標準媒介契約約款について①
【専任・専属専任・一般媒介契約に共通】する事項は『約款』に記載しています
『約款』を見落とさない事が大切です
今年は、ブログを書く度に季節柄の内容を出だしで記載していたのですが、9月敬老の日を過ぎても今年は『残暑』が厳しく、そろそろ涼しくなって頂きたいものです。
日中出歩く方も疎らで、夕方からお出かけする方が多い中、通勤時に『熱中症』で倒れている方を助けるという事例もありました!
当方は、不動産の仕事ですので、お客様にお会いする時期は動きやすい時期とは限らないもので、今年のような猛暑でも、一番暑い時間帯で立会いをしており、正直早く秋にならないか、その都度考えこむののです。
今回のブログは、媒介契約の内容の『標準媒介契約』の『約款』について考察したいと思います。
1,標準媒介契約約款とは?
媒介契約に関する業法上の規定は、国土交通省では通常の取引の媒介契約においては、『標準媒介契約約款に基づく媒介契約書』を、用いるよう指導しております。
弊社は、『全国宅地建物取引業協会』に属しており、『ハトサポ』を利用しており、とても便利で、尚且つ使いやすいもので助かっております。
この『標準媒介契約約款』は、媒介契約の内容を明確にしつつ、円滑な取引を確保し、一般消費者の保護を図り、契約を類型化して、とても伝えやすいものです。
その普及を図ることが妥当性があることで、旧建設大事の『住宅宅地審議会』の審議を経て、昭和57年5月7日に、建設省公示(第1110号)により定められました。
その後、数次にわたり改正され、平成28年、業法改正により幾つかの事項が追加されました。
①媒介契約の締結時に、建物状況調査(インスペクション)を実施する者の斡旋に関する事項を記載した書面を依頼者に交付すること。
【平成30年4月1日施行】
②媒介契約の目的物である宅地・建物の売買又は交換の申込みがあった時に、依頼者に対し遅滞なく報告すること。
【平成29年4月1日施行】
2,意外と知られていない事項について
(1)平成29年4月1日施行分
【専任・専属専任・一般媒介契約に共通】
①売買等の申込みがあった時の依頼者への報告義務
一般媒介は、以前は『努力義務』の扱いでしたが、専属専任媒介契約・専任媒介契約と同様に『積極的努力義務』に変更され、売買等の申込みに関する報告と共に、宅建業者が履行すべき義務として規定されました。
②反社会的勢力排除条項の追加
❶契約当事者や、その役員が『反社会的勢力』ではないこと等を相手方に対し確約する。
❷契約期間内に、❶の確約に反する申告をしたことが判明した時は、相手方は『媒介契約を無催告で解除』することが出来ます。
❸❷の規定により宅建業者媒介契約を解除したときは、依頼者に対し、約定報酬額に相当する金額(受領済みの報酬額を控除、消費税額を除く)を、違約金として請求することが出来ます。
(2)平成30年4月1日施行分
(専任・専属専任・一般媒介契約に共通)
①媒介契約書に次の事項が追加されました。
建物状況調査(インスペクションの実施)
※建物状況調査を実施する者の斡旋
②媒介契約約款への条文の追加
(建物状況調査を実施する者の斡旋)
『乙は、この媒介契約において建物状況調査を実施する者の斡旋を行うことをした場合にあっては、甲に対して、建物状況調査を実施する者を斡旋しなければならない』
3,標準媒介契約約款の仕組みは?
標準媒介契約約款には、専属専任媒介契約約款・専任媒介契約約款・一般媒介契約約款の、3種類に分かれております。
それぞれ『契約書』と『約款』とで構成されています。
このうち『契約書』には、個々の契約に於いて個別に合意を行うべき事項と、契約の両当事者の義務のうちで特に重要事項・約款には、それぞれの類型に於いて共通する基本的な合意事項が記載されております。
4,標準専属専任媒介契約書・約款ついて
一般的に作成される『契約書・約款』についてご説明
【契約書】
①標準媒介契約約款である表示について
標準媒介契約書約款に基づく契約であるか否かの別を、契約書の『右上すみ』に明示する必要が有ります。
②媒介契約型式の選択
契約書の冒頭に枠囲みで、本契約が『専属専任媒介契約』であることを明示するとともに、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3つの媒介契約の形式について、其々の特徴を説明しており、依頼者自身が、これらの契約類型のうち妥当なものを自由に選択できるようにしております。
【約款】
①宅地建物取引業者の義務
【約款第4条第1項】
専属専任媒介契約を締結した依頼者は、他業者への媒介の依頼も、自己発見取引も禁止されているため、宅地建物取引業者の負うべき成約に向けての努力義務は、他の媒介契約に比べてより重く、以下の義務を負うことになります。
これ等の義務は、法律上の義務を確認し規定されております。
❶契約の成約に向けての積極的義務
【約款第4条第1項第1号】
業者は、契約の相手方を探索するとともに、契約の相手方との契約条件の調整等を行い、契約の成立に向けて積極的に努力することを求められます。
❷業務処理状況の報告義務
【約款第4条第1項第2号】
業者は、業務の処理状況について、1週間に1回以上の範囲内で『専属専任媒介契約書に記載する方法』『頻度』により報告しなければなりません。
(1)報告方法は『文書』又は『電子メール』の何れかで行う
(2)報告の頻度は、1週間に1回以上の範囲内で依頼者と『合意した頻度』とされております。
❸申込みに関する報告義務
【約款第4条第1項第3号】
業者は、目的物件の売買又は交換の申込みがあったときは、依頼者に対し、遅滞なくその旨を報告しなければなりません。
❹指定流通機構への登録義務
【約款第4条第1項第4号】
業者は、広く契約の相手方を検索するため、目的物件を指定流通機構に媒介契約の締結日の翌日から、5日以内の範囲内で『専属専任媒介契約書』に記載する期間内※に登録し、契約の成立に向けて積極的に努力することが求められます。
※5日以内の範囲内で依頼者と合意した期限を具体的に記載する。
※不動産業者の休業日は含まれませんので、年末年始・ゴールデンウィーク・お盆等は注意が必要です。
➎登録証明書の交付義務
【約款第4条第1項第5号】
目的物件を、指定流通機構に登録した時は、遅滞なく同機構が発行した登録証(登録証明証)を依頼者に交付しなければなりません。
なお『デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律』に基づく宅建業法の改正により、令和4年5月18日以降は、依頼者の承諾を得て、書面の交付に代えて電磁的方法により、提供することも可能になりました。
②媒介に係る不動産業者の業務
【約款第4条第2項】
本項の規定は、法律上義務付けられている業務及び一般的、かつ共通に見られる業務について、業者が依頼者に対して履行することを明示したものです。
この規定は、『専属専任・専任・一般媒介契約』約款に共通して明示されております。
(1)媒介価額について意見を述べる時は、その根拠を示して説明を行います。
【約款第4条第2項第1号】
(2)契約が成立するまでの間に、【法35条】に定める重要事項について、宅地建物取引士をして記名した書面を交付して説明させること。
【約款第4条第2項第2号】
(3)契約が成立した時は、遅滞なく【法37条】に定める書面を作成し、宅地建物取引士に当該書面に記名させた上で、これを交付すること。
【約款第4条第2項第3号】
(4)登記、決済手続き等の引渡しに係る事務の補助を行うこと。
【約款第4条第2項第4号】
(5)その他、当該媒介契約書に記載する業務を行うこと。
【約款第4条第2項第5号】
③建物状況調査を実施する者の斡旋について
【約款第4条第2項第6号】
以前のブログでも記載しましたが再度記述します。
建物状況調査を実施する者の斡旋とは、売主又は購入希望者などと『建物状況調査』を実施する者との間で、建物状況調査の実施に向けた具体的なやりとりが、行われるよう手配することです。
建物状況調査の実施する者に関する情報を単に提供することは『斡旋』に当たりません。
斡旋の対象は、個人でも法人(実施者が所属する法人)何れでもいいのですが、法人を斡旋する場合、建物情報調査を実施する者は『建築士』です。
報酬を得て建物状況調査を行うのは、建築士法に基づく建築士事務所登録が必要ですので、宅地建物取引業者が斡旋する者は、登録を受けている建築士事務所に所属する建築士、又は建築事務所でなければなりません。
④契約の有効期間について
専属専任媒介契約書の有効期限は、3ヶ月を超えることは出来ません。
【宅地建物取引業法第34条の2第3項】
約款第7条はこれを確認的に規定したもので、具体的な期間は契約書に明記し、約款大14条において、更新の申出は必ず『文書』により行います。
⑤報酬の請求について
【約款第8条、第9条】
❶成功報酬主義の明文化
業者はその媒介によって、成約に至ったときのみ報酬を請求できますが、これは、従来の慣行であった成功報酬主義を明文化したものです。
但し、業者が報酬を請求するためには、目的たる契約が有効に成立する必要があり、停止条件で成立した場合、その停止条件が成就するまで、報酬の請求は出来ません。
❷報酬受領の時期について
業者は、報酬請求権が発生しても、宅地建物取引業法第37条の書面(売買契約書)を作成し契約の当事者に交付後でなければ、報酬を受領できません。
但し、受領の時期は、この書面交付後であればよく、書面交付直後に半額、売買契約の履行完了時(引渡し時)に残りの半額を受領する特約にするのが望ましいとされております。
【注意事項】
売買契約が、住宅ローン不成立を解除条件として締結され、ローン不成立が確定して売買契約が消滅した場合、既に報酬を受理した場合、遅滞なくその全額を返還しなければなりません。
売買契約が、住宅ローンの不成立の時に依頼者に解除権が留保される形で締結された後に、ローン不成立が確定し、これを理由に依頼者が売買契約を解除した場合も同様とされます。
⑥特別依頼に係る費用について
【約款第10条】
依頼者から特別に依頼を受けた広告の料金と、遠隔地への出張旅費については、約定報酬とは別に依頼者に対して、実費の請求もできます。
但し、その場合予め費用の見積もりを示し、実行に移すとともに請求にあたり明細を示す必要が有ります。
⑦直接取引について
【約款第11条】
この契約の有効期限の満了後2年以内に、依頼者が依頼を受けた業者を排除して、業者から紹介を受けた相手側と直接取引した場合には、業者は依頼者に対して、業者が取引の成立に寄与した割合に応じた報酬を請求することが出来ます。
これは、従来の判例により認められ、直接取引の場合の業者の寄与度に応じた『報酬請求権について明文化』したものです。
⑧違約金の請求について
【約款第12条】
依頼者がほかの業者の媒介、または代理によって取引した時の措置及び依頼者が売買、または交換の媒介を依頼した業者が探索した相手以外の者と取引した時の措置は、書面に記載すべき事項として、本条に定めるものとされます。
この違約金の額は、成立した場合に依頼者に請求し得る約定報酬が上限で、たとえ顧客からの報酬を受領し得る見込みもあっても、その分を含めて請求できません。
⑨費用償還の請求について
【約款第13条】
この契約の有効期限内に、業者の責めに帰すことのできない事由により、専属専任媒介契約が解除された時は、業者は媒介契約の履行のために要した費用を請求することは出来ます。
専属専任媒介契約の依頼を受けた業者は、成約に向けて積極的に努力していたため、この契約の消滅事由である程度合理的である場合でも、依頼者との間で負担の公平を図る必要が有ります。
なお、業者が費用償還請求を行うにあたり、明細書を作成し、領収書等で金額を立証したうえで行うべきですが、人件費については積算が不明確であり、ここは請求が難しいものです。
⑩反社会的勢力の排除について
【約款第17条】
この契約の当事者、その役員が反社会的勢力ではないこと等を相手方に対し確約し、契約期間内に、その確約に反する申告をしたことが判明した場合、相手方は媒介契約を無催告で解除することが出来ます。
更に、この規定により宅建業者が媒介契約を解除した時は、依頼者に対して約定報酬額に相当する金額を違約金として請求できます。
この金額は、受領済みの報酬額を控除し、消費税相当額を除きます。
⑪特約について
【約款第18条】
この約款所定の事項の他にも、当事者間の合意によって、特約を結ぶことが出来ます。
この約款の各条項に定められたことについて、特約を結ぶことが出来ますが、この中で依頼者に不利なものは無効となります。
依頼者にとって不利なものであるかどうかの判断は、経済的利益・損失の有無、権利の制限、義務の負荷などを基準として行いますが、依頼者に不利な特約例は、約定報酬を超える違約金等の定めた特約になります。
以上が『標準媒介契約』に基づき、『専属専任媒介契約』のご説明とさせて頂きます。
ここは、押さえておきたいのは『媒介契約』の中で一番縛りの厳しい内容です。
関連した記事を読む
- 2026/05/29
- 2026/05/21
- 2026/05/17
- 2026/05/17


