『売買契約』における紛争について❶
契約内容の基本は『民法』が主体となります。
売買契約は『危険負担』の内容が重要となります!
宅地建物取引業として『売買』『賃貸』『交換』といった基本的な契約があります。
今回は『売買契約』に関わる紛争について考察したいと思いますが、抑々の基本的なことから解決に向けた内容となります。
1,目的物件の不存在⁈
❶売買契約を有効に成立させるには、目的物件が存在していることが必要であり、目的物件が現実的に存在しないのに、存在することを前提に契約締結された場合、契約は無効であると考えらております。
改正後の民法は、目的物件が不存在であるときは契約は無効である考え方を採用しておりません。。。
目的物件が存在していなくても、契約は有効であることを前提として
『債務の履行が契約そのほかの債務の発生原因及び、取引上の社会通念に照らし不能である時は、債権者は、その債務の履行を請求できない』とされております。
【民法第412条の2・第1項】
『契約に基づく債務の履行が、その契約の成立の時に不能であったことは、民法第415条の規定により、その履行の不能によって生じた損害の賠償請求することを妨げない』とされております。
【民法第2条】
上記民法の解釈で、損害賠償によって契約当事者の利益調整するものとなります。
例えるならば、建物の売買契約を締結したときに、建物が火災等で存在しないときの場合でも、売買契約は有効とされます。
買主が、売買契約を締結したことによって損害を被った場合であれば、売主に対する損害賠償請求により、その不利益を補填することになります。
❷契約の存在については、解除によって処理されます。
売買の場合『買主』は、債務全部の履行不能であるときには、催告することなくして契約解除することが可能です。
【民法第542条 第1項 第1号】
解除がなされば、契約が存在しないことになります。
【民法第545条 第1項本文説明】
解除をするには、売買契約において『売主』の帰責事由は必要ではなく、建物の火災等で焼失した場合、火災について売主に過失の有無を問われず、買主は売買契約を解除することが出来ます。
また、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものが有る時は、債権者から解除は認められません。
【民法第543条】
建物の火災による消失について買主に過失が有れば、買主は契約解除できないとされております。
2,危険負担について
例えば、売買契約が成立したあと、目的物件である建物が類焼により焼失したり、落雷・地震で滅失したり、倒壊したりし売主の引渡し債務が消滅した場合
買主の代金支払い債務の問題は『危険負担の問題』と言われており、これに関する民法の規定があります。
3,債務不履行について
❶債務不履行とは⁈
債務者が正当事由がないのに、『債務の本旨』に従った債務の履行をしないことを言います。
【民法第415条】
その『債務の本旨』とは、債務として予定されている本来の趣旨のことです。
『履行』とは、債務者が債務の内容を実現することを言います。
『債務不履行に基づき損害賠償請求権』が、発生するためには、その不履行が債務者に帰責事由があることで、分かりやすく言えば『故意・過失』があることが必要とされます。
債務者は債務を負担して履行しなければならない立場にいる以上、債務者が債務不履行の責任を免れるためには、その不履行が自己の責めに帰すべき事由に基づくものでないことを立証しなければなりません。
『債務不履行』には、『履行遅滞』『履行不能』『不完全履行』の」3つの態様があり、『不完全履行』の問題の多くは『担保責任』の問題になります。
①履行遅滞
履行遅滞とは、履行が可能であるのにも関わらず、履行期が過ぎても履行をしないことで、例えるならば、建物の売主が約定の引渡し期日に引渡ししない等になります。
②履行不能
履行不能とは、履行することが出来ない場合です。
例えるなら、建物の売買契約後、引渡し前に売主の過失にて、売買目的の建物が消失して引渡しが出来ない場合です。
債務者の責めにより、『履行不能』になると、債権者は『損害賠償請求・契約の解除』ができます。
③不完全履行
不完全履行とは、債務の履行として、一応の履行はなされたが、それが債務の本旨に従ったものではなく、不完全な場合のことを言います。
例えば、物件の調査を依頼された者が『ずさんな報告』をしたため、依頼者が損害を被った場合等が該当されます。
不完全履行の場合、追完が可能である時は、追完の請求ができます。
※この場合の『追完』は、債務者が改めて完全な履行をすることです。
更に、債務者の責めによる不完全履行の場合、その遅延による損害賠償請求ができ、追完が抑々不能で有る時は、履行に代わる損害賠償ができます。
4,損害賠償の請求について
不動産だけではなく、『損害賠償』は不履行等にて『賠償請求』される事項が多いものです。
❶損害賠償に関する原則について
債権者は、責めに帰す事由により『債務不履行』に陥った債務者に対して、損害賠償の請求ができます。
『損害賠償』は、金銭によって支払わられるのが原則です。
【民法第417条】
損害が発生したこと、損害の額については『請求者の側で立証』する必要があり、その『請求できる範囲は債務不履行と条件関係の全ての損害』ではありません。
※その債務不履行によって通常生ずべき損害、債務不履行と『相当因果関係』にある損害に限定されます。
❷相当因果関係にある損害とは⁈
原因・結果の関係
『因果関係』のうち、常識的にみて、そのようなことが有れば、そのような結果になるだろうと考えられる範囲の損害ということになります。
特別の事情によって生じた損害は、当事者がその事情を予見し、予見することが出来た場合のみ賠償の範囲に含まれるものです。
❸損害賠償に関する特則について
①損害賠償額の予定とは⁈
『損害賠償の予定』とは、契約当事者が債務不履行の場合に備えて、予め賠償すべき金額を定めておくことです。
【民法第420条第1項】
この予定をした場合には、請求者は相手側の債務不履行の事実を立証すれば、それだけで約定の賠償額を請求でき、損害を受けた額を立証する必要はありません。
それにより、損害の金額をめぐる当事者間の紛争を未然に防止することになり、当事者の債務の履行を促進させる効果があるため、『不動産の実務』では広く行われております。
この『予定』がなされているときは、請求者が実際の損害額について、予定額より大きいことを立証できても、請求者は予定額を請求できることになってます。
損害賠償の予定は、履行の請求や解除権の行使とは別問題でるので、賠償額の予定をしても、履行の請求または契約の解除は自由とされております。
損害賠償の予定に類似した概念として『違約金』が有ります。
違約金は、契約締結の際、当事者間で債務不履行の時に、債務者が債権者に一定額の金銭を支払うことをあらかじめ約束する場合の、その金銭のことを言います。
この性質として、当事者の意思として決定されます。
例えるならば、損害賠償の最低額の予定や、債務不履行であれば、とりあえず違約金を支払い、実際の損害は別途証明することにより請求できるという趣旨であったり、種種のものが有りえますが、民法では、これに損害賠償の予定と推定することにされております。
【民法第420条第3項】
以上が『売買契約』における紛争についてのご説明ですが、次回のブログは『売主の担保責任』について考察したいと思います。
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