消滅します。
【消費者契約法第7条第1項】
霊感等による知見を用いた告知がなされた場合
【消費者契約法第4条第3項第8号】
上記については、追認をすることが出来る時から3年間
消費者契約の締結から10年として、取消権の行使期間が伸長されます。
【消費者契約法第7条第1項参照】
以上が『消費者契約』に際しての、『取消し』に絡むご説明となります。
次回のブログは続きですが、消費者契約の深堀りしてみたいと思います。
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