『コンプライアンス』について❹
『障害者保護』は『差別解消』の基本となります!
『障害者差別』は不当になります!
『権利の擁護』は、私どもの不動産の仕事ではとても重要です。
此れからの季節は、賃貸の需要が多いもので、供給が需要に追い付かないものです。
その中で、前回のブログで記載しましたが『基本的人権の尊重』に関する内容の続きを考察したいと思います。
1,障害者の権利擁護について
全ての国民が、障害の有無に関係なく、等しく基本的人権を享有する個人として尊重されなければなりません。
上記の理念のもと、昭和45年に『障害者基本法』が制定されておりますが、近年、国際的に障害者の権利の擁護に向けた取り組みが進展し、平成18年に国連において『障害者権利条約』が採択され、日本も平成19年に条約に署名しております。
以来、国内法『障害者基本法』の改正が行われ、更に具体化法案とし、平成25年に『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』が制定・公布され、平成28年4月1日から施行されております。
此の法を対象する障害者は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)その他、心身機能の障害者であって、障害・社会障壁により継続的に日常生活または、社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものを言います。
【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第2条第1項】
この社会的障壁とは、障害者ににとって日常生活または、社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものとされております。
【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第2条第2項】
①法の目的と事業者の義務について
障害者差別解消法は、その目的として『全ての障害者が、障害者でないものと等しく、基本的人権を享有する個人として、その尊厳が重んぜられ、その尊厳に相応しい生活を保障される権利を有し、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関及び、事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現に資すること』と記載されております。
この法案は
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針【第2章】
行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置【第3章】
障害を理由とする差別を解消するための支援措置【第4章】
上記各章を定めておりますが、事業者に関して規定が設けられております。
②事業者における障害を理由とする差別の禁止
第8条
事業者は、その事業を行うにあたり、障害を理由として障害者として障害ではない者と不当な差別的取り扱いをすることにより、障害者の権利・利益を侵害してはならない。
事業者は、その事業を行うにあたり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないとき、障害者の権利・侵害することにならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮をしなければなりません。
③事業者のための対応指針
第11条
主務大臣は、基本方針に即して、第8条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針を定めるものとされております。
この第8条第1項の『差別的取り扱いの禁止』
第2項の『合理的配慮の提供』は、民間事業者の法的義務で、令和3年5月の同法改正により、これまで努力義務であった『合理的配慮の提供』は、令和6年4月1日に義務化されております。
この問題への取り組みにあたり、主務大臣は事業者向けの対応指針を策定するものとされております。
【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第11条】
④国土交通省の対応指針について
国土交通省では、『国土交通省所轄事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針』を作成・公表しております。
【令和5年11月改正、令和6年4月施行】
この対応指針の別紙において、業種別の不当な差別的取り扱いと、合理的配慮の具体例を示しておりますが、不動産関係は次の通りになります。
2,宅地建物取引業における具体例
①正当事由がなく、不当な差別的取り扱いとされる事例
❶物件一覧表や物件広告に『障害者不可』と記載している。
❷障害者に対して『当社は障害者向け物件は取扱いしていない』とし門前払いする。
❸賃貸物件への入居を希望する障害者に対して、障害があることを理由に、賃貸人や家賃債務保証会社への交渉や必要な調整を断ること。
❹賃貸物件への入居希望する障害者に対して、先に契約が決まった事実がないにも関わらず、虚偽の理由にて説明したりすること。
❺障害者に対して、客観的に見て正当な理由がなく『火災を起こす恐れがある』等の懸念を理由に断る行為。
❻一人暮らしを希望する障害者に対して、一方的に一人暮らしは無理と判断して仲介を断る行為。
➐車いすで物件の内覧をする障害者に対して、車いすでの入室が可能かどうか、賃貸人との調整を行わず内覧を断ること。
❽障害者に対し、障害を理由とした『誓約書』の提出を求めること。
❾賃貸物件への入居を希望する障害者に対し、障害が有ることを理由として『言葉使い』『接客の態度』などを質を下げること。
❿障害者が介護者を伴って窓口に来た際に、障害者本人の意思を全く確認せず、介助者のみに対応を求めること。
⓫障害を理由として、一律に障害者に対して重要な説明を省略、または説明しない行為。
⓬障害があることや、その特性による理由として、契約締結に必要以上の立会者の同席を求めること。
②障害を理由としない、又は正当な理由があるため、不当な差別的取り扱いに当たらないと考えられる事例
障害の状況等を考慮した、適切な物件紹介や適切な案内方法等を検討するため、必要な範囲でプライバシーを配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること。
【権利・利益の保護】
3,合理的な配慮について
①合理的配慮の提供事例
❶障害者が物件を探す際に、障害者や介助者等からの意思表示に応じて、最寄駅から物件までの道のりを一緒に歩いて確認したり、1件ずつ中の様子を丁寧に案内すること。
❷車椅子を使用する障害者が住宅を購入する際に、住宅購入者の費用負担で間取りや、引戸の工夫、手すりの設置、バス・トイレの間口や広さの変更、車椅子用の洗面台への交換等を行う希望する場合、宅建業者が住宅リフォーム等に関わる時は、売主等に顧客の希望を適切に伝える調整を行うこと。
❸障害者や介護者等からの意思表示に応じて、バリアフリー物件等、障害者が不便等感じる部分に対応できるかどうかを確認すること。
❹障害者や介助者等からの意思の表示に応じて、ゆっくりと話し手書き文字や、筆談を行い分かりやすい表現に置き換え、タブレット等の活用等、相手に応じた方法での会話を行なうこと。
❺障害者や介助者からの意思の表明に応じて、文章を読み上げたり、書類の作成時に書きやすいように手を添えること。
❻書類の内容や取引の性質等に照らして、特段の問題が無いと認められる場合、自筆が困難な障害者からの要望を受けて、本人の意思表示を適切に実施した上で、代筆にて対応すること。
➐障害者や介助者等からの意思表示に応じて、契約内容等に係る簡易な要約メモを作成したり、家賃以外の費用が存在することを分かりやすく提示したり、契約書等に加えて相手に合わせた書面等を用いて説明すること。
❽物件案内時に、障害者や介助者等からの意思表明に応じて、車椅子を押して案内すること。
❾物件案内時に、障害者や介助者等からの意思表示に応じて、段差移動のための携帯スロープを用意すること。
❿障害者の居住ニーズを踏まえ、バリアフリー化された物件等への入居が円滑になされるよう、『住宅確保要配慮居住支援協議会』の活動等に協力し、国の助成制度等を活用して適切に改修された住戸等の紹介を行なうこと。
※ほかにも色々と気を使う事項はが多いものです。
②合理的配慮の提供義務違反に該当する事例
❶内覧等に際して、移動支援として車椅子を押して案内を行う事務所と物件の間を車で送迎する際、抽象的な理由で支援を断ること。
❷電話利用が困難な障害者から、直接電話以外の手段により、各種手続きが行える対応を求められた時、具体的対応を断ること。
③合理的配慮の提供義務違反に該当しないと考えられる事例
❶宅建業者が、歩行障害の方やそのご家族等に、個別訪問により重要事項説明等を行うことを求められた場合、個別訪問を可能とする人的体制の対応が困難な理由を説明したうえで、当該対応を断ること。
※個別訪問の代わりに、相手方等の承諾を得て、WEB会議システム等を活用した説明を行なうことにより、歩行障害の方が不動産取引の機会を得られるよう配慮をすることが望ましいものです。
以上が『障害者の権利擁護』に関する内容となりますが、高齢化社会、予期せぬ事故・病気等で当事者になることも想定されますので、宅建業者が協力できるよう努めたいと思います。
次回のブログは『コンプライアンス』について、『守秘義務関係』を考察したいと思います。
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