『賃貸借契約』についての補足説明
今回のブログをご理解いただくと『賃貸の契約』に自信がつきます。
『賃貸借契約』は時期により効力が違います!
前回までのブログで掲載致しましたが『賃貸借契約』は、発足当初から年月を重ねて、サブリース等の少し複雑な形態に変化しております。
住居用、事業用の賃貸物件に入居する際は、貸主がどのような方であるのか気になるところです。
今回のブログは『賃貸借契約の補足説明』になります。
1,抵当権と賃借権の関係について
❶抵当権が設定されている建物を賃借した場合、抵当権と賃借権の関係はどうなるのか⁇
その優劣は、どのような基準で決められているのか、法的な問題があります。
①本来、同一の土地・建物について複数の権利が競合して成立した場合
その優劣の関係は、各権利が『対抗要件を具備した先後関係で決まる』のが、民法の原則となります。
抵当権が設定され、その旨の登記がなされた後に、その土地建物について賃貸借契約が締結された時は、抵当権が賃借権に優先し、反対にすでに賃貸借契約が締結され、賃借権の対抗要件が備えられたのちに、抵当権が設定されたときは、賃借権が抵当権に優先することになります。
この原則を貫くと、抵当権が設定されている不動産を賃借する方が、殆どいなくなります。
抵当権が設定されている不動産を賃借したい方にとって、いつ抵当権が実行(競売にかかる)されるかも分かりません。
競売による買受人(競落者)に対抗できないのであれば、借りるのは危険です。
そこで、民法は抵当権と利用権の調和を図るべく、一定の期間内の賃貸借であれば、抵当権設定後の物権であっても、その期間内は抵当権の実行(競売の買受人)に対抗できるものになります。
【旧民法第395条】
この制度を『短期賃貸借の保護』制度と言います。
②しかしながら、平成15年8月1日に公布された『担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律』により、この『短期賃貸借の保護制度』は廃止になりました。
【平成15年法律第134条】
上記の法改正は、平成16年4月1日から施行されております。
❷改正前の制度について
①賃貸借契約❶→抵当権の設定→賃貸借契約❷→競売開始決定→賃貸借契約❸
上記の設定を基本とします。
②賃貸借契約❶に基づく賃借権が、抵当権の設定登記より先に対抗要件を備えていれば、抵当権に優先して、競売によって賃借権の所有者が変わっても『影響はない』とされます。
その場合、賃借権の対抗要件は、土地・建物何れの時も賃借権の登記が有れば、それに越したことはないのですが、特別法である借地借家法により、建物所有目的の土地賃貸借では借地上の建物の登記【借地借家法第10条第1項】
建物賃貸借では建物の引渡し(占有)【借地借家法第31条第1項】が有れば、『第三者に抵抗できるとされます』
③順序で2回目の賃貸借契約❷に基づく賃貸借については、民法は抵当権と利用権の調和を図るため、短期賃貸借、【民法第602条】に定める建物は『3年以内』、土地は『5年以内』の契約期間のものであれば、たとえ賃貸借物件が競売されても、『その期間内は保護』されるものとされていました。
【旧民法第395条】
例えるならば、3年の建物賃貸借契約を締結し、入居した場合、1年目に競売され、所有者が変わっても、あと2年間は賃借権を対抗できます(占有の継続ができる)
短期賃借権に該当しない期間の賃貸権(長期賃貸権)は、そもそも当初から保護されず、競落者が代金を裁判所に納付して所有権を取得したときは、直ちに明け渡す必要があります。
④賃貸借契約❸の賃貸借契約に基づく賃貸借は、抵当権者及び競売の買受人には対抗できません。
競売開始決定の差押え登記は、新たな処分・変更行為をできなくする効力があります。
⑤改正前の制度に基づく結論は、以上の内容ですが、賃貸借契約❷の短期賃貸借の保護制度は、必ずしも民法の企図した機能を果たしていないのみならず、現実には競売妨害の手段として悪用されていました。
平成15年の改正にて、この保護制度が廃止されました。
❸改正民法の要旨について
抵当権と賃借権の関係に関した【旧民法第395条】の抜本的改正にて、両権利の関係の要旨は以下の通りです。
①『抵当権に後れる賃借権』は、その期間の長短に関わらず、抵当権者及び競売における買受人に対抗することが出来ません。
②抵当権の登記後に登記された賃借権は、これに優先する全ての抵当権者が同意し、その同意について登記がなされたとき、上記①にかかわらず、当該抵当権者・競売における買受人に対抗することが出来ます。
③抵当権者に対抗することが出来ない賃貸借により、建物の使用・収益をしている者で、次の者に対し、建物の競売による、その所有者が買受人に移転した時から6ヶ月の明渡猶予期間を与えることになります。
1⃣ 競売手続きの開始前から使用または収益をしている者
2⃣ 強制管理又は、担保不動産収益執行の管理人が、競売手続きの開始後に行った賃貸借により使用または収益している者
上記②は、賃貸用ビルを融資を受けて建設する場合、世間相場なみの正常な賃料でテナントを募集するにあたり、金融機関がこれに協力する等の想定されます。
上記③に掲げる賃借のうち2⃣の者は、強制執行の一種である強制執行による、管理人から賃借した者のことになり、1⃣の者も含め、正当な賃借権限を有する者には『6ヶ月の明渡猶予期間を与えることになります。』
❹経過規定について
改正法の施行(平成16年4月1日)より前に締結された短期賃借権は、施行後に更新さらたものを含め、従来の通り保護されますが。更新時に説明されている事例が多いものです。
改正法施行後に抵当権を賃借した者は、短期賃貸借契約であっても、例外的ケースを除き、抵当権に対抗できません。
その結果、賃貸借終了時に競売の買受人に対して、敷金の返還請求をすることはできません。
2,保証の極度額について
【改正民法第465条の2】
❶令和2年4月1日施行の民法の改正により、個人が根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約)を結ぶ場合、保証の極度額を定めなければ効力が生じません。
【改正民法第465条の2,第1項・第2項】は『強行規定』になります。
❷賃貸借契約において個人が保証人となる場合、これに該当し、必ず極度額を定めて契約書に記載することになりました。
❸定期借家契約の場合、再契約をするごとに保証の極度額の定めが必要です。
❹極度額の定め方については、金額が確定的に分かる方法で記載する必要があります。
(例として 金00万円、当初賃料0ヶ月)等
以上が改正された民法を基にした『賃貸借』に絡む契約のご説明になります。
以前、賃貸経験者の方々は、改正された民法を知らずご契約することがないように、不動産関係者の方や、これから賃貸契約される方には参考としてください。
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