『賃貸』の『賃貸人』について⁇
『不当な勧誘行為』は法律で禁止されております!
『転貸借契約』する際は要確認です!
不動産の賃貸といえば、簡略的に貸主と借主との関で『賃貸借契約』を締結いたします。
『そんなこと分かっています』と、言われそうですが『賃貸借』は意外と普通の認識も違うことも御座いますので、今回のブログで考察したいと思います。
1,賃貸人の地位の移転について
【改正民法第605条の2】
❶建物の引渡しを受けて『対抗要件』を備えた賃借人は、その不動産が譲渡された場合に、譲受人に対して賃借権を主張・対抗できる【借地借家法第31条第1項】が、不動産の賃貸人の地位も譲渡人から譲受人に当然承継されることが、明記されました。
【改正民法第605条の2、第1項】
❷賃貸人の地位の移転(当然継承)を、譲受人が賃借人に対抗・主張するためには、譲渡人から譲受人に対して『所有権移転登記』する必要があることが明記されました。
【改正民法第605条第3項】
❸賃貸人の地位が譲受人に移転したときは、賃貸人の『敷金返還債務』等も譲受人に承継されることも明記されております。
【改正民法第605条第4項】
❹賃貸人の地位を譲渡人に留保しつつ不動産の所有権を譲受人に移転する場合、不動産の譲渡人と譲受人が、賃貸人の地位を譲渡人に留保する旨の合意をします。
かつ、その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人の地位は譲渡人に留保され譲渡人に移転しない。
この場合において、譲渡人と譲受人との間の賃貸借が終了した時は、譲渡人に留保されていた賃貸人の地位は譲受人に移転するとされます。
【改正民法第605条第2項】
2,転貸借について
❶転貸借の意義について
①転貸借とは⁇
転貸借とは、A(物件所有者)
BがAから賃貸借契約締結して、Aの賃借人になります。
Bが転貸借として、Cに賃貸し、Bが賃貸人として、Cが賃借人になります。
②呼称として
Aは『賃貸人』
Bは『転貸人』
Cは『転借人』
AB間の賃貸借契約を、単に『賃貸借契約』若しくは『原賃貸借契約』といいます。
BC間の賃貸借契約を、通常『サブリース契約』と言われます。
③転貸借の法律的な意味について
この転貸借も、BC間で建物についての賃貸借契約が締結されているだけであり、賃貸借契約とうい法的性質においては、AB間のものと同じであり、特別である契約ではありません。
但し、少し複雑な法律関係にもなります。
❷賃貸人の承諾は⁇
賃借人Bは、賃貸人Aの承諾なしでは、建物を転貸することは出来ません。
【民法第612条第1項】
BがAの承諾を得ないで、転貸人Cに建物を使用・収益させた時は、AはAB間の賃貸借契約を解除することが出来ます。
【民法第612条第2項】
❸適法な転貸借
上記❷の賃貸人の承諾を得た転貸借や、転貸借が背信行為と認めるに足りない特別の事情があるため、解除が認められません。
『信頼関係の破棄のない』場合も、適法な転貸借となります。
❹転貸の効果について
【民法第613条】
①旧法の規定
適法な転貸借が行われた場合の転貸借Cの賃貸人Aに対する義務に関して『賃貸人に対して直接義務を負う』との抽象的な記載でした。
Aの利益を保護するために、賃料の支払い、目的物の返還等の権利義務は認められます。
②改正民法の規定
❶『転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃貸人の債務の葉にを限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う』
と、直接義務を負う範囲を明確にしております。
【改正民法第613条第1項記載】
転借人Cの賃貸人Aに対する直接履行義務の範囲は、賃貸人と賃借人の月々の支払以上が原則となります。
❷適法な転貸借がなされた後に、AB間の賃貸借契約が合意解除により終了した場合は、合意解除の時に、債務不履行解除の要件を満たしているときを除き、Aは合意解除の効力をCに主張できません。
【改正民法第613条第3項】
③判例
AB間の賃貸借契約が賃借人の『更新拒絶』で終了する場合も、信義則上、賃貸借契約の終了をCに対抗は出来ません。
【最高裁判決平成14年3月28日判決】
※信義則とは、社会生活における権利の行使や義務の履行において、相手側の信頼や期待を裏切らないように、誠実に行動をすることを求める法的な原則です。
民法やそのほかの法律において、当事者間の関係を律する基本的な法理の一つとされております。
➎サブリースについて
①サブリース契約の意義と法律構成
サブリースとは、転貸借のうち、特に建物の所有者がサブリース業者に対し建物を賃貸して、サブリース業者がエンドユーザーとに建物を転貸するビジネス形態になります。
建物所有者とサブリース業者間の契約は『マスターリース契約』
サブリース業者とエンドユーザーとの契約を『サブリース契約(転貸借契約)』
いずれも賃貸借契約です。
②サブリースの目的について
1⃣ある不動産を所有するオーナーが、賃貸経営の経験が乏しく、その知識・能力が不十分の場合等の理由で、入居希望者を自ら獲得できない場合。
入居希望者が獲得できない場合、空室リスクを避けるため『サブリース』を採用することが目立ちます。
建物所有者としては、サブリース業者に対して1棟丸ごと賃貸したうえ、サブリース業者に入居希望者を獲得させて、その後の賃貸物件の運営させる方法です。
建物所有者は、サブリース業者が入居者の獲得の有無に関係なく、契約で決められた賃料(賃料保証)の支払いを受理できます。
2⃣賃貸物件の経営は、賃料収入が無ければ成り立ちません。
空室状態を解消するための手段として、賃料を下げたり、内外装の改良したりすれば支出が増えるものです。
色々考えた結果、賃貸経営の経験・能力がない場合、サブリース業者に任せるのも合理的ですが、入居時の募集から、物件の管理運営を一手に任せ、オーナーはサブリース業者から取り決めた賃料収入を得る形式になります。
但し、サブリース業者にとっては、空室リスクを負担する代わりに、エンドユーザーから入る転貸賃料と自分がオーナーに支払う賃料との差額が収入になります。
③サブリースの問題点
1⃣サブリースにて、建物所有者が不利益を被ることが有ります。
建物所有者と、サブリース業者との間の契約(マスターリース契約)は、賃貸借契約であるため、借地借家法が適用されます。
そうすると、建物所有者はサブリース業者から『賃料減額請求権』を行使されることもあり得ます。
判例でも見られますが、『サブリース業者からオーナーへの減額請求』も可能であり、『保証賃料』の特約に反しないものとされます。
【最高裁平成15年10月21日判決】
借地借家法が適用される結果、法定更新や正当事由制度が障害となり、建物所有者がマスターリース契約を解消する場合でも、正当事由がない限り更新拒絶ができず、解約申入れが認められない等、契約の解消が出来ないこともあります。
サブリース業者の一存により契約が解除できる特約(賃借人からの中途解約の特約)が存在する場合、サブリース業者が当初予定した利益が取れない場合、サブリース契約を解約されるリスクもあります。
サブリリース契約自体が、オーナーに有利になるとは限らないものです。
2⃣サブリース契約に関するトラブル等に関して、国土交通省・消費者庁・金融庁が、連名で投資家や入居者に対する注意喚起の情報(逐次更新情報)を平成30年10月26日付けにて公表されておりますので、ご確認頂ければと思います。
➏賃貸住宅管理業法
①法律の成立について
令和2年6月に『賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律』が成立し、同年12月には、一部が施行され、令和3年6月には新たな賃貸住宅管理業者の登録制度がスタートして、事業者には法令遵守が求められます。
法律には、サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約適正化に係る措置と、賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設の柱が有ります。
②『サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置』の概要について
❶トラブルを未然に防止するため、全てのサブリース業者の勧誘時や契約締結時に、一定の規制導入されております。
❷サブリース業者と組んでサブリースによる、賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)も、勧誘の適正化のための規制対象されております。
❸違反者に対しては、業務停止命令・罰金等の措置をとることにより、実効性を担保することとされております。
③不当な勧誘行為の禁止
サブリース業者・勧誘者による特定賃貸契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスク等、相手側の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、不実を告げる行為は禁止されております。
④特定賃貸借契約締結前の重要事項説明
マスターリース契約の締結前に、家賃・契約期間等を記載した書面を交付して説明しなければなりません。
サブリース業者に対しては、家賃保証をして一括借上げした場合でも、家賃の減額があること等のオーナー側にとり不利益な事項は契約前に伝えること、また、それを斡旋するデベロッパーや金融機関にも、同様の規制対象になります。
⑤賃貸住宅管理業者登録制度の概要
賃貸住宅管理会社や、賃貸住宅管理を業務の1つとする不動産会社等、国土交通大臣の登録が義務付けられております。
※但し、管理戸数が200戸以上のもの
賃貸住宅管理業者の義務として、業務管理者の選任、管理受託契約締結前の重要事項説明、財産の分別管理、委託者への定期報告等が求められております。
以上が『転貸借契約』に関係するご説明となります。
次回のブログは、賃貸借契約に関するご説明の続編・補足説明させて頂きます。
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