『賃貸借契約』の基本について!
『賃貸借契約』は内容をご理解いただくことが重要です!
『賃貸借契約』も民法主体の内容です!
前回までのブログの内容は『売買契約』について掲載させて頂きました。
当方の知人から『不動産の賃貸』について、色々と聞きたいことが沢山あるとの相談されましたので、賃貸とはどのような内容なのか考察してみたいと思います。
賃貸もそうですが、民法が改正し観点も含め再度勉強していく必要が御座います。
不動産業界では、賃貸専門の業者と、売買専門の業者と大きく分かれております。
長年不動産業界に従事しておりますと、賃貸・売買両方とも熟知していないと、色々と相談をうけた際にお客様から『大丈夫なのか⁈』と疑われてしまいます。
賃貸借契約における確認事項について
土地や建物を目的とした『賃貸借契約』において確認事項は色々と御座います。
❶当事者の確認について
①賃貸人(貸主)、賃借人(借主)いずれも特定されているかどうか。
自然人(法律用語で権利・義務の主体となる個人)にあっては、住所と氏名
法人にあっては、名称(商号)、代表者名、事務所の所在地をもって特定いたします。
②当事者の『行為能力』が有るか否や
③賃貸人にその目的物件を賃貸する権利が有るか否や
通常は、所有者が賃貸することになりますが、違う場合は『賃貸の権限の根拠』はなんであるのか
④建物の賃貸借においては、賃借人と同居する者の数と、その関係はどのようなものであるのか
❷賃貸借契約の対象不動産の確認について
賃貸借の目的物件となる土地・建物を特定します。
一般的に『登記簿上の地番・家屋番号』にて特定します。
物件の特定とともに、『居住用』もしくは『営業用』なのかの、利用目的を明確に定める必要もあり、それに応じて目的外使用の禁止事項を定める必要があります。
❸賃料の額・支払い方法の確認について
①賃料の額は、当事者の合意により定められます。
その支払時期は、民法の規定では特約がない限り【後払い原則】
毎月末にその月の賃料を賃貸人に持参して支払うものとされています。
【民法第614条】
実務的には、特約により『毎月末までに、その翌月分を支払う』とされるのが普通のようで、現代は支払い方法も振込になることが多いものです。
②賃料について、契約締結時もしくは解約時において、1ヵ月に満たない端数が生じる場合、通常は日割り計算にて算出します。
管理会社により、月実数もしくは、30日計算している場合があり、よく計算違いではと質問が有ることも多いものです。
③賃料が、土地に対する公租公課の増減、土地価格の高騰や下落そのほかの経済事情の変動により、近傍類地の土地建物の賃料に比較して不相当になる場合、賃料の増減請求することの約定することが有ります。
上記の件は、条項を設けなくても【借地借家法第11条、第32条】により、請求することが出来ますが確認する必要があります。
④賃貸物件の一部を利用できなくなった場合
【改正・民法第611条】
1⃣賃貸物件が滅失しなくても、請求の有無にかかわらず、賃貸物件の一部を使用・収益不能(賃借人に落ち度のない)場合、借主に対して減額請求が出来ます。
【借地借家法第611条第1項】
2⃣『賃借物の一部が滅失そのほかの事由により素養・収益不能の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借した目的が達しない時には、賃借人は契約の解除ができる』と規定されました。
【借地借家法第611条第2項】
❹契約期間の確認
賃貸借契約の存続期間については、契約で定めるのが普通です。
平成3年の借地借家法の一部改正(平成4年8月1日施行)にて、新規の賃貸借契約を締結する時の存続期間については、次項の内容を留意が必要となります。
①建物所有を目的とする『土地の賃貸借』の場合は、定期借地権の一種である事業用借地契約を除き、建物の堅固の区別なく、最短30年であり、当事者がこれより長い期間を定めた時は、その期間になります。
【借地借家法第3条】
②建物賃貸借の場合は、最短期間の制限はありませんが、1年未満の期間の定めをした場合は、『定期建物賃貸借』を除き、『期間の定めのない契約』とみなされます。
最長期間については、次事項の上限50年の適用はなく、制限は設けらておりません。
【借地借家法第3条】
③令和2年4月1日から施行された改正民法により、賃貸借契約の存続期間の上限が伸長されております。
【改正民法第604条】
借地借家法の適用を受ける場合【建物を所有する目的での土地賃貸借や、建物の賃貸借】以外についても、現代社会ニーズに合わせて、賃貸借期間の上限を20年から50年に伸長されました。
➎敷金等の授受の確認について
①賃貸借契約において、契約締結にあたり賃料以外で、『敷金』『礼金』『権利金』『保証金』等の名目で金銭を授受されます。
②上記の金銭は、その授受の目的は様々であり、民法・借地借家法上も当然に支払いが義務つけられているものではなく、地域によって、その扱いも異なります。
従い、その授受が行われる場合は、授受の目的、契約が終了した場合の返還の要否などを明確に約定しておくことで、紛争の未然防止に必要になります。
③令和2年4月1日から施行された民法改正により、敷金について明文化されました。
【改正民法第622条の2】
1⃣『いかなる名目によるかを問わず、賃料債務そのほかの賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭』と定義されました。
2⃣未払賃料などを控除した敷金残額を、建物の明け渡し後に返還しなければならない。
及び、賃借人の側から未払賃料等の債務と敷金とを相殺することを主張することはできないと規定されました。
➏目的物件の引渡し時期の確認について
目的物件を使用させる義務が、賃貸人の最も基本的義務でありますが、その使用開始時期(賃借人への引渡し時期)を明確にする必要があります。
一般的に、契約の効力発生日と引渡し日を同一の日とすることが、一般的に多いものですが、事務所・店舗の賃貸借では、必ずしも同一でないことも多いのですが、何れにせよ『契約書中に引渡し日を明確に定める』ことが必要です。
❼契約の終了原因の確認
①賃貸借契約の終了の原因としては⁈
1⃣契約違反による解除
2⃣賃借人からの解約の申入れ(期間の定めのない場合、又は中途解約の特約のある場合)
②一般に使用されている契約書では、契約違反が信頼関係の破壊に至らなくても、契約違反とされる事実があった場合は、契約を解除できる旨、定めるのが通常で規定としては有効とされます。
但し、規定に反した場合に契約解除が可能かどうかは、信頼関係の破壊の有無によります。
契約解除ができるとされている事項で多く定められるのは
1⃣賃料の一定期間分の滞納
2⃣使用目的の無断変更
3⃣賃借権の無断譲渡・転貸
4⃣共同生活の秩序を乱す行為
5⃣無断で増改築した場合
❽修繕義務の確認について
①目的物件の『修繕義務』を負う者は、民法の原則によれば『賃貸人(貸主)』である。
【民法第606条第1項】
賃貸借契約は、賃貸人が賃借人に対し賃貸目的物件を使用収益させることを約し、賃借人がその対価として賃料を支払うことを約する契約です。
賃貸人は契約の効力として、目的物件を使用収益させる積極的義務を負担し、その義務の一内容として、目的物件の破損・毀損によって使用収益に支障が生じたときは、これを修繕する義務があります。
②どのような場合、どの範囲まで、修繕義務を負うのかは、法律に明確な規定は設けられておりません。
修繕義務に関する【民法第606条】の規定は、任意規定、当事者間の合意により、任意に変更・修正が出来る規定と解されており、また特別法である借地借家契約でも特に修繕義務に関する特則を設けていないので、修繕に関する当事者間の特約は原則として有効とされます。
③賃貸人の修繕義務を免除したり、軽減したりすることが出来るというのが、一般的な見解であり、現実は一定の修繕は賃借人が行う特約が多いものです。
上記の場合、修繕義務を負う範囲を明確にし、契約書中に明示し、修繕に関する紛争を未然防止する必要があります。
④修繕義務に関する特約は、原則として自由に決められますが、一定の限界もあります。
内容如何により、信義則【民法第1条第2項】ないし、
公序良俗【民法第90条】違反或いは、
【借地借家法第30条】
一定の規定に反する特約を、無効とする規定【借地借家法第37条】の類推適用を根拠に無効とされることもあります。
賃料が世間相場に比べて低廉でなくても、建物の土台・屋根・外壁・柱などの主要構造部分の大規模修繕も賃借人がその費用を負担する旨の特約は、その限りにおいて効力を有しない考え方が多いものです。
⑤具体的ケースでは、『賃貸借契約の性質・経緯・公平の理念・当事者間の諸事情』を考慮して、その有効・無効を決めることになります。
⑥令和2年4月1日から施行された改正民法により、『賃借人の修繕権』が認められております。
賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人が修繕の必要を知った後に、相当の期間内に修繕が必要である旨を通知し、賃貸人が修繕の必要を知った後に相当の期間内に修繕をしないとき
又は、急迫の事情が有る時は、賃借人が建物を修繕できるとされております。
【改正・民法第607条の2】
借主が修繕した場合、本当に修繕が必要とされているのか、客観的な必要性の判定の問題や、どこまでの費用負担が認めれるのかなどについて、トラブルが起こる恐れもあるため、賃借人の行える修繕を『小修繕』に限定する等の特約が考えられます。
※特に保険を利用する場合は、上記の修繕は最小限になりますので、予め理解しておく必要が御座います。
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