『消費者契約法』について④
『消費者契約法第10条』意外と勉強されている方が多い条項です!
不動産の取引で一番重要と考えられます!
消費者契約法について、色々と考察しておりますが、今回は一番重要な項目になります。
よく裁判等で争われるのが『消費者契約法第10条』です。
不動産の取引で、不動産会社や建築会社が購入者と争う場合、今回の考察は最重要と考えられます。
1,消費者の利益を一方的に害する条項について
①概説
消費者契約法は、消費者の不作為をもって消費者が新たな消費者契約の、申込み・その承諾の意思表示を示したものとみなす条項、法令秩序に関しない規定の適用
その場合に比して、消費者の権利を制限し、消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、【民法第1条第2項】に規定する、基本原則に反し、消費者の利益を一方的に害するものを『無効』とされます。
【消費者契約法第10条】
※【消費者契約法第10条】は、『前段要件と後段要件の二つに分かれています』が、この2つの要件を満たした場合に、『消費者契約の条項が無効』になります。
②前段要件
『前段要件』は、契約条項が法令中の公の秩序に関しない規定(任意規定)の適用による場合に比べ、消費者の権限を制限し、消費者の義務を加重していることです。
③後段要件
『後段要件』は、【民法第1条第2項】に規定する基本原則に反して、消費者の利益を一方的に害することです。
【民法第1条第2項】には、『権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない』として、信義誠実の原則が定められております。
契約条項が、信義誠実の原則に違反していることが『後段要件』になることから、『信義誠実の原則』は、抽象的な概念であって、様々な事情を勘案しなければこの原則をするか判定できず、第10条による無効とされるかどうかの判断において、判例が重要な意味合いになります。
④建物賃貸借に関する最高裁判決では?
❶敷引特約
賃貸借契約終了時に、敷金の一部を返還せず、賃貸人が取得する特約を『敷引特約』といいます。
敷引金の額が、敷引特約の趣旨からみて高額に過ぎる場合でなければ、第10条による無効にはなりません。
最高裁判決でも、賃料が契約当初・月額175,000円、更新後170,000円であって
敷引金の額が、その3.5倍程度の事案において
『高額すぎると言い難く、この金額が、近傍同種の建物に係る賃貸契約の敷引特約における相場』に比べて、大幅に高額なのか、問われることが有ります。
❷更新料の支払い特約
『更新料』とは、期間が満了し契約を更新する際に、賃借人が賃貸人に支払う一時金です。
『更新料支払特約』とは、更新料の額が、賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし、高額すぎるなどの特段の事情がない限り、第10条による無効とはならず、効力が認められます。
❸追い出し条項
賃借人が賃料を支払わない時にも、賃借物件の明渡を求めるには、賃貸借契約を解除して契約を終了させた上で、訴訟を提起し、確定判決を得て、法の定めに則し強制執行の手続きを行い、明渡を実現させなければなりません。
契約解除をせずに賃貸借が終了したものと取り扱うことは出来ず、強制執行の手続きをとらず実力で権利を実現することは『違法』となります。
2,消費者契約法とほかの法律の関係は?
消費者契約の申込み・その承諾の意思表示の取消し、及び消費者契約の条項の効力については、この法律の規定によるほか、民法や商法の適用になります。
【消費者契約法第11条第1項】
消費者契約の申込み、その承諾の意思表示の取消し及び、消費者契約の条項の効力について、民法・商法以外の他の法律に別段の定めがある時は、その他の法律の定めによります。
【消費者契約法第11条第2項】
例えば、損害賠償額の予定について消費者契約法では、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害額を超えるものは、その超えた部分が無効とされます。
【消費者契約法第9条第1号】
宅地建物取引業法では、宅建業者が売主の場合、代金の20%を超えてはならないとされているところ【宅地建物取引業法第38条】
宅建業者が売主となる売買契約では消費者契約法ではなく、宅地建物取引業法が適用されます。
3,消費者団体訴訟制度について
『消費者団体訴訟制度』は、消費者契約法に違反する『事業者の不当な行為』に対して、差止請求をすることが出来る制度【差止請求】と、消費者の財産的被害を集団的に回復するための裁判手続きを追行することが出来る制度【被害回復】の総称になります。
差止請求の制度は、平成18年度の消費者契約法改正により、適格消費者団体による消費者訴訟制度が導入され、平成19年6月に施行されました。
被害回復の制度は、平成25年には消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の消費者手続きの特例に関する法律が制定されて、平成28年10月に施行され、消費者被害回復の訴訟の制度が開始し、特定適格消費者団体に被害回復の訴えを提起する権限が認められました。
①差止請求の制度について
ここで言います『適格消費者団体』とは、不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために、差止請求権を行使するために必要な適格性を有した消費者団体として『内閣総理大臣』の認可を受けた法人になります。
【消費者契約法第13条~第35条】
適格消費者団体が、事業者の不当行為について、是正の申入れと差止を求める申し入れ、ないし請求を裁判・裁判外で行い、消費者被害の未然防止、拡大防止を図る仕組みが、『差止請求の制度』となります。
令和6年10月現在『適格消費者団体』は、全国で26団体存在します。
②被害回復の制度について
消費者契約法に基づく適格消費者団体による請求は、目的として『将来に向かって消費者保護を図ること』であり、差止請求では、消費者が既に被害を受けてしまった場合、これを回復することは出来ません。
さらに消費者を厚く保護するため、平成25年12月に【消費者裁判手続き特例法】が制定、平成28年10月1日に施行され、被害回復手続きの運用が開始されております。
被害回復手続きは、事業者の不当行為により、同じ原因で消費者が数十人程度、被害を受けた場合に、金銭的な被害回復を図る『消費者被害回復訴訟』を提起することが出来る制度です。
適格消費者団体のうち、更に認定要件を満たす団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人が、『特定適格消費者団体』です。
令和6年10月現在、全国に4つの『特定適格消費者団体』が存在しております。
③消費者被害が被害回復手続きの要件は?
❶平成28年10月1日以降に締結された消費者契約、又は、平成28年10月1日以降の事業者の不法行為によるもの。
❷同じ原因で数十人以上の被害が発生したものであること。
❸『事業者が消費者に対して金銭支払い義務のあるもの』であること。
⓵契約上の債務履行の請求
⓶不当利得に係る調査
⓷契約上の債務の不履行による損害賠償の請求
⓸不法行為に基づく民法の規定による損害賠償の請求
❹契約の相手方である事業者『債務履行する事業者、消費者契約の締結を勧誘し、勧誘させ、勧誘を助長する事業者』に対する請求であること。
被害回復手続きは、『二段階構造』になり、『第一段階』は、適格消費者団体のうちで、内閣総理大臣から認定を受けた『特定適格消費者団体』が、手続きの主体になり、消費者に代わり事業者に対して、被害の集団的な回復を求める訴訟を行います。
『第二段階』は、個々の被害者が被害を申し出る手続きになります。
詳細については、『法律事務所』等にご相談されるのが最善策です。
4,宅建業者として『消費者契約法』に対する留意点について
宅地建物取引業者が、消費者契約法との関連で留意すべき点を要約してみます。
①自らが当事者になるか、媒介又は代理をする立場を問わず、その契約が消費者契約法に該当するか調査し確定すること。
②消費者契約に該当するものであれば、法による取消原因になるような不適切な勧誘行為を行わないこと。
事業者の損害賠償責任の免除に関する条項
【消費者契約法第8条】
消費者が支払う損害賠償の予定等に関する条項
【消費者契約法第9条】
消費者の利益を一方的に害する条項
【消費者契約法第10条】
③居住用物件を個人が借りる賃貸借契約を媒介する場合、更新や契約終了の際の賃借人の負担・義務等に関する裁判例を正確に把握して、適切な指導をすること。
私共は、消費者保護の法律を遵守する必要がありますので、この留意点はとても重要になります。
以上、『消費者契約法』についてご説明とさせて頂きます。
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