『借家に関する問題点』について!
借家権に関する問題は解決するには法と経験のみ。。
『借家人』の所在不明の場合の対応は⁈
早朝、鳥たちの囀りが賑やかな季節となりました。
皆様、お気づきになる方も少ないと思いますが、今朝の『日の出時間』は何時であるかご存じでしょうか⁈
東京の日の出時間は『午前4時24分』なんです。
私は、日の出の時間過ぎの起床となりますので、夏場の睡眠時間は約5時間程度です。
お客様が、ご購入したビルや家屋の一部を貸したいと言った相談も増えてきており、『不動産所有者(貸主・家主)』から見たら、困惑する内容を考察したいと思います。
ご自身で購入または、相続や贈与で不動産を『収益の賃貸物件』にした場合、当方からの参考程度の内容になります。
1,借家の無断転貸について
借家人は賃貸借契約に基づいて『建物を使用収益する権利』を、もっております。
賃借権の譲渡及び転貸の制限(民法第612条参照)
❶賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸する事ができません。
❷賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用または収益させて時は、賃貸人は契約の解除をすることが出来ます。
2,借家権の譲渡・転貸とは?
『借家権の譲渡』とは、『借家契約に基づく一切の権利義務を第三者に移転する事』をいい、『建物を使用する権利』も『賃料を支払う権利』も他人に移転しますが、先ほども述べましたが『転貸(又貸し)』の事になります。
※『借家人』は、『借家権を譲渡した場合、賃貸借関係から外れ、転貸の場合は賃貸借関係から外れません』
※譲渡、転貸いずれの場合も家主の承諾が必要で、承諾のない(無許可)の場合、契約解除の理由になります。
3,禁止の理由と解除の制限について
①借家権の譲渡・転貸が禁止される理由は
『借家権』は『債権』のため、『人に対する権利』であり、物に対する権利では無いため、契約の相手側である家主の承諾が無ければ、原則として権利の譲渡は出来ません。
借家人が変われば建物の使い方も変わるので、消耗の程度も変わり、その様な面で見ても『家主の承諾が必要』になります。
②契約解除の制限
『借家権の譲渡・転貸は、原則として解約解除の理由』になります。
ここは重要なのですが、(民法第612条参照)貸主が不利な立場に成らないようにするには、念のため『賃貸借契約書の本文』に『転貸・譲渡の禁止』を記載する必要が有ります。
③建物の一部の転貸
建物の一部の転貸も原則禁止とされますが、転貸の相手方が親族などの関係者で有る場合は、家主との相談を要します。
一部分を間貸しする際も、同上の内容とされます。
不動産はトラブル・クレーム等が多いのですが、今回は実際に起こりやすい原因。
※先ずは民法で条文の記載がない『自力救済』についてご説明させて頂きます。
4,借家人の所在が不明の場合。。
※此処はかなり重要ですので、『写真をクリックして説明をご参考』ください。
借家人が建物に家財道具を残したまま所在不明になった時、契約書に『契約終了後、家主は家財道具を搬出処分できる』といった特約条項が有った場合、任意に借家人の残置物を搬出し、建物の明け渡しを実行できるでしょうか?
此処は法的な対応を重視するしかありません。。
5,自力救済の禁止とは?
借家人が家財道具を残したまま何カ月も不在で有り、賃料も滞納している場合、通常誰しも『家財道具を搬出して、家屋内に新しい借家人に賃貸したい』と言った願望が多いと思います。
※契約終了後に家主が家財道具を処分できる旨の特約条項があったとしても、契約終了について借家人との間に合意があり、かつ借家人が退去した場合でなければ、任意に契約内容を実現することは違法となります。
これを『自力救済の禁止』といい、家主が『契約終了後に家財道具を処分できる』と言う権利を実現させるには、原則、裁判所にて訴訟する提起しなければなりません。
6,解除通知と裁判の提起
①民法第541条参照(催告による解除)
当事者の一方がその債務を履行しない場合に於いて、相手側が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行が無い時は、相手側は契約の解除をすることが出来る。
但し、その期間を経過した時に於ける債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
②民法第97条参照(意思表示の効力発生時期等)
1,意思表示は、その通知が相手側に到達した時からその効力を生じます。
2,相手側が正当な意思表示の通知が到達する事を妨げた時は、その通知は、通常到達すべきであった時と到達したものと見なします。
3,意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思表示を喪失し、又は行為能力の制限を受けた時で有っても、その為の効力を妨げられない。
7,強制執行による明渡を実行
※原則として『自力救済』は禁止されているので、家主が搬出処分を強行すれば損害賠償・原状回復を請求される事があり、場合によっては『窃盗罪・住居侵入罪』などの刑事問題にも発展しかねません。
時間・費用はかかっても、裁判所に訴訟をおこし、『強制執行の手続きにて明渡し要請』が最善と思われます。
『借家に関する問題点』は、このほかまだまだ沢山御座いますが、代表的な事例についてご説明させて頂きました。
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